圧倒的パワープレイ!「新・世界怪魚釣行記」を読む

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新・世界怪魚釣行記

木製の粗末な十字架が川辺に立っているのが見えてきた。船長の話によると、1年前この場所で手長エビ釣りをしていた少女がクロコダイルに食われてしまったらしい。その光景を想像し、気だるい気分は吹っ飛ぶ。だが、それだけでは話は終わらない。しばらく進むと、今度は2年前に少年が食われたという場所を通り過ぎた。「やっぱりパプアはヤバいわ……」



会社をやめて、狭い日本を飛び出して、好きなことをやりたい。

そんなことをぼんやり思っても普通はなかなか実行に移せないもんだけど、この本の作者の武石さんは本当に会社を辞めて、世界の魚を釣って釣って釣りまくる旅に出てしまった。
ひたすら「地元の人と出会って、道具を準備して、釣って、喝采を浴びて、飲む」の繰り返しで、文章だけなら他に面白い人はいくらでもいそうだけど、そこに添えられた写真がハンパじゃない。

魚がでかい。圧倒的にでかい。想像していたより二回りはでかい。写真が多い。ページをめくるたびに吹き出しそうになる。もはや釣りの本というより怪獣図鑑を眺めているような読書。
ちょっとグロテスクな魚とか、血が出てる写真とか、人によっては「ゲッ」と思うような写真も、全部フルカラーで
「これが俺の旅の足跡じゃい!文句あるか!」
とばかりにバンバン出てくる。
何年かぶりに出会った現地の人の笑顔の写真があるのはいいとして、道端に転がっていた動物の死骸の写真とか、誰も得しない上に釣りと全く関係ない写真もある。

大ダコとの戦いでは、タコは何でもエサと思って抱きついてくるので、ルアーの代わりに、プラモデルの「シャア専用ザク」に針とオモリを巻きつけたもので釣る。何をやってもいいというわけではなく、なるべく魚とのファイトを楽しみたいのだ。
またこのタコの写真も凄い。人よりでかいタコがいることは知識としては知ってたけど、それが台所の流しに横たわっている写真を見ると、圧倒されて笑ってしまう。

「好きなことをやって生きる」とは、楽に生きるということじゃない。この本の中でも、指や腕を失ってもおかしくないような場面が何度もある。それでもこの人から釣りを奪ったら、抜け殻みたいになってしまうに違いない。大馬鹿野郎の圧倒的パワーが炸裂した一冊だった。


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