島本和彦画業30周年!アオイホノオ9巻到着!

HNI_0016_MPO.jpg
ミュージシャンとかアイドルとか、誰かに熱狂的にはまることは誰でもあるだろうけど、俺にとって初めて「信者」と呼ばれるくらいはまったのが島本和彦という漫画家だった。
キッカケはスーファミの「ライブアライブ」というゲームのキャラクターデザインをしていたこと。
その頃は少年サンデーの連載も終わっていて、もしかしたらキャリア的には低迷していたのかもしれないけど、何かこの知らない漫画家のことが気になってしょうがなくて、古本屋を何軒か周った。たしか最初に買ったのは「ワンダービット」だったか「炎の転校生」の2巻だったか。

で、初めて読んだ感想は正直、「汚い絵だなあ」と。
美少女ゲームが流行ってどんどんきれいな絵の作品が増えていた時代に、決してきれいじゃなく、かといって昔の劇画のような「古臭いけど風格がある」絵でもない。

だけど、炎の転校生を3,4,5巻と揃えていくとすぐに夢中になった。
一見スポーツ対決を繰り返すありがちな学園もののようで、全く展開が読めない。
バレー対決はみんなボールを顔面にくらって起き上がれなくなり、ずっと一人で試合しているし、水泳対決のプールはメチャクチャ深いし、ボーリング対決ではスコアの付け間違いで勝つ。後のサッカー漫画やテニス漫画でも、たいてい途中から口喧嘩になって、相手が勝手に負けを認めたりして、まともに決着の付いたためしがほとんどない。

セリフのインパクトも凄かった。カルト的人気の野球マンガ「逆境ナイン」では
「それはそれ これはこれ!」というフレーズが出てくる。
島本和彦名言集というという、名ゼリフだけを集めた本も出ているけどあの類の名言集に読む価値のあるものは一冊も無い。
相手チームに悪くなった弁当を差し入れしてしまったマネージャー。
食中毒でまともに戦えない相手チームに、迷いを感じながら試合をしていた主人公に、監督がふらっとやってきて、まるで自分が作った言葉のように堂々と、見開き2ページで
「それはそれ これはこれ!」
これを何の事前情報もなく読んだとき、漫画に顔面をぶっ飛ばされたような感覚になった。
先の展開やら、キャラクターの設定がいちいち予想できない。それでいてキッチリとギャグやアクションもある。
不思議なもので、どんな漫画家でも芸人でも、年齢を重ねると急にギャグの切れ味が悪くなったり、説明しがたい古さを帯びてくるものなんだけど、島本和彦の場合は若いころの作品のギャグセンスが古く、だんだん切れ味が良くなってくる。
たまーに軽いお色気みたいなのもある。そのときはたいてい島本先生が迷っているときである。

アオイホノオ9巻の感想。

この作品は島本和彦が初めて描く、本当の青春マンガだと思う。
これまでの作品にも、すごい力を持った登場人物が出てきて読者を激励する言葉を発することはあったけど、アオイホノオの主人公は読者と同化して小さいことで一喜一憂して、
「こんな小さいことで悩んでいるのは自分だけじゃなかったんだ」
「自分も若いころはこんなに希望にあふれていた」
と、思うから元気が出てくる。
そこが、主人公が若いというだけの青春マンガとは違うと思う。

9巻にはアニメのいわゆる「作画崩壊」を語るシーンがある。
作中では崩壊なんて言い方はしていなくて、回によって感じの変わるメーテルの顔までも楽しみにする主人公がいるだけなんだけど、前の「必死でアニメ映画を観る当時の若者たち」に続いて、なんとなく現在の漫画、アニメ好きに対して、もっと真剣に楽しんで観ろよというメッセージを送られているような気がする。


関連記事

コメント


トラックバック

↑