FC2ブログ

カラテカ矢部、「大家さんと僕」で第二の有吉になる

「電波少年」の呪縛を断った!
お笑いコンビ「カラテカ」矢部太郎が出版した「大家さんと僕」が売れている。



住んでいたマンションを追い出された「イマイチな芸人」矢部は、不動産屋で珍しい物件を紹介される。
新居は一戸建ての2階。下の階には87歳の大家さんが住んでいる。
「大家さんは素敵な方ですよ」

上品なおばあ様と、一つ屋根の下で生活が始まる。
家に戻れば、干していた洗濯物がきれいに畳まれている。
電気をつけたら「おかえりなさい」と電話がかかる。

戦時中の苦労話にしんみりして、ほうじ茶を飲んで、初恋の人の思い出を聞いて、二人で血圧を測る。
お笑いライブやゴールデンの時間帯向けの笑いではない。
ささいな出来事。ちょっとした笑い。

「大ヒット中!泣ける!」
と紹介されていて不安になった。そういうのじゃない。
わかりやすいドラマチックな事は起こらない。だからこそ、読者が自分の状況と重ね合わせやすい。
みんな大家さんに自らの亡き祖母を重ねたり、普段は会話のない家族それぞれに過去があることを思う。

もうひとつ、本作に漂うのは「別れの雰囲気」。
冒頭の不動産屋での会話「高齢なのでよろしくお願いします」の時点から、読者はいつか来る「その日」を意識してしまう。
「いつか別れがあるから、なんでもない日々が大切だ」
なんてありきたりな一言にまとめず、ただ平穏な日々を描いた。押しつけがましくない漫画。上品。
他の登場人物たちも、矢部をいじったり、遺産がどうこう言ってからかうけど、本当に人を傷つけることは言わない。


パラパラマンガで成功した「鉄拳」みたいだけど(そういえばカラテカもゲーム名が元ネタだ)
「電波少年」から苦労して開花した点では、第二の有吉弘行かもしれない。

有吉がひとつの番組に人生めちゃくちゃにされ、究極の一発屋として馬鹿にされ、這いずり回っていたからこそ、器用な成功者、品川祐への「おしゃべりクソ野郎」は衝撃だった。

矢部もかつて「電波少年」で、アフリカの部族の言葉を学習して漫才をする企画に参加した。
有吉ほどじゃないが一度有名になってからの、長い長い低迷期。
「お笑い向いてないのかも」
と自問自答して、作中でもスベりまくる。正直、向いてるように見えない。細すぎて、体を張った企画をやるとイジメに見える。

40近くまで頑張っても一向に芽が出ない人生に、そろそろ絶望してもおかしくないのに、まだこんな優しいものを描ける。
苦労があった大家さんも、矢部太郎も、優しいままで生きていける。


にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

「電波少年」出演者の出川、松村らは日常的に不良にからまれて暴行されていた。
後継者に近いのは安田大サーカスのクロちゃん。

関連記事

コメント


トラックバック

↑