「トランスジェンダー女子が温泉に行く」one night, hot springsレビュー

「トランスジェンダー女子が温泉に行く」
1行の説明文だけで「え?」と、スワイプした指がツツツと戻った。

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アンドロイドで無料配信している「one night, hot springs」のレビュー、行くぜ!
ダウンロードはこちらから

友達の誕生日に温泉旅行に誘われた主人公は、男性の身体で生まれて、心は女性。
いわゆる多数派の人なら何も考えなくてもいい、周囲の会話で気疲れしてしまう。
選択肢を選ぶことで友達に普段言えなかった話ができる。

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選んだ答えによっては左上に小さく表示された3つのハートが消えていく。
ハートが何なのか説明はされない。なくなったらバッドエンドというわけでもない。
とにかく選択肢によってハートが「すり減る」。

驚くのは作り込みの丁寧さで、
1周30分もかからない短編なのにメッセージの早送り、英語韓国語への対応、セーブ、スキップ、ギャラリーモードまで備えている。

完全無料で広告なし。金儲けをしようとしてもできない設計になっている。
短編とはいえ、見ず知らずの人の文章を30分読んでもらうのは相当難しい。
だけど、ゲームなら別だ。
これを作った人は、たいへんな金と労力を費やしてでも「何でもない温泉旅館の一夜」を体験してほしかったのか。

ちょっとだけ、プレイ中だけ、自分のような立場になったと思って選択肢を選んでみてください、
どこかで自分と違う人と会ったら、このゲームのことを思い出してください、という静かな迫力を感じる。


「one night~」は、主人公も少数派だけど、ゲームジャンルも少数派だ。
男性名を書かないといけない状況で悩んで、女湯が今なら空いているから、と従業員に勧められて申し訳ない気持ちになって。
ストーリー分岐型アドベンチャーだけど、ストーリーの面白さより、エッセイやブログに近い面白さがある。


自己表現のために、映画を撮ったり詩やブログを書いたり、いろんなジャンルの作品を手掛ける人がいる。
昔ならそこに「ゲーム制作」は無かった。
大人数で、ソフト1本5000円以上するものに、個人のメッセージをたくすのは向いてない。

だけど、ゲーマー以外もゲームができる端末を持つようになり、無料アプリ制作が広まって、ゲームで自己表現できるようになった。
こんな方向性のゲームもありなんだ。

one night, hot springsは、人の多様性についてはもちろん、ゲームももっと多様性を持てることを教えてくれた。

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コメント

ももんがす #-

レビュー読んでからすぐにプレイして、このゲームを遊べて本当に良かったと思えました。

レビュー書いていただいてありがとうございます。
これからもこうした隠れたゲームの紹介楽しみにしています。

2018年05月20日(日) 16時37分 | URL | 編集

南 光裕 #-

Re: ありがとうございます

めちゃ励みになります。
このゲーム、繰り返しプレイするごとに忘れられなくなって、「作者の実体験なのかな」とか考えてしまいます。

> レビュー読んでからすぐにプレイして、このゲームを遊べて本当に良かったと思えました。
>
> レビュー書いていただいてありがとうございます。
> これからもこうした隠れたゲームの紹介楽しみにしています。

2018年05月22日(火) 16時25分 | URL | 編集


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