浅田次郎「勇気凛々ルリの色」シリーズ

「鉄道員」であまりにも有名な浅田先生のエッセイシリーズ。
現在の、いかにも文化人といった風貌からは想像できませんが、浅田次郎の経歴は、元ヤクザです。
しかも、自衛隊からヤクザになり、事業を起こし、その間もずっとギャンブルで稼いだり、病気の母を介護しながら小説を書いては文学賞に落ちまくって、ようやく遅咲きデビューしてから直木賞作家という、変わった経歴の持ち主が多い作家界の中でもトップクラスに変わった経歴の持ち主です。

そんな人の書くエッセイが面白くないわけがない。
さらに面白くしているのが、勇気凛凛シリーズ全4巻は、浅田先生のいちばんの人生の激動期に書かれているところです。
1巻ではギャンブルの指南書などを書いている売れない作家、
2巻では大作小説を書きあげ、
3巻でついに栄光の直木賞を獲って人生が激変。
4巻で栄光を手に、なお歩いていく…という感じで。

良くも悪くも昔気質のオジサンなので、今の若者としては受け入れられない意見もあるかもしれませんが(ヘビースモーカーだったり、銭湯でマナーの悪いガキにゲンコツ喰らわしたり)一編一遍に力が込められているので、読むと力が湧いてきます。特に2,3巻が面白い。

エッセイといえば物憂げなインテリ作家がさらさらと何気ない日常を綴った薄味のものが多いけど、
「勇気凛凛」は毎ページが濃い。
幼馴染の死について送った言葉なんて、数ページだけどちょっと泣きそうになる。
そして、感動的な話のあとに突然、ウォシュレットを導入したら自分に水がかかってひどい目にあったという死ぬほどくだらない話が、また全力で披露される。
時事問題がちょっと古いけど、今でもたまに読み返したりするお気に入りのシリーズです。


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