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PS4「FIREWATCH」レビュー 潰されそうな静寂の中で、生き伸びるためのジョーク

題材も、会話のセンスも、ザ・海外のインディーズゲーム!だった「ファイアウォッチ」。

80年代。家庭に問題を抱えた中年男性ヘンリーが、逃げ出すように選んだ、山火事の見張り業務。
プレイヤーは主観視点で、見張り台でのひと夏を過ごす。

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他者との関わりを捨てたヘンリーの前には生活用品と、本と山。
ヘンリー視点だから、自分の顔すら見えない。
ゲームの中に「顔」がない。

多くのゲームは登場人物の「顔」を重視するけど、このゲームでは顔を出さずに「持ち物」で人を表現する。
山を歩くとキャンプの跡があって、ビール缶が大量に捨ててある。
そこにいた人にとって、必要な荷物が「ビール」だった。

「無人島に1つ持っていくなら何?」
って、答えで人間性を見る質問があるけど、
「孤独の中ですごすのに何を持っていくか」
で人を表現している。
この人はリュックのスペースにこれを入れたんだな、と思って小物類を見てほしい。
ゲームの進行に関係ないけど、ひとつひとつを手に取って見ることができる。

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他者をもっとも近くに感じるのは、近くの見張り台の女性と通信するときだけ。
山を歩いて動物の痕跡を見つけるたび、崖やキャンプの跡を見つけるたび、L2ボタンを押して返答。

他愛もない軽口を言いあって、未完成の地図を手にぐるぐる迷う。
欧米人は、追い詰められたときこそジョークを言う、とは聞くけど。
互いに顔も知らない男女が、この崖になんて名前をつけようとか、どんな顔をして、何があってこの仕事についたのか、とかひたすらジョークを言いながら山を歩き回る。
ジョークなんて直接的に役に立つことはないけど、それでもないと、今の環境を直視するとつぶされてしまう。

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ヘンリーは家庭の問題を先送りにした。
プレイヤーだってそもそも、みんなと騒いだり、オリンピックを観たり、モンハンワールドをするんじゃなくて、このゲームに何かひっかかるものを感じて、買ったということは
「パーティーより孤独を選ぶ人」だろう。
それでも、本当にひとりになったら生きていけない。

わざと楽しさを抑えて、ちょっと人生について考えてしまうような、静かで存在感のあるゲームだった。



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