復讐の連鎖は何も生まない? 知ったことか。PS4「マフィア3」レビュー


1968年ルイジアナ。
ベトナム戦争から帰還するも、イタリアンマフィアに全てを奪われた黒人、リンカーン・クレイ。
彼は復讐のために、車を奪って密輸やパーティーの現場を襲撃し、敵リーダーの収入源を絶ってボスを追い詰めていく。

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いわゆるオープンワールドのTPSで、街をうろついて敵と戦う。好きなアメ車でレースをする。
ウォッチドッグスやGTAのような超A級の質と量を備えたシリーズに勝るクオリティとは言わない。
だけど、人種差別を絡めたストーリー、本物の音楽、雑誌、戦争映像を大胆に使うことでパンチの利いた仕上がりになった。

敵の縄張りに踏み込むと、銃弾とともに四方八方から黒人侮辱の悪口が飛び交う。
吹き替えなし。
そもそも対応する日本語がない。
普段の会話も全部「ピー」入れないといけないレベル!


ゲームも、暴力、エロに続いて差別描写に気を配るのが当たり前の時代が来る。
映画と同レベルの画質で、ボタン一つで配信できるんだからそれは当然の流れだ。

マフィア3は、いちはやく「人種差別」を前面に出したゲーム。
散々「言っちゃいけない言葉」を言われまくる代わりに、敵をつかまえれば処遇は自由。
暴力やエロよりもずっと繊細なテーマを押し出して、そこがゲームの印象を強烈にしているし、
どこでもタバコを吸うキャラクターや、当たり前にある「有色人種お断り」の店には、不快感よりも面白さを感じる。

物陰に潜んで敵を締め落とし、死体はかついで目につかないところに運ぶ。
目立つ場所に吊るした敵幹部の無残な姿が、敵ボスに対する宣戦布告のメッセージだ。
敵は配下にすることもできるけど、KKKのメンバーは生かす選択肢自体がなくて、エグイ殺し方で落とし前を付ける。
このへんのバランスで、ギリギリ差別描写もOKにしてるんだと思う。

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もうひとつ大事なのが「収集要素の豪華さ」
マップ上に落ちているのは当時の雑誌の表紙。
プレイボーイ、ホットロッド、宗教誌「懺悔」。

汚ねえ野郎ばかりの戦いの合間に、「コレクション」コーナーだけで見れる、ヌードグラビアや有名人のインタビュー。
乳首は★で隠してあるけど、ゲームの中にまた別世界があるような華やかさ。
たまに著名人のインタビューが掲載された号もあって、要約だけでもほしかった。
けど、これでオープンワールドにありがちな収集の退屈さは消えた。あえて言えばリトライ時のロードが長いので、そこでこそ雑誌やレコードを眺めて待ちたかった。

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「GTA」「スカイリム」を越えるような規模のゲームではない。
あくまでも過去のオープンワールド系ゲームのフォロワーだ。
だけど、単なる2番煎じの評価に留まるよりは、他のゲームでやってないことやってやろうぜ!と気合が込められた感があり、
「悪くないけど物足りない」評価だった過去2作から、一皮むけた印象がある。

きれいごとがない。誰の幸せにも繋がらない。果てしない暴力の世界へようこそ!




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