俺たちのRPG。「メタルマックス」「メタルマックスゼノ」レビュー

草原より荒野。愛より賞金。
PS4最新作「メタルマックス ゼノ」をクリアしたので、プレイ済の1、2、4も振り返りつつレビューを書きます。



メタルマックス(MM)は、ファミコン末期のRPG。
ドラクエっぽい王道のファンタジー世界を舞台にしたゲームが多くて、「違うものないかな、同じようなものばかりだな」と飢えていたゲーム好きのもとに
「竜退治はもう飽きた!」
の文句と共に投下された。

ゲームを作る側の言葉なら、ふつうは
「竜退治はもう飽きてませんか?」のはずなのに
「もう飽きた!」
と、ゲームをやってる側の言葉で、思ってたことを先に叫んでくれた。

主人公は、安定した親の仕事を継ぐのを断って、刺激のある毎日を選んで外の世界に旅立つ。
勇者の末裔でもない。
幼馴染や姫様を救うためでもない。
ピンチになったら額に紋章が出てきたわけでもない。
「俺たち」といっしょ。
退屈な毎日を捨てて、田舎から外にでて、クルマを手に入れて行動範囲が広がった。
「俺たち」のままの主人公は、まさに退屈なゲームを放り出すように故郷の村を飛び出した。

それまでも、ドラクエの船、ファイナルファンタジーの飛行船、印象的な乗り物はあったけど、MMは序盤から極端に強くなる「戦車」をフィーチャー。
戦車は、5キロ運べるエンジンに、3キロ武器を積めば、残りの2キロ分「装甲タイル」つまり戦車の体力になる。
重い大砲を積んだらその分ガードが弱くなる。
壊れたら修理したり、弾が有料だったり、ときには「けん引」して運んだり、戦車の管理が面倒かつ面白い。

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代々登場するヤツ。画像は「ゼノ」から。

敵デザインも西洋ファンタジーと関係なくて、ドラクエのスライムにあえて対抗するような「殺人アメーバ」
「キャノンホッパー」「カバガン」「巨大アリ」
…動物と機械の合体みたいな敵が多いけど、動物実験臭はなくて、子供が考えたモンスターの延長にある。明るく生き生きしたデザイン。

各地のボスは「賞金首」になっていて、倒せば大金がもらえる。
感謝の言葉は当たり前で、仕事のぶんのカネはちゃんといただくきれいごとの無さ。
村人のセリフひとつにまでクセがあって、戦車を改造するのに性的に(?)興奮している奴がいたり、死んだらマッドサイエンティストの電撃実験で生き返る。
生きている仲間を連れてきたら
「なんだこの死体は!まだ生きとるじゃないか!」ときた。

やんちゃで知的でサービス精神旺盛で、ヘンなゲーム。
みんながドラクエやFFで盛り上がる中、このゲームをチョイスした自分! 流行よりセンスで選ぶ自分!
ヒット曲よりも、マニアックな洋楽をひとり聞き込むような、ちょっとした優越感!

そこまで売れてないのは感じるけど、その分「俺たちが見つけた俺たちのRPG」感があった。



スーファミの「2」は難易度高め、ブラックな描写多めの人気作。旅の理由が復讐なので少し重い。
1のリメイク版「リターンズ」はカラッと明るく、ボタンも増えたので戦車の乗り降りも快適。

間を開けて、携帯機で「3」「4」が発売。
4はこれまでの集大成と言える出来で、破綻寸前までイベントを詰め込んで延々楽しかったけど、発売前に「箱絵が悪い」と、かなりバッシングがあったそうだ。

このことで、プレイヤーは制作者に見限られたんじゃないかと思っている。
発売前に箱絵でバッシング。
店にメシを食べに行かず、他人が付けた星の数でおいしさを判断するのと同レベルだ。

かしこい人なら考えるはずだ。
食べてないからわからないとか、わざわざプロの仕事に悪口を言うのはやめようとか。

なにより、ちゃんと箱絵がヘンなのに、なぜ文句を言うのかと。
「ヘンなゲーム」だからこそ、むしろ「俺は買ってみよう」と食いついた人がいて、その人たちが応援の声を届けて続編に繋がったシリーズなのに、買う前から拒否反応起こされたら、作り手の士気みたいなのは下がるだろう。僕のように4が好きな人もいるけど、声援は関係ない人の罵声にかき消され、売り上げ振るわず。


最新作「ゼノ」は、おそらく4の失敗から方向転換している。
好奇心を持って面白さを見つけてくれるゲーマーは、もう和製RPGやってねえ!
面倒くさい部分は削って、「武器を撃って、アイテムを集める楽しさ」に絞った作品だ。

人類は滅亡寸前で残り数人。序盤の数時間は一本道で、失敗したときも即全回復の快適仕様。
敵には一発先制攻撃をかましてから戦いに入るようになり、場面によってはシューティングゲームみたいにザクザク砲撃してアイテムを拾う。
砲撃や、エンジンまでこだわった音作りで快感。画面がでかいからモンスターが伸び伸びしておる。

システムの解説を読めただけで「スゴ腕ポイント」なるポイントがもらえる。
少し進むたびにご褒美があって、行き先も示してくれて、今風というより、まじめにプレイせず野次ばかりのバカでも理解できるように甘やかしてくれた感じだ。その結果、展開はのっぺりしてフィールドがやけに広く感じる。

敵の弱点属性がはっきりしているので、硬い敵に、電撃や火炎放射器を積んでいろいろ準備して、1ターンで大ダメージを与えるのは痛快。

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見よ、この衛生的な環境。各地の街は全滅して、唯一の本拠地にはチリ一つ落ちてない。
仲間同士はごはんモリモリ食べながら恋バナ。修学旅行の夜か! 絶滅寸前の人類の会話として作られてないです。
生活は文明社会の置き土産である「なんかすげえ科学」でどうにかなっているのか、食料とか衛生面とか排せつとかは、まあ考えない方向で。

4の反動でキャラデザインをきれいにしたことで、ますます「人類最後」感は無く。
戦場より過酷な状況で女子はミニスカート。
人類滅亡をかけて協力する最後の数人同士で買い物している。

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今までのシリーズならおかしくないセリフだけど、人類滅亡寸前で誰にウワサされているんだろう。
大胆な設定と合ってない、いろんなツッコミ所を見えないふりして進む。たまにちょっとエロい一枚絵が出てくる。

めったにRPGをクリアまでやり通せない自分が2週目(イベントなしでハクスラ感覚で荒野をうろつくハンターモード)まで進んだ。
動く歩道にずっと乗っていたようなプレイ感覚だけど、ひどい出来とは思わない。過去作と比べるのも意味はない。

でもなんだ、この寂しさ。
新作が出るたびに何かしら驚かせてくれた「俺たちのRPG」。
あの鼻息の荒さはなく、衰えて声量のなくなったロックミュージシャンを見ているような寂しさ。

この路線を進めてもいいし、4までの路線でもいい。
何度も消えかけては復活した不死身のシリーズの意地で、もう一度、ゲームの刺激に飽きかけている自分を驚かせてほしい。


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