懐かしの90年代へ。「ここは退屈迎えに来て」が良かった


「ここは退屈迎えに来て」という小説が、俺のために書いたのかと思うぐらいピッタリ合う内容だった。

地元では超美人で芸能人になったけど、やがて忘れ去られて地元に帰ってきて、結局は美人でない子といっしょに結婚相談所に行く話とか。
昔かっこ良かった男の子に再会したら、当時の輝きがなくなっていてガッカリした…直後に、声には面影があることに気付いてハッとするシーンとか。ストーリーで読ませるタイプじゃないけど、シチュエーションや、それぞれの場所で繰り広げられる女子トークも面白い。

1つ15分程度で読める短編だけど、各章の主人公は
・女性であること
・文化系であること
・独身であること
・地方在住であること
・結婚、仕事、恋愛などでなにか焦りを感じていること
など、いくつかの共通点がある。
また、章ごとに時代は違うけど登場人物は一部共通していて、高校時代の憧れの男子が違う話ではおじさんになって出てきたりする。

僕は男なので、性的ガールズトークについては「こんな感じなのか」としか言えないけど、作者が女性なのでこれがリアルなんだろうなあと納得するしかないのも良かった。女子高生の話とか、作者が男だったらけっこうおぞましいものになりそう。

そして、この小説を楽しめる一番の条件が、
「2014年現在で20代後半から30歳前半の年齢であること」
この小説は言ってみれば「懐かしき青春時代」を描いたものなんだけど、その懐かしい時代というのが90年代後半なんだ!

今まで、著者の青春時代を描いたと思われる「懐かし系」話は80年代までが多かったのに、ついに俺の時代も懐かしいゾーンに入っちゃったか!知ってる有名人の名前とかバンバン出てくる!

一番笑ったのが、「松本人志を尊敬している男子にラーメンズのDVDを貸したけど理解してもらえなかった、が、自分だけはラーメンズの笑いがわかるんだという優越感もあった」というシーン。
ものすごく身に覚えがある!ありすぎる!!
お笑いのDVDじゃないけど、自分の好きなちょっと難解な音楽や本を貸して、理解してもらえなかった経験! ネットがあるから、今の子供にあの感覚は味わえないのか。

またラーメンズっていうのが、そういえばあのころオンエアバトルをまとめたDVDがTSUTAYAでいつも貸出し中だったなあとか、民法のバラエティに軽々しく出てこない孤高の感じに憧れたのかなあ、とか、松っちゃんのシュールなコントが好きな人ならラーメンズもわかってもらえると思ったのかなあ、とかいろんなことがわかってしまう。
自分の青春時代がついに「懐かしきあの頃」になってしまった寂しさと、「これ、わかる!」という面白さがまぜこぜで、読み終えるのがもったいなかった。
まー、何気なくタイトルで手に取った本なのにスマッシュヒットでした。


ここは退屈迎えに来て
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コメント

ふじ子 #pBwBRUmQ

この記事を読んで物凄く気になって、探して買って読んで泣きました。この本のいいところがばっちり記事に詰まってて、確かに! ほんとに! 言われてたのはこれかー! と身悶えしながら読みました!
たた、アラサー田舎出身女子にはもう、シンクロしすぎて途中でつらくなってしまいましたが…
ひょっとしたら一生ものってくらいの出会いを、ありがとうございました!

2014年09月11日(木) 17時11分 | URL | 編集

南里(みなみざと) #-

Re: タイトルなし

> この記事を読んで物凄く気になって、探して買って読んで泣きました。この本のいいところがばっちり記事に詰まってて、確かに! ほんとに! 言われてたのはこれかー! と身悶えしながら読みました!
> たた、アラサー田舎出身女子にはもう、シンクロしすぎて途中でつらくなってしまいましたが…
> ひょっとしたら一生ものってくらいの出会いを、ありがとうございました!

アラサー田舎出身女子だったら、この本読むには最高でしたね!
このブログが一生ものってくらいの出会いのきっかけになれるなんて嬉しいです。
家庭教師のお姉さんに憧れる話とか、よくある話なんだけど切ないです。田舎と実家の息苦しさもリアルで最高。
この本は80年富山出身の作者からの、自分に似た人たちみんなへの応援歌。


2014年09月12日(金) 13時16分 | URL | 編集


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