「長嶋有漫画化計画」紹介

芥川賞作家「長嶋有」。
ゲームライター「ブルボン小林」としてファミ通などで切れ味鋭いコラムも書く、異色の小説家です。
ネオジオポケットやMSXという昔のゲームに関するコラムで、特に熱く支持されています。




純文学作家としてもかなり珍しい存在です。なんといっても「書きたいテーマ」がそれほど無いらしいのです。思春期の少年がゲームやってお菓子食べて…みたいな、いわゆる「日常系アニメ」に近い空気もあるかも。
主人公の親が離婚していたり、ゲーム好きだったり、孤独だけどそれを不幸とは感じていない、などの共通点はあるけど、そのことも特に内容と絡んでないし、一体この作者は何を言いたいんだ!と不思議に思う人も多いようです。そりゃそうだ。特に言いたいことが無いんだから。
もちろんストーリー性やメッセージ性のあるものもありますが、常に冷静な視点や、細かい笑いが持ち味で、ダイナミックな展開を期待してはいけません。
そんな長嶋有の小説を、有名どころから新人まで漫画家さんが集まってカバーしてしまおうというのが本作です。

カバー絵は藤子不二雄A。
デビュー作なので新人漫画家に依頼したかったという「サイドカーに犬」にはウラモトユウコ。
雪国の日常を情感たっぷりに描いた「十時間」には荻尾望都。
もともと笑いの要素多めだった「夕子ちゃんの近道」はカラスヤサトシ。
男性ふたりが主人公の「パラレル」をボーイズラブ風味に大胆な解釈をした、うめ。
文系主人公を透明感ある作画で描いた「ぼくは落ち着きがない」に衿沢世衣子。
ジャージの親子ふたりが会話するだけというシュールな「ジャージの二人」に吉田戦車。
少女と無職のオタク青年が会話するだけの短編「タンノイのエジンバラ」に河井克夫。
ファミ通編集者の実話エピソードがもとになった「エロマンガ島の三人」に陽気婢。
他にも、フジモトマサル、100%ORANGE、よしもとよしとも、小玉ユキ、島崎譲、オカヤイヅミ、島田虎之介が参加している。ジャンルもバラバラで、まだ知らない漫画家さんを知ってもらいたいというコンセプトがある。

この中のほとんどの漫画家さんを知らない自分が、個人的に気に入った人を選ぶと「吉田戦車」「ウラモトユウコ「うめ」の三人かな。特に「ジャージの二人」「吉田戦車」という組み合わせは、ブリと大根のような相性の良さ。
逆にタンノイのエジンバラに出てくる少女をあまりにも可愛くない造形にした短編では、登場人物の顔をはっきり描かないといけないマンガの難しさを痛感しました。この短編に出てくる女の子は、主人公の元に突然やってきて突然帰っていくんだけど、あんまり可愛くなかったりネット用語でいうDQNネームに近かったりして、不遇な感じがするのが味になっている。
だからって、あそこまで不細工にしなくても…。
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