「激走!日本アルプス大縦断」を読んだ

富山湾から太平洋まで415キロを走る人たち。
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激走! 日本アルプス大縦断 密着、トランスジャパンアルプスレース富山~静岡415㎞

日本一過酷な競技といわれる、トランスジャパンアルプスレースの参加者に密着した記録です。

富士山登山7回分に匹敵する標高差。
食事は何を買っても自由だが、宿泊施設の利用禁止。
人からの施し禁止。
賞金なし。
体力テスト以外にも厳しい筆記試験をクリアしないと出場できない。
一人で走る。(長期の併走禁止)

マラソンよりも登山要素が強いので、装備に選手それぞれの経験が表れる。荷物を1グラムでも軽くするために、歯ブラシの柄を切り、服のタグを切り、買い物するときはお釣りをもらわないように買う、などのテクニックが当たり前にある。
その中で、山岳救助隊の選手は
「途中で救助が必要な人に出会ったら、即リタイアして救助する」
ために、ハンデとなる余分な着替えなどを持って走る。

知らない場所を夜中に走るだけでも不安になるのに、野生動物が出る山中をヘッドライトひとつで走っていると、どうなるか。
心身ともに追い詰められてきて、鉄人のような参加者たちが、まともに食事もできなくなる。
走りながら寝て方向感覚を失い、逆走してしまう。

極寒の山中から降りたら、軽く汗を流して真夏のアスファルトの上を200キロ以上走る。一週間の平均睡眠時間2時間ほどで、変わらない景色の中を走っていた選手は、途中で全ての物が人の顔に見える幻覚に襲われる。
主催側の人間にとってはよくあることなので、
「それは大丈夫な部類の症状。この先ではもっと凄いのが見れる」
というアドバイスをして、なぜか選手もワクワクしている。
完走した選手は一週間足がはれて靴が履けなくなる。悪夢にうなされる。
マラソンなら完走すれば達成感があるだろうけど、いくらなんでもこれは無茶苦茶すぎないか。こんなレースに参加する人たちはどんな人たちなのか。

本の始めのほうではレースの説明をして、だんだん選手の普段の姿や、肝心の走る理由に迫っていくという構成の本だけど、どの人も見事なぐらい「ふつうの人」だった。
会社勤めの中で奥さんや同僚に呆れられながらひそかにトレーニングをしてきた、一見ふつうのおじさんたち。向う見ずな若者なんて一人もいない。トレイルランニングのイメージを悪くしたくないので、登山客とすれ違えばなるべく愛想よくふるまうし、カメラを向けられても体力に余裕があるときは冗談を言ってなごませる。
ここまで頑張れた理由は何ですかと聞かれると、妻や子供のおかげですとみんな答える。
1グラムでも荷物を減らしたいのに、小さい娘の作ってくれたお守りはしっかり持って参加する選手もいる。

本当に見事なぐらい理想的なパパたちばかりなのに、やってることはとんでもない。
普通のマラソンでは満たされない、ちょっとばかりスケールの大きな人たちだったのだ。


次回はコレ

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