母は偉大だった!「ほめゲー」としてのクッキングママ論

クッキングママというゲームがある。
Wiiリモコンをキッチン用品に見立てて食材をまぜたり、火をつけたり…といったことをミニゲームふうにこなして料理を作るシリーズだ。最近では3DSで5作目の体験版が配信されたばかり。

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子供向けなのにどう動かせばいいのかわかりにくい、ママが料理を判定するんだけど基準があいまい、常に笑顔のママに狂気を感じるなど、ほめる言葉はあんまり聞かないのに、世界規模でヒットして、派生作品まで発売されたックッキングママシリーズ。

このゲームは、
「子供が料理をするゲーム」と思ってプレイすると、よくあるミニゲーム集という評価になる。
だけど、ちょっと視点を変えてみましょう。
「子供が何をやろうと、ママがほめてくれるゲーム」として見ると、評価はガラッと変わってくるはず。

ママシリーズが、携帯ゲーム機に移ろうと、内職お人形作りを始めようと、ずっと一貫している部分は「プレイヤーをひたすらほめる」ところだ。
メレンゲをまき散らそうが、ケーキの盛り付けが悪かろうが、肉をまるこげにしようが、プレイが終わるとすかさずママが出てきて、歯ブラシのCMみたいにキラキラした笑顔で言う。
「びっくり! ママより! じょうずかも!」
略してBMJ。
ママシリーズは、料理ゲームではなく、ママがほめてくれるゲームなのだ。


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内職ママ「びっくり!時給換算100円かも!」


学校の授業で使用される「たいへんよくできました」ではなく、
「びっくり!ママよりじょうずかも!」というフレーズに行き着いたスタッフは凄いと思う。

もし、小さい子供が母親の料理を手伝おうとしたて、うっかり一枚お皿を割ってしまった。そのとき、子供はどう思うだろう。せっかくお手伝いをしようとして大変なことをしてしまった。どうしよう。怒られるんだろうか。
そこにすかさずママが現れる。
「なんでこんなことをしたの!」と叱るためではなく、
「びっくり!ママよりじょうずかも!」と満面の笑みで全肯定するために。

過保護に育てすぎではないか、という意見もあるだろう。だけど、子供の立場になって考えてみてほしい。
ママは、自分がミスしたことを叱るより先に、お手伝いをしてくれようとしたこと自体をほめてくれるのだ。
次はミスしないで、もう一回やってみようと思うはずだ。
だから、クッキングママシリーズの判定はシリーズ通してずっと緩くなっている。

ちなみに、最低評価は「ママがつくりなおしておくからね」になる。
お手伝いは失敗してしまったけど、その行為自体は叱ることではない。だからあえて「ダメだったね」という言葉を省いて、子供の視点に立って
「つくりなおしておくからね」
というフォローの言葉を選んだことで、やはりお手伝いをしようとした行為を肯定してくれる。

ママシリーズはゲームとしての評価は低い。実用性もない。にも関わらずこれだけ存続したのは、ミニゲームの出来はどうであれ何かをすればとりあえず褒めてくれるという部分だけはブレてないからだ。
プレイヤーは、スコアやトロフィーには換算できないもっと大きな「ご褒美」感を受け取っている。

最新作のクッキングママ5の体験版でも、相変わらずママの判定は緩く、ひき肉を作るミキサーのハンドルを回しすぎてハンドルが上画面まで吹っ飛んでいるのに「ママよりじょうずかも!」と、ほめゲーとしての軸はぶれていなかった。

「ハンドル取れちゃうやつより下手だったら、ママはどんだけ下手なんだよ!」という無粋なツッコミはいらない。

我々の感想は一言でいい。
「やはりママは偉大だった」と。




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