君に「マンガホニャララ ロワイヤル」よ届け

ブルボン小林のマンガエッセイ「マンガホニャララ ロワイヤル」を読む。

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まずブルボン小林という名前がどのくらい知られているのか、ファンの立場からすると逆にわかりにくいんだけど、
芥川賞作家の長嶋有という人が、堅苦しい肩書を捨ててゲームやマンガについて書くときのペンネームです。

この人のマンガやゲームの取り上げ方は、昔からの「正しいオタク」という感じがしてすごく共感できる。
メジャー作品はなるべく避けて、みんなが見落とした部分を拾って歩いていく。
暑苦しく猛プッシュしてくることはないけど、作品内のちょっとしたセリフを拾ってうまいこと興味を持たせてくれる。

「マンガホニャララ ロワイヤル」では、
朝日新聞連載のマンガ「ののちゃん」がただのほのぼの4コマではないことを、
ワールドカップ期間のサッカー批判を例にして語る。

もっと印象的だったのは、
弁護士殺人事件の犯人が出頭するときに、少女マンガの「君に届け」を持っていたというエピソード。
よく殺人犯がマンガや映画好きだと「作品が犯人に影響を与えたのではないか」と騒がれて、
作品のファンは「責任転嫁だ」と反発するのを聞くけど、
このケースは、殺人事件を犯した中年男性が、警察に出頭してきたときのわずかな荷物が着替えと「君に届け」だった。
あまりの事件と作品の関連性の無さに、マスコミもほとんど話題にしなかったし、僕もこれを読むまで知らなかった。

だけど、事件と作品の関係の無さに、逆に著者は興味を持つ。
「君に届け」という純粋な高校生の物語を、人を殺して逃亡中の中年男性がどんな気持ちで読んだのだろう。

そして出た結論は
「犯人は、君に届けを読んだから出頭する気になったのではないか」
というものだった。
作品にとってこれ以上の称賛の言葉はないと思うし、マンガのポジティブなパワーを信じているから出た回答だと思う。

全体としては前作の「マンガホニャララ」のほうがお気に入りなんだけど、
・ちょっとマニアックに、でも熱すぎないマンガ評を読みたい人
・まだ読んだことのないジャンルのマンガを読んでみたい人
・抽選でもらえるカバー絵の手ぬぐいがほしい人
にお薦めです。


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