エンジェルフライトを読んだ。だらけた自分の横っ面をひっぱたかれるような一冊

文庫化された「エンジェルフライト」をやっと読み終えました。
普段はエンタメ要素の強い本しか読まないんだけど、久しぶりに身が引き締まる思いをした。内容は短く区切ってあって読みやすいけど、休憩時間にさらっと読むタイプじゃない。



霊柩車の飛行機版ともいうべき、海外で亡くなった人を連れて帰る会社のルポです。
地元の警察や病院とのやりとり、いい加減な処置をされた遺体の修復。時差のため、休まる時間もない中での仕事。そして海外で楽しく暮らしているものと思っている遺族に変わり果てた本人を対面させなくてはいけないつらさ。

あまりにも過酷な仕事すぎて、たまに新入社員がいても研修でみんな脱落してしまうため、会社はいつまでたっても家族経営のような小さな規模だ。
その仕事をこなしている、派手なメイクだが中身は職人気質の女社長と、一見イマドキの若者である新入社員。
師弟関係のような二人のやりとりや、それぞれの死生観の違いは興味深い。
新人さんがひつぎの上に何気なくファイルを置いたら、
「寝ている上に物を置かれたら嫌だろうが!」と怒られる。
「ちっとは自分の頭でモノ考えろ!」

海外から運び込まれる遺体は、事故や事件によるものも多い。
それを、この人の最後の誇りを守るんだ、とばかりに修復するシーンは思わず息を止めて読んでしまう。
なぜ、このあとすぐ焼いてしまう体にそんなことをするのか。遺族の心理や、日本人の精神性、いろいろな方向からそのことを考える。

飛行機が飛んでいるのを見て、「あの中に遺体が入っているかも」とは想像したことがない。だけど遺族はみんな、帰ってきてほしいと願っている。
飛行機の乗務員や旅行客でにぎわう飛行場の少し奥では、こんな壮絶な仕事が行われていたのか!と目が覚める思いがしました。
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