いましろたかし「新釣れんボーイ」「曇天三茶生活」改題問題に反対する


山田孝之プロデュースで「ハード・コア」が奇跡の実写映画化。
それにともない、いましろたかし評価の波が静かに起きようとしているのかいないのか。

「ハード・コア」新装版にあわせて、新刊「曇天三茶生活」が発売された。
これが「新 釣れんボーイ」の2巻を改題したものだったのに気づかなかった。

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ちょっと!これが1巻と2巻だってわかる人いますか!?
お客様の中に、これが続きものだと判別できる方、いらっしゃいますかー?

1巻が売れなくてタイトルを変えられたらしい。
実は釣りもほとんどしてないのがまずかったか。
2巻は、夜ひんぱんにトイレに起きなきゃいけないのつらいって話だった。


改題したくなる気はわかるけど、「新釣れんボーイ」の名を外しちゃうのは大反対。ていうかタイトル変えたところで売れない。



十年以上前に、作者をモデルにした釣り好き漫画家ヒマシロを描いたのが「釣れんボーイ」。
そこから長い空白期間があって、アラフィフになったヒマシロ先生の日々を描くのが「新 釣れんボーイ」。



この間に10年以上の空白期間がある。

元祖は、漫画家として売れなくて、ぼんやりして、合間に釣りに行ってもヘタクソな「釣れんボーイ」だった。
「新」になって、ほとんど釣りに行かずにアベ政権批判や病気のグチ、原発への怒りがメインになった。
それでもヒマシロ先生が出ているから「新 釣れんボーイ」でいいと思った。
ドラゴンボールを探さないんならタイトルを変えようと言えますか。悟空が出ればドラゴンボールだ。

ヒマシロ先生は、少年時代、売れない時期、「新」がつくまでの空白期間、ずっと自然と動物が好きで、悩み事があると渓流釣りをしている。
そんな自分を受け止めてくれた川が汚されて、魚を誰かにあげようとしても安全かどうか気にされるようになった。
だから「新 釣れんボーイ」では原発に対して怒っている。

昨日今日わいた怒りではないのに、「曇天三茶生活」を独立した作品と勘違いして読まれると、新聞読んで原発に怒ってるおじさんを描いた、スケールが小さい作品に思われてしまう。


「新」から元祖に戻って読み返すと、作者も意図していなかったであろう感情で、胸がくっと痛くなる。
アマゾンで無料立ち読みの範囲でいい。雰囲気を見てほしい。

元祖で、釣りは決してハッピーに描かれていない。
使えないアシスタント、ぱっとしない日々。今と違って猫に囲まれる生活も羨ましがられることじゃなかった。
売れてチヤホヤされる生活とはかけ離れたヒマシロに残された、ささやかな楽しみが釣りだった。

それすら奪われた現在が「新 釣れんボーイ」

健康問題と釣り具の値上がりで、ささやかな趣味すら心おきなく行けない。
貯金残高や印税もリアルに書かれて、アシスタントを雇っていたのが夢のようだと懐古する。
元気に走り回っていた猫たちは写真の中にいる。

仲間、猫たち。わざわざ遠出して釣りに行ける健康な体。若さ。
若きユーウツな日々が、過去になってからどれだけ大切だったのかわかる。

(腕前が)釣れんボーイから、
(老化と環境問題で)釣れんボーイに。
話は繋がっている。タイトルを受け継ぐことで、「元祖」と「新」の間のヒマシロ先生を想像することができる。

「ハード・コア」公開でいましろ作品を掘り起こす人たちを混乱させないため、タイトルの改悪に反対する。

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