高橋源一郎「国民のコトバ」見落としてきた名文たち

涼しくなると夜更けの読書が楽しい!そしてソフトカバーの単行本は読みやすい!最高だ!
国民のコトバは、真正活字中毒者の高橋源一郎先生が、なかなか知る機会のなさそうな名文を見つけては、これは面白い、これは素晴らしいと熱意タップリに紹介してくれる、日本語への愛に溢れた本だ。

文学賞の審査員もしている還暦のベテラン作家が「素晴らしい」と紹介している文学作品とはどのようなものか。どんな難解な文学作品が取り上げられるのか。

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まず一章は「萌える英単語」

「スクミズ」はやはり和製英語なのか!パンチラは英語でこういうのか!
と、固い題材に萌えを持ち込むことの素晴らしさに感動した高橋先生は、続けざまに「萌え」で覚える元素、日本国憲法の本を読みだし、「35条ちゃんがいい」と絶賛。
最終的に白いスクール水着で後ろ手に縛られている「零戦ちゃん」を見て、
「これこそ、戦後、この国が希望していたことではないのだろうか」と真面目に言い出す。平和主義で女性好きの高橋先生らしい。

「相田みつを」の章では、あの筆文字と名前があれば、どんな言葉でも名文になるんじゃないかと遊び始める。同じ文章でも、
日日成長 
のあとに、「七歳 芦田愛菜」と刻印を入れるだけで、全然印象が変わってしまう。

続いて登場するのは、人工頭脳のSiriちゃん。
愛してるとか、賢いなあ、とか話しかけてはその回答を完璧だと絶賛。眠たいと話しかけて、気遣ってくれたSiriちゃんに思わずもらい泣きしそうになってしまう。最後はなぜか「うんこうんこ」と連呼。

次は「幻聴妄想かるた」
心の病にかかった人の言葉をかるたにしたというものを、自らもギャンブル中毒の高橋先生が読み上げていく。
「み」は「みな殺しにされる日が特定され 逃げ回ったがまだ生きている」
「に」は「にわとりになった弟と親父」
「の」は「のうのなかに機械がうめこまれ しっちゃかめっちゃかだ」
「ん」は「しんぞうが止まっている」

さらに漫画太郎版の「罪と罰」やギャル男向け雑誌のコピーを読んだり、穂村弘の短歌の観察眼のすごさを語ったり

裏側を鏡でみたらむちゃくちゃな舌ってこれであっているのか 穂村弘
カップ焼きそばにてお湯を切るときにへこむ流しのかなしきしらべ 松木秀



参加者の写真が白人ばかりの結婚情報誌、聖書を方言でなるべく本来の意味に近い形で翻訳したもの、子供たちの書いた詩(を読んでまたもらい泣き)
とにかく日本語が好きで好きでしょうがない人が日本語を読み漁って、ああ面白いああ素晴らしいと無邪気に感動している。世界には見逃してきた面白いものがたくさんあるということを教えてくれる一冊でした。



最後に、日本の軍隊をどう呼ぶべきなのか、という疑問について。
高橋先生が悩んだ末に辿り着いた結論。


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意外なところで意外な言葉に出くわすな。



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