「身体のいいなり」を読んだ。

「身体のいいなり」内澤旬子



「個性的な人の考えることを追っていくのは面白い」
エッセイやブログに期待している面白さは、つまりこういうことなんだ、と再確認させてくれました。

普通、病気の関係する本は
「有名人が病気を経験しました」
「急に重い病気になりました、もしくはこの方法で治りました」
系が多いけど、このどちらでもない。

この本は、幼少期から肌が敏感で大人になっても化粧ができず、体のどこかに常に不調があるのが当たり前だった人が、40代で初期の乳がんになって、治療したらいつの間にか体の他の部分の不調も治っていて、なぜか今が一番健康…という
「理由もなく変わっていった自分の観察日記」
です。

自分よりもっと大変な病状で生きている人がいるから、闘病記というジャンルに入れるのを拒否して、
年齢とともに悪くなると考えられがちな「からだ」がなぜか良くなった不思議。
「からだ」の状態によってその中にある「こころ」も変わってくる面白さ。
そういうことを書いている。

乳がんの告知のときにも、自分の胸を失うときにも全く動じてないのに、手術が終わって自分の体の形が変わっているのを見ると悲しくなって、今度はどのくらい元の自然な形の胸に戻れるかを検討することになる。
矛盾しているようだけど、それがまたリアル。
1000万だったら絶対無理だからすぱっと諦めるけど、両胸で200万かかるということがわかり、苦しいけど絶対無理なわけでもない微妙な金額に
「よく考えたな、美容整形外科め」
とか言っちゃうのも面白い。
これまでの人生でスタイルに自信を持てたことなんかなかったし、どっちかというと胸なんかコンプレックスだったけど、いざなくなってしまうと…しかし200万…というリアルな悩み方に共感する。


この本と並行して進めていたのが世界の屠畜場ルポというすごい切り口の仕事で、内澤女史にとってはそっちが本命で、命にかけても完成させたかった一冊。
こうなったら、そっちも読みますよ。読まいでか。


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