「アルコ&ピースのDCガレージ」ファルコン脱退事件のような超くだらない騒動が、世界から「おもしろ」を殺す

「ファルコン脱退スペシャルプチ炎上事件」という意味わからん騒動が、深夜ラジオ好きを怯えさせ、番組のコメントに「笑いながら泣いた」と書かれるまで。


「アルコ&ピース」という、中堅お笑いコンビの「DCガレージ」というラジオがあります。



ここ何週かは、アメコミヒーローものの映画話をしていました。
気に入ったのは「ファルコン」という男。
スーパーヒーローではないが、機械仕掛けの翼と銃で戦う。アイアンマンやスパイダーマンに比べると情報もない、グッズも少ない。存在感ある割にすぐ退場する、こいつは何なんですかと、リスナーも交えてファルコン最強説、不要説でわーわー言ってたんです。「出たけどすぐやられてんじゃねえか」とか、深夜のファミレスの会話的に。

思えば、昔から「カッコイイけどなんか不思議な人」をいじることが多いラジオだった。
ディーン・フジオカ、織田裕二、マンウィズアミッション。



こいつがファルコンだ

その流れで、特別企画として、「ファルコンを脱退するよう説得している音源」「かわりにアベンジャーズに入りたい人」を募集した。

「最強説」に期待して出演作を観ても、すぐ退場していくファルコンを不憫に思うあまり、みんなでファルコンを引退させようと呼びかける、要するに、素人に
「ファルコン!僕とハローワークで次の仕事探さないかい」的なコント音源を募集するという、超リスキーで頭のおかしい企画。
それをプロの構成でまとめて、何らかのオチに向かっていく展開を用意していたんだろうけど、

「ファルコンをアベンジャーズから脱退するよう説得!」
という字面は、にわかアメコミ好き芸人が騒いでいるようで、アメコミファンがカチンとくる感じになってしまっていた。

自分も詳しくないなりに映画は好きだけど、まさかこのアメコミ大好きラジオが、同じアメコミ大好き民に敵対視されるなんて想像もしてなかった。
レンタルショップで「ファルコン」の単独作品を探しても出てなかった話とか面白かったのに。

これまでどんな話しても無反応だったネットニュースがピックアップした。
「ファルコンを脱退するように呼びかけて、賛否が分かれている」
賛否って、否の声はなさそうだったが(というか、こんな意味不明な企画に賛否も何もない)。
「賛否を呼んでいる」と書くと、中立の立場で伝えたように印象付けられるのね。

いわゆる軽い「炎上」騒ぎになり、リスナーが声を送る企画だったけど、巻き込まれるかもしれないので企画はつぶされた。

このやり方が許されるなら、TVラジオはもちろん、漫画やゲーム、何でも切り取って良識派に「殺させる」ことができる。
一時、マンガのエロ、暴力描写が規制されるんじゃないかって騒ぎがあったけど、上の人が手を出すまでもない。

深夜の芸人に良識を求めて謝罪させますか。
ファミレスの馬鹿話まで監視しますか。
野暮じゃないですか。
それより、生の本番どうなるんでしょうか。


本番当日。
どうなるかと思ったが、冒頭に「さーせんでしたあ!」と謝罪。
のあと、突然シンガーの土岐麻子さん登場。
番組内で曲紹介したとき、軽くいじったことがあったので、またも「さーせんでしたああ!」

その後、急遽、土岐麻子さんの新曲「ブラックサバンナ」の解釈を送るよう呼びかける。
訓練されたリスナーの瞬発力も恐るべし。すぐ
「この曲は自分のことを歌っています」
「ビュッフェの春雨サラダの孤独を歌っています」
と、次々同じ曲でも変に解釈したネタメールが届く。

そして最後に「言葉は人によって解釈が異なるんですね」と、騒動をまとめた。
曲も放送も、実際に聞いてほしい。
聞かずに語ると、本当のところからずれていく。

ファルコンと同じく、番組でいじられた土岐さんが笑っていたので、ギスギスした空気は柔らかくなるし、生放送のネタ募集に即反応したリスナーと、出演者、スタッフ一同による生放送1度限りのナイス着地。

なんとか無事に終わりそうと思いきや、次の放送のため待機していた爆笑問題が乱入。
太田光が、俺が騒いだ方がネタになるんだろ!?ほれ書けよ!とばかりに騒ぐ。
「お前らアベンジャーズ好きなんだろ!?謝る必要ねえよ!」
太田は、インターネットが一部の人の物だったころに、何度も死ね死ねと書かれ続けてきたのに、まだこんなことを言う。

いつ取り壊されてもおかしくない遊び場を、大人たちが一生懸命考えて、声を張り上げて守っている。

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