2014年度・面白かったノンフィクション、エッセイベスト5

今年読んで面白かったエッセイ・ノンフィクション5選!

去年は冒険家、角幡唯介を知ってその男臭いカッコ良さに魅せられた年だったけど、毎回この人の冒険は命がけなのでポンポン新作が出せるわけではない。
そのかわり、今年は泥臭い魅力の「内澤洵子」
肩書きはエリートだけど嫌味じゃない「川内有緒」さん2名の存在を知った。
動物を飼って解体する日常とパリの国連で人間模様を見つめる日常。対照的で、それぞれが今まで知らない人生を教えてくれた。

ちなみに去年のベスト5はこちら




今年読んだ面白かった本5位は

マシュー・アムスター=バートン「米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす」


「英国一家、日本を食べる」のヒットに乗じて出たような印象を受けるのに、こっちの方がだいぶ良い!
はなまるうどんで注文する前に
「注文の仕方がわからなくて行列を詰まらせる迷惑な外国人にはなりたくない」
といってあらかじめ様子をうかがうところが好感度高い(笑)
日本の良いところも悪いところも面白がる作者とその娘の無邪気な人柄と観察力。
日本に関する説明で「それは違うんだけどなあ…」と思うところがほとんどない。魚の骨せんべいのエピソードとか、周囲の日本人も善良な人が多くて、作者が嫌な思いをしなくてよかったなあと思う。


2014年に読んだ本4位!

宮田珠己「いい感じの石ころを拾いに」


これまでいまひとつはまりきれなかった宮田さんの新境地。
世界の珍スポットを巡って軽めのギャグをまじえながら書く、というスタイルだったのが、今作では笑いを控えめにして淡々と石を拾い続けるというスタイルに変化。値段の付かない落ちてた石の写真を豪華な装丁でまとめてある奇書だけど、ついつい自分もまねしてしまう力がある。


ベスト3!

川内有緒「パリでメシを食う。」


自分の哲学を貫き続ける花屋、アーティスト、ヨーヨーチャンピオン…
特にビルを占拠して絵を描き続けるアーティスト集団の話は、これ単独で一冊の本にしてほしいぐらいに面白い。
マイペースに生きることを否定せずに、ときには思い切りの良さも人生には必要だよ、ということを教えてくれる一冊。


ベスト2!

川内有緒「バウルを探して」


バウルという、歌のような哲学のような宗教のような何かを求めてバングラディシュを旅する本。
「パリでメシを食う。」で消化したことを作者本人が実践したみたいだ。現地の人々は生き生きと書かれ、風景は美しく、分厚いのに読みやすい文章であっというまに知らない国へ連れて行ってくれる。
女性の自分探しを歌探しにかさねた、明るい読後感の一冊だった。とりあえず、表紙の印象が暗すぎて損していると思うんだが。



そして今年読んだ本ベスト1は

末井昭「自殺」


楽しく読めるものでありながら、自殺というテーマに自分なりについて正面から扱った一冊。
完成度で言えば川内有緒さんの本のほうが圧倒的に高いんだけど、つかみどころのない作者本人のキャラクターが印象に残った。
作者は、母がダイナマイトで心中したという壮絶な過去を持つパチンコ雑誌編集者。
ついついホームレスにお金を渡してしまったり、株で大儲けするぞと裸で踊っていたらいつの間にか大損していたり、おだやかな口調とエピソードのギャップがたまらない。

「借金で死ぬくらいなら、踏み倒してしまえばいいんですよ」
と言い放ったところで
「そうだそうだ、そんな当たり前のことを堂々と言うのは大事だ」
と共感したんだけど、実は作者本人も莫大な額の借金をかかえていることを知って
「あんたが一番踏み倒す気満々じゃないか!」
とつい笑ってしまった。絶対に競馬で当てるホームレスの人が出てきて、言うとおりにしていたら本当に的中していくなどエピソードや登場人物も面白い。
全てを肯定する優しさに癒されたり、自殺の名所レポートにゾッとしたり…。完璧じゃないからこそ強く記憶に残った一冊でした。


DSCF2058 (450x355)


ベスト5以外にも、
内澤旬子「世界屠畜紀行」
高野秀行「イスラム飲酒紀行」
この2冊も、それぞれ世界のディープな旅に連れて行ってくれる貴重な本だった。読みやすくて楽しいだけで終わるもよし、差別感や宗教観などどんどん深い読み方をしていくもよし。イスラム飲酒紀行は作者の鋭い嗅覚で次々と各国のはみ出し者たちを探し出して、キケンなパーティに参加して「自由の味」を味わうスリリングな作品。読むだけなら合法だ。


関連記事

コメント


トラックバック

↑