一度きりの、至福のひととき。「パペッティア」クリアレビュー


「パペッティア」が売れてない。
発売数か月後に突如、PS3本体とセットにした数量限定パックが販売されることになり、よっぽど在庫が余ってるんじゃ…と勘ぐってしまうぐらいに売れてない。

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「パペッティア」は、人形の少年クウタロウとお供のピカリナを操作して月の征服をもくろむクマのぬいぐるみ、ムーンベアキングと戦う「舞台」というゲーム。
クウタロウの武器はカリバスという魔法のハサミで、これで敵でも背景でもシャキシャキ切り刻みながら進んでいく。リアルな布や煙が、ハサミを向けた方向に細かく切り刻まれていくのが快感である。

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オブジェを細切れにするだけじゃない。たまに出てくる「切り取り線」を切ると、そこからレールの上を自動的に進んでいく。
スイスイ進んで、障害物が見えたらジャンプする。やってることはスーファミ時代のアクションゲームと同じなのに、緻密な背景を切り取りながら進むだけで気持ちいいんだからしょうがない。

そして単純に見た目がすごい。
実写に近いだけの凄さではなくて、和と洋の入り混じった世界観と、自分だけが気付いたと思わせる細かいキャラの動きで、ラスト周辺なんかただ口を開けて見てた。グラフィック以外にも、音楽は素敵だし、喋りまくるピカリナさんはじめ声優陣の熱演と圧倒的なグラフィックで、ファンサービス満点。

メキシコをモデルにしたステージや宇宙ステージも良かったけど、このゲームならではの見どころは、序盤の神社や竜宮城といった和洋折衷エリア。
神社は一見、日本人スタッフだけでも作れそうな気がするけど、鳥居が一気に汚されて改造されるシーンは、欧米人の血が入って初めて生まれたものだろう。

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そして竜宮城では、人形浄瑠璃やディズニーから影響を受けたといいう、海王と人魚が登場する。
「これを作った人の頭はどうなってんだ!」と思わず笑ってしまった。

それでも、パペッティアは売れてない。
僕は、竜宮城にディズニーテイストを持ち込む人たちがもっと評価されてほしいし、次に何を生み出してくれるかを見届けたいのに。

不満点もある。過剰なまでのサービス精神は、やりごたえのある2Dアクションゲームを求めていた人から見れば不要なのだ。
2Dアクションの面白さは、敵の攻撃にだんだん適応していって乗り越えたときだったり、自分なりに効率のいいルートを発見したときに感じられるものなのに、このゲームでは難所にさしかかると、迷うよりも先にピカリナさんが正解を教えてくれる。
ボスが登場するとすかさず
「あれをジャンプでかわすんや!」
「あそこを狙うんや!」
と全部アシストしてくれる万能秘書。

ちょっとでも退屈しそうな移動シーンになるとすかさずピカリナと進行役によるお話が始まるし、最後までプレイヤーを飽きさせない。
悪く言えばゆとり向け?雰囲気ゲー?
でも、こっちは劇場に足を運んだお客様なんだから。

ケーキがあるなら、一番甘いとこだけスプーンで運んで口に入れてもらえばいいじゃない。
たまには甘いクリームの部分だけ舐めさせてもらって、奥のほろ苦い部分は捨てたっていいじゃない。

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ゲーム自体がまるごと劇場という設定なので、
ラストの盛り上がりのあとの
「クウタロウは演技力に難があって、セリフを削られてしまった(このゲームは主人公は喋らない)」
とかいう設定が出てきたのは蛇足だった。ナレーターが一人で盛り上がる、主人公置いてけぼりの場面も。
これが大人向けのメタ的なジョークですと言われても納得いかん。
並のゲームならちょっとしたお遊びですまされるけど、ここまで壮大で素晴らしい世界を一言で台無しにするような要素を入れてほしくなかった。




てな感じで、10月最後のゲームレビューは「パペッティア」でした。


いやあ、クライマックス良かったなあ。明日はまとめて本を売りに行って、なにか面白そうなものを探してきます。
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