最近良かった小説は「純平、考え直せ」



まともな家族のいない不良少年だった純平は、入ったばかりのヤクザの世界で鉄砲玉に指名される。
ターゲットを殺して10年拘留されれば、出所後は憧れの兄貴の下で、普通に生きていては到底手に入らないような生活が約束されている。
どうせこのまま生きていてもろくなことはない。それより、粋で、熱くて、本気で憧れた兄貴のために青春を捧げたい。

「決行日」の前に純平は、未練を残さないようにと、大金と3日間の自由な時間をもらったのだが、純平はその金と時間で、初めて寿司を食いに行き、女に誘われてクラブに行き、昔の不良仲間と再会する。そして自分をしたってくれる似た境遇の友達もできてしまう。

皮肉なことに、この世界に未練を残さないために与えられた3日間のはずが、最初で最後かもしれない青春の日々になってしまう。

本当に決行してしまうのか。
考え直すべきなのか。
一方、クラブで知り合った女に口を滑らせた結果、女は勝手に純平のことをネット掲示板に書きこんでしまい、純平の行動について次々とレスが増えていく。



テンポが良く、若者たちや都会の夜の住人達が次々と現れてはすぐに行動して、去っていく。
これだけ読むと、作者の年齢が50代だとは思えない。
ふつうはある程度年齢のいった作家さんの小説って、若者に対する視線が暖かかったり、逆に怖い存在として描かれたりするもんだけど、奥田作品の若者はずっと作者に一定の距離を置かれている。
残酷な目に合うこともないけど、救われることもあまりない。

奥田作品は映像化されることが多くて、ほとんどが絵的には地味で話題にもならず消えていくんだけど、この作品もいつか映像化しそう。映画よりも、青年誌のマンガでありそうな感じ。
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