旅はときどき。

宮田珠己「旅はときどき奇妙な匂いがする」を読みました。

WIN_20150831_214714.jpg

会社を辞めてあちこち旅をしているおもしろオジサンと、その体内に巣くう「ペリー」とのふたり旅。寄生獣みたいな説明になった。

要は、たまに原因不明の痛みが片足を襲うので、その痛みに「ペリー」という名前を付けてぶらりと一人旅に出たというエッセイ。
「ここに着いたとたんにペリーが来航した」
と書くことで、原因不明の病らしきものを面白く書いているんだけど、内容もペリーの副作用か、今までお気楽な要素ばかりだったのに少し文学的な匂いが出ていた。

中に「旅に持っていく文庫本」のエピソードがあったけど、これが書いた本人も意識してないかっこよさが出ていた。

著者は、どこを旅するにもお気に入りの文庫本を尻ポケットに入れていく。
どれも表紙がはげて、余分な内容を落とした「本の仙人」みたいになった文庫本。
余白をメモに使ったり、筆談に使ったりするうちに
「旅が文庫本に練りこまれていく」
ボロボロになった文庫本が、この本はあの旅に持って行ったもの、と記憶を呼び起こすアルバムになっていく。

この旅慣れた感じと、大事にするだけじゃない深い本との付き合い方。最後に
「この本もぜひメモに使ったりしいてほしいので余白を用意した」
とかで空白にしてるんだけど、そのオチも含めてすごく粋なこと書いてるなあ…と感嘆しきり。

他にも、海外の初めて見る形の蛇口を相手にずっとお湯が出ない出ないと格闘する様子を延々と書いたり、
すごくくだらないシーンにページを割くの面白い。
目的地の凄さだけじゃなくて、それまでのなんでもない風景が旅であるという哲学に基づいた不思議な旅本。いい味出してます。



関連記事

コメント


トラックバック

↑