それでも町は廻っている 15巻レビュー



女子高生嵐山歩鳥と、彼女を取り巻く日常を描いたマンガ。
15巻は修学旅行。
歩鳥ら女子グループ5人は、北海道の広さに歓声をあげ、くま牧場でクッキーをあげ、お風呂ではしゃぐ。

太った肝っ玉かあちゃん的な輪島さん、スポーツ好きで明るい針原さん、サバサバした海老州さん。
女子グループの5人中3人が美少女ではない。
「それ町」だから輪島さんはプールで誰よりも楽しそうだったし、針原さんは自分の出っ歯をギャグにできる。
彼女らは、多くのマンガが消してきた存在だ。

ちょっと詰め込みすぎのスケジュールの合間に、女子グループの一人、海老州さんが呼び出された。

呼び出したのは、普段は小突きあったりしているだけの男子、浅井。
筋トレが趣味で、プールに行った回で彼女に背中を触られたときには、
「女子が俺の素肌に手を這わせている!」
と頭の中で祝福の鐘が鳴り響いた、モテない男だ。
体格はいいが気の小さい浅井は、深呼吸してから突然切り出す。
「率直に言うわ……好き」
海老州さんは速足でその場を離れてしまう。

一方、主人公の歩鳥が何をしていたかというと、初日に買ったアイヌ伝統の笛「ムックリ」を気に入って、雄大な景色に出会うたびに、
「今の気持ちを表現する」
と言って、ムックリ吹こうとして音が出せない、というギャグをずっとやっていた。

長期連載している女子高生マンガの、1度しか使えない修学旅行回で、あえて普通の生徒にスポットライトをあてた。

旅行最終日に、浅井を呼び止めた女子グループ。
背中を押される海老州さんと、涙目の浅井。
そこからのやり取り。

帰り際には一歩引いた先生の視点で、
修学旅行の良さは、終わり際の気持ちが沈殿してきたころにじわっと来る、と語られる。

学校生活だけでなく、回によってミステリー、SFと多彩な変化球を投げてきた「それ町」は、高校生活最大のイベントをまっすぐな青春賛歌で締めた。
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