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PS4「Marvel's Spider-Man」レビュー

ニューヨークでアジア系移民が関わるテロが起き、犯罪者があふれ、恋人にも距離を置かれる。
よく考えたら暗くて救いのないストーリーなのに、アクションが、キャラクターが、ニューヨークが、ずっと陽性。ずっと明るいエンディングが待っている気配がした。

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PS4「マーベルズスパイダーマン」レビュー。まず一言、最高。

話はゲームオリジナル。映画がリブートされるたび繰り返す、クモに刺されて覚醒するくだりはカット。警察にも街にも認知されてるところから始まる。
事前知識はいらない。「ニューヨークを守ってるクモ男がいる」ぐらいの、ふわっとした知識でも遊べる。
ルパン3世のメンバーが知り合ったきっかけを勉強してなくても「カリオストロの城」が楽しめるのと一緒だ。

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広大なニューヨークをかなり細部まで再現してあって、高速で飛び回るだけで圧倒される。
「オープンワールド」には、以前から疑問があった。広い範囲を動けても、移動が面倒でロードが長くなって、むしろ不自由さが目立つゲームが多かったから。
面白いからじゃなくて、メーカーの技術力を自慢したくて作ってる気がしていた。

だが今回のNYを見よ。跳んで見よ。裏路地にちょいと入って見よ。
本物っぽいグラフィティ、
縦に「ZZZ」を並べた形の階段!

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これ。

ぶつ切りじゃないNYを飛び回り、犯行現場にかけつけ、街灯の上からギャングに忍び寄り、ステルスで、あるいは正面から戦う。市民に賞賛され、ビルの屋上に消え、こっそりエゴサーチまでできる。
一連の流れが全部つながっている。戦いでそこら中クモ糸だらけになるけど、NY市民はあれは喜んで掃除するんだ、きっと。
オープンワールドの採用で、スパイダーマンのアクションだけでなく、日常そのものを再現できた。

NYを飛んでいると、下界の「検問」なんかが視界に入る。
街中で戦ってた影響で、市民も、とばっちりを受けている。
「現実にヒーローがいたら楽しいばかりじゃないよな」
って思う感じが、リアル寄りな今のアメコミ映画に近い。

難易度も高いと言われるけど、たとえば僕は、FPSで何もできず瞬殺されても状況がわからない。バイオやメタルギアも、タイトルによってはクリア諦めます。
だけど、スパイダーマンは
「あっ、要するにこういう戦い方で行けるんだ!」
と、つかめば急に動けるようになる。どんな攻撃も〇で回避。△で武器を奪って無力化。


室内のシーンでは、オープンからぐっとクローズ。
狭い移動範囲で、背景の小物1つまで凝りまくり。

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ピーター(スパイダーマン)は、ホームレスや失業者を支援する施設の手伝いをしている。
序盤から、体育館みたいなところにホームレスが集まっている。
これからニューヨークの悪党を叩きのめして救うつもりなのに、いきなり現実を突きつけられる。彼らはNYの負の一面で、ヒーローがいくら戦おうと彼ら全てを救えない!って存在。
地球の存亡をかけて戦おうと知ったこっちゃねえ、
仕事や家がないっていう、俺たちの目の前の問題はどうしようもないんだ!って存在。日本の被災地も連想してしまう。

だけど、彼らに食事をふるまうメイおばさん、けが人を救うため研究をしているオットー博士、私財を投げうって施設を作ったリーさんが出てくる。

本作を楽しむために見ておくべきは、原作じゃなくて「キャラクター」の項目。
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本作のあらすじと人間関係は、ここに書いてます!
スパイダーマンは自分をヒーローと名乗らない。
尊敬するヒーローは、スーツを着て巨大な敵と戦う人じゃない。同じマーベルのアイアンマンやキャプテンアメリカより、博士、メイおばさん、リーさんがヒーロー。
共通点は「困っている人を助けたい」と思える人。

災害ボランティアに行く人なんかは言わずもがな、毎日働いて子供やお客さん相手に頑張っている主婦、教師、警察官、人を楽しませる役者、芸能人、あなたたちはみんな誰かのヒーロー。
スーツ着て飛んでヘリを止めたりしている側がそう思ってる。

市民の中のヒーローを見て育ったから、自分も特殊能力を悪いことに使わない。
SNSやラジオで煽られても善意を信じ、自分にしかできないことをやる。
「スパイダーマンってそういう奴」とわかると、中盤からのストーリーに入りやすくなる。

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PVでも散々出ていたけど、リーさんはなんだか目が光って、「ミスター・ネガティブ」なる存在になる。
対決のやりとりも熱い。悪人になったからお前を倒す!とか言わない。
あなたはそんな人じゃない!乗り越えられるはず!ってジョークも忘れて、バカ正直に説得しようとするのだ。

サポート役のワタナベさんも日系人。こんなにアジア系が出てくるスパイダーマンって、東映版以来じゃないか?
遊びを入れながら、人種や性別に配慮してるのも今っぽい。

そう、今っぽいんだ。CG技術も内容も。

テロにおびえる社会で、それでも善意を信じるお人よし主人公。
ビルの屋上からキックで強盗を突き落せるんだけど、その後をよく見ると、落ちずに壁にくっついてる。

ゲームのお約束で、倒した敵は透明になって消えても罪悪感はわかないのに、
「スパイダーマンは不殺」にするため、わざわざ、やられた敵が壁にくっいて、もがく動きを作っている。
スタッフの技術力とマジメさを結集させて、テレビゲームに、スパイダーマンっぽい奴が活躍するキャラゲーじゃない、本物のスパイダーマンを呼ぶことができた。



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