2016年ベストゲーム5選!


今年プレイしたゲームからベスト5を選ぶ、毎年恒例の企画です。
まず、去年以前のベスト5を振り返ってみよう。


2013年ベスト5

1位「ソリティ馬」3DS
2位「メタルマックス4 月光のディーヴァ」3DS
3位「妖怪ウォッチ」3DS
4位「ダブルドラゴン ネオン」PS3
5位「たまご大冒険」3DS

2014年ベスト5

1位「インファマス ファーストライト(PS4)」
2位「レゾガン(PS4)」
3位「トゥームレイダー(PS4)」
4位「カセキホリダー ムゲンギア(3DS)」
5位「ナチュラルドクトリン(PS4)」

2015年ベスト5

1位「チャリオット」(PS4)
2位「ホットラインマイアミ」(PS4)
3位「nom nom GALAXY」(PS4)
4位「リンカーンVSエイリアン」(3DS)
5位「ダイイングライト」(PS4)
次点「アンティルドーン 惨劇の山荘」(PS4)


2016年に印象に残ったゲームですが、まず年末に「THE WITNESS」が出てきた。これをどうしていいものか。


「THE WITNESS」(PS4、未クリア)
巨大なパズルだらけの島にひとりぼっちにされたプレイヤー。
単純なパズルから、島全体がパズルになっていることに(主人公ではなく)プレイヤー自身が気付いていく。

「あれ、この模様気になる」
と思ったもの全てが
「よく気付きましたね」
とばかりに応えてくれる快感。
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中盤で知らない人が突然出てきて難しい話をされます。誰ですか。とりあえずこれ未クリアのためランキングには保留。


あと印象に残ったゲームは、
「デッドオアアライブ エクストリーム3」(PS4)

言いたいことはあるけど悪くなかったと思う。
水着の女の子を写真に撮るゲームに「日焼け」の要素が加わった。
日焼けがあることで、写真1枚でも
「普段は露出の少ない水着を着ている娘が、撮影時だけこの水着で来た」
とか、ストーリー性を持たせることができる。
日焼け跡はストーリーだった。
追加キャラが待ち遠しい。ティナとレイファンがいないとDOAじゃない。

他にも、一見ローグをリスペクトしつつ、全く別物のゲームにした「BRUT@L」、
まさかの続編、「ボコスカウォーズ2」。
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トロフィー欄で物語になってるノベルゲームだった。

「パックマンCE2」もプラチナトロフィーまでやりこみ、「トゥモローチルドレン」のセンスに脱帽。
印象深く、懐かしいシリーズの復活も多かったけど、
完成度と新鮮さの両方を備えた「今年はこれ!」ってのを選ぶとなると難しい。
では、今年の2016年ベストゲーム。



5位!
「ガンズ、ゴア&カノリ」(PS4)

「メタルスラッグ」をより気持ちよくしたようなアクション。
全力で作られたB級ストーリー。手書きアニメのゾンビを一掃して爽快。
キックで間を取ってドラム缶撃って一掃!
アーケードゲームをそのまま持ってきたような潔いコンパクトさ。

4位!
「マフィア3」(PS4)
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同時期にウォッチドッグス2が出て呑まれちゃった感じだが、前作の不評を覆す出来にはなったんじゃないでしょうか。
裸と差別。
人間の一番反応しやすい要素を大胆にぶちこんでフレッシュな仕上がりに。
このオマケのヌードグラビア!またしても日焼け跡!そしてなんか時代を感じる!単にハダカが見れるだけじゃなくて世界観の構築に一役買っている。
キャラクターの表情の演技もよかった。

3位!
「トライアルズ オブ ザ ブラッドドラゴン」(PS4)

重心移動でバイクレースする「トライアルズ」にストーリー性を加えて一新したヤツ。
自分の評価と世間の評価に最もギャップがあったゲーム。
要はこれまでのファンから「こんなのトライアルズじゃねえ」って言われたってことで、確かに別物にしちゃってるが、乗り物を操る楽しさと悪趣味なセンスは生きている。変更は英断だ。好き。


2位!
「サバクのネズミ団!」(3DS)

彗星のごとく現れて俺の睡眠時間を食い荒らしていったネズミ団。
年々携帯ゲームを遊ぶ時間が減り、おそらく3DSから「スイッチ」しちゃうと思うので、
3DSでこんなにず~~~っと遊んだゲームはこれが最後になるかも。
地味なんだけど、音楽もセリフも、細かい演出ひとつひとつに気を配って飽きさせない。
こういうゲームが出てきたこと、評価されたことが嬉しくなる。


1位
「エンター ザ ガンジョン」!(PS4)
automatonさんの詳細なレビューはこちら

今年最もプレイ時間が多かったゲームということで、こいつで。
正体不明のキャラクターたちが銃をモチーフにしたダンジョン「ガンジョン」に挑む。
古今東西のゲーム、映画の武器の特性を見極めよ。細かい謎解き、丁寧な翻訳、謎を抱えた主人公たち。運と経験を総動員させてボスを倒せ。
地味なゲームだと思わせての…ラストの大胆な構成には驚かされた。最後までやって良かった!

「クレイジージャーニー」関連本レビューで2016年を振り返る!

今年一年、ブログ以外で書いたクレイジージャーニー関連本を振り返りながら正月特番に備える!
番組が酒だとすると、味をより引き立てる「つまみ」になる本の紹介です。


高野秀行関連本レビュー

2016年の1月。高野秀行、初登場回直前に、過去の作品群を紹介する記事を書きました。
ずっとファンだった作家のTV登場ということで、かつてないワクワクと苦労を味わったレビュー。
ジャーナリストとしての一面を紹介されていたけど、高野のルーツは「木曜スペシャル」にある。


「外道クライマー」レビュー
超テンションの低い沢登りの人、といえばわかると思う。
本自体は作者の目線で書かれているので、ずっとテンションが高い印象を受ける。
あまりのテンションと、雨で難易度の増した沢登りでひどい目に遭っているディレクターに笑うしかなかった。


丸山ゴンザレス「アジア罰当たり紀行」レビュー
ゴンザレスの海外おもしろトラブル話。これは番組を観た直後に書いてます。
手軽に読めて面白いんだけど、やはりこの人は映像で観たほうが面白い。
修羅場をくぐって来てるのに、いじられキャラなんだよなあ。


篠宮龍三「素潜り世界一」レビュー
ありえないほどの息止めが衝撃だった篠宮さん。
番組では修行僧のような印象だったけど、本を読むと「自分は誤解されやすい」と繰り返している。
見た目と考えていることのギャップで、二度楽しめる。


高野秀行「謎のアジア納豆」レビュー
なんて面白くて深い題材だと驚き、番組で納豆料理の写真を見て、
これか!紹介されてたのは!と、本当に美味しそうなことにもう一度驚く。
海外の納豆に出会うまでの旅路や歴史的な考察がメインで、番組を観れる環境にある方は合わせて読むことでより美味くなる!
番組抜きでも、今年のノンフィクションでベスト5には入る傑作でしょう。

あとは、奇界遺産の佐藤健寿さんの文章も紹介したかったけど、わりと普通!
写真集のほうが圧倒的に満足度が高くて、そりゃこっちが本業だもん、カメラマンだもん、と妙に納得した。

こんな感じで、2017年も、クレイジージャーニーファンブログとして(そうだったの?)
活動していきたいと思っております。
さて、もうひとつの趣味である「今年のゲーム感想」行ってみましょうか。

PS4「ザ・ウィットネス」古き良き謎解きゲームの達成感を持つ「オープンワールドパズル」を断然支持する!

PS4で先日配信された「The Witness」

プレイヤーは何の情報もないまま島に放り出され、主観視点で歩きまわる。
目の前には閉ざされたドアとパネルがある。
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パネルに描かれた丸い部分をスタート地点として、ゴールまでなぞる。
ドアが開いた。広い場所にひらける。次のパネルを探す。

音楽もキャラクターもテキストも最小限まで削ってある。
突き放された世界で、自分と島の正体に迫っていく「オープンワールドパズル」だ。

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何のヒントもないようなパズルがあるが…
一歩引くと、同じ形の木があって、ひとつに果実が実っている。
作った人が「理不尽なものはひとつもないと言う通り」そのまま答えが書いてあるようなもんだ!

「島にパズルがある」んじゃない。パネルから問題がはみ出していて、猿の惑星のラストみたいに
「この島自体がパズルだったんだああ!!」
と絶叫しながら、驚きと発見を繰り返す。

パネルに描かれた記号の意味を考えて、数学的というか、理論で解くタイプの問題もあるけど、
周囲を観察してヒラメキで解くタイプの方が圧倒的に面白い!

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森の奥に入っていくと、今度こそ何の情報もないパズルがある。
木々のざわめきと自分の足音と、「カッコウ」と鳥の声が響くだけ。
今度こそわからない。自分より頭のいい人に作ってあるのかな。と違うルートを探す。

なにかの研究所跡や、上空の何かを目撃した瞬間のような格好で石化した人たち。
しばらくして森に戻ってきた。近くの滝の水音と「カッコウ」と鳥の声がする。

待てよ…!待て待て待て!
かすかに引っかかっていたけどスルーしてたんだ。
この島に生物は存在しないようだけど、鳥の声ってなんだ?
「鳥の声」だけこのゲームの世界観から浮いてる。そもそも、特定の場所だけで聞こえる鳥の声って明らかに不自然だよな。
パネルの形と鳥の声が…対応して…こうなって…。

あ、わかっちゃった。せーの、
「この島自体がパズルだったんだあ!!」

BGMがないゲームで音がヒント!
ヘッドホンを装着して、ひさしぶりに紙とペンを用意してゲームを進めた。

単なるオブジェ、手の届かない難易度に見えたパズルに見えたものが、まさに「視点を変えること」でぱらっとほどけるように解けて道が開ける。
主観視点の「オープンワールドパズル」なる新ジャンルなのに、古き良き謎解きゲームの快感がしっかり継承されているんだよ!
脳をギリギリまで締め付けられて、詰んだ、もうダメだ。と思ったところから一気に解放される。

「MYST」の影響を受けているそうだが、
メタルギアソリッド以前の小島秀夫作品のような、製作者の世界観を理解していく面白さもある。
あれにも音がゲーム内の仕掛けであったね…。

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完全クリアに何百時間もかかる質と量らしいので、自分はおそらく、ゲームの2割ぐらいしか理解できてないが、現時点でも「THE WITNESS」を断然支持したい!
この島がパズルだったんだあ!!



復讐の連鎖は何も生まない? 知ったことか。PS4「マフィア3」レビュー


1968年ルイジアナ。
ベトナム戦争から帰還するも、イタリアンマフィアに全てを奪われた黒人、リンカーン・クレイ。
彼は復讐のために、車を奪って密輸やパーティーの現場を襲撃し、敵リーダーの収入源を絶ってボスを追い詰めていく。

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いわゆるオープンワールドのTPSで、街をうろついて敵と戦う。好きなアメ車でレースをする。
ウォッチドッグスやGTAのような超A級の質と量を備えたシリーズに勝るクオリティとは言わない。
だけど、人種差別を絡めたストーリー、本物の音楽、雑誌、戦争映像を大胆に使うことでパンチの利いた仕上がりになった。

敵の縄張りに踏み込むと、銃弾とともに四方八方から黒人侮辱の悪口が飛び交う。
吹き替えなし。
そもそも対応する日本語がない。
普段の会話も全部「ピー」入れないといけないレベル!


ゲームも、暴力、エロに続いて差別描写に気を配るのが当たり前の時代が来る。
映画と同レベルの画質で、ボタン一つで配信できるんだからそれは当然の流れだ。

マフィア3は、いちはやく「人種差別」を前面に出したゲーム。
散々「言っちゃいけない言葉」を言われまくる代わりに、敵をつかまえれば処遇は自由。
暴力やエロよりもずっと繊細なテーマを押し出して、そこがゲームの印象を強烈にしているし、
どこでもタバコを吸うキャラクターや、当たり前にある「有色人種お断り」の店には、不快感よりも面白さを感じる。

物陰に潜んで敵を締め落とし、死体はかついで目につかないところに運ぶ。
目立つ場所に吊るした敵幹部の無残な姿が、敵ボスに対する宣戦布告のメッセージだ。
敵は配下にすることもできるけど、KKKのメンバーは生かす選択肢自体がなくて、エグイ殺し方で落とし前を付ける。
このへんのバランスで、ギリギリ差別描写もOKにしてるんだと思う。

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もうひとつ大事なのが「収集要素の豪華さ」
マップ上に落ちているのは当時の雑誌の表紙。
プレイボーイ、ホットロッド、宗教誌「懺悔」。

汚ねえ野郎ばかりの戦いの合間に、「コレクション」コーナーだけで見れる、ヌードグラビアや有名人のインタビュー。
乳首は★で隠してあるけど、ゲームの中にまた別世界があるような華やかさ。
たまに著名人のインタビューが掲載された号もあって、要約だけでもほしかった。
けど、これでオープンワールドにありがちな収集の退屈さは消えた。あえて言えばリトライ時のロードが長いので、そこでこそ雑誌やレコードを眺めて待ちたかった。

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「GTA」「スカイリム」を越えるような規模のゲームではない。
あくまでも過去のオープンワールド系ゲームのフォロワーだ。
だけど、単なる2番煎じの評価に留まるよりは、他のゲームでやってないことやってやろうぜ!と気合が込められた感があり、
「悪くないけど物足りない」評価だった過去2作から、一皮むけた印象がある。

きれいごとがない。誰の幸せにも繋がらない。果てしない暴力の世界へようこそ!




クレイジージャーニー12月22日放送回「元日SPのお知らせ」感想

今回のクレイジージャーニーは、元日スペシャルの前置き。
丸山ゴンザレスの「ラスベガスの地下住人」、ベースジャンプの久保さん回の再編集版。

過去にやった内容なので特に期待もしてなかったんだけど、ラスベガスの地下住人回は初めて観る回だった。
何これ!何だこれ!
アジアスラム回、ブルース・リー回、銃密造村回、
丸山ゴンザレス回は全部見てると思い込んでたけど、たまたま観てない回が残ってた。

豊かさのバケモノみたいなカジノのすぐそばの下水道に住むホームレス。
下水道といっても下水は流れてなくて、どういう役割なのかよくわからないけど、
とにかく真っ暗なトンネルがある。入り口はふたつ。

ひとつのトンネルに入ろうとするが、壁に汚物のシミらしきものがついていて、
「これは薬物中毒者がおこしがちな行動だ」
と避け、もう一つの入り口にズカズカ入っていく。
えっえっ、待て!怖いって!何で平気で行けるの!

同行のディレクターも、完全に腰が引けているのがわかる。
こういう別世界の人って、一瞬でも怖がったり見下したりすると相手にしてくれない。
ゴンザレスは、ぱっと相手のふところに入っていく。

ホームレスになったきっかけの戦争や、取材後にカップルの女性に起きた事故、
何より、豊かさの象徴のような建物のすぐそばだったことによる、絵のインパクト。
豊かな世界の「シワの部分」にひそんでいる人たち。
こんなもん初期に撮れたら、そりゃ丸山ゴンザレス準レギュラー化するよ!


次のベースジャンプの久保さんは見たことがあった。
「オークリーのいいサングラスをなくす人」だ。
つかまれる場所がないような雪山のてっぺんから、ムササビみたいなウイングスーツで滑空する。

雪山のちょっと出っ張った部分。
「はやまらないで」の看板立てたら、自殺の名所と勘違いされそうな、行くだけでも危険な場所からムササビになって飛ぶ。

スカイダイビングよりもクレイジーさが一発で伝わるウイングスーツ。
最近PS4で出た「STEEP」というエクストリームスポーツのゲームでも、スノーボードと並んでフィーチャーされている。
今後、世界びっくり映像集みたいな番組ではよく見ることになるだろうし、PSVRで体験できる日も来ると思う。
初めて見たときの「それ大丈夫?」傘を広げて飛び降りるようなもんじゃないの?
って印象から、
「意外と飛んでる!確かに舞い上がってる!」
の驚き。ていうか、あれをゴーグルじゃなくてサングラスでやったら、そりゃなくなるよ!

といっても、高いところから落ちる映像だといろんな番組でやりつくされている。
元日スペシャルでは、ゴンザレスが持ってくる「陰」の絵を吹き飛ばすような新鮮な絵を見ることができるのか注目だ。


キン肉マン192話感想


「キン肉マン」最新回はこちらから無料で読めます

「必要なのは対話である。」
12月19日のキン肉マン更新。

正義超人、悪魔超人という陣営が戦っていたところに、完璧超人というジャンルが割って入り、みつどもえで戦う現シリーズ。
正義超人キン肉マンと、完璧のネメシスが戦い、キン肉マンの必殺技マッスルスパークで勝った!

完璧超人たちの掟「負けたら即自害」にしたがい、自殺しようとするネメシスをみんなが説得する。

「愛すべき馬鹿マンガ」の代表で、教養とは無縁のキン肉マンが、
「自殺」と「戦争(差別でもいじめでも)」に、
それはいかんと叫んでいる!
現代社会に対してのメッセージかどうかわからないが、そう受け取れる!


説得も聞き入れず、自らの命を絶とうとするネメシス。
だが、マッスルスパークにやられた体は満足に動かない。

マッスルスパークの神髄は殺人技ではない。
相手に敗北を認めさせるが命は奪わない程度にダメージを与える技だった…。
よく理屈はわからないけど…。


そこで、ネメシスは完璧超人の総大将に、自分を殺すよう訴える。

総大将で、ずっとこの連載を引っ張ってきた大ボスの「ストロング・ザ・武道」ことザ・マンだけど、
思えばこいつはず~っと剣道の防具を付けている。

今ハラハラしているのは、あれを脱いだとき、
「強そう!こいつは連載の最後を締めくくるにふさわしい風格だ!!」
と納得できる容姿をしているかどうかだ!
ジャスティスマンや悪魔将軍以上のラスボス感、出るんでしょうか。
逆に小さい人が出てくる、鳥山明パターンかもしれない。

今は、各陣営に闘えるメンバーが2,3人しか残っていない状態。順当にいけばこいつとこいつが戦って最後はこうなって…と予想できるけど、もうワンサプライズ欲しい!
タッグマッチとか、3者入り乱れてのバトルロイヤル方式でもいい。あっと言わせてほしい!

理解できない人を「いじる」番組にはしない。「クレイジージャーニー」12月15日放送「食虫にはまった女」感想


昔のドラえもんで、ジャイアンがシチューをつくるときに
「セミのぬけがらをいれて…」
ってセリフがあったが。

本当にセミのぬけがらを食用のために集めている「愛」さんがゲスト。
新鮮なカブトムシを求めてのタイ旅行へスタッフも同行する。

異文化、理解できない人を「いじる」方向の番組にはしない。
高名な僧でも、食中マニアでも同様に尊重する。

番組の基本姿勢がぶれてないことを確信した回だった。

クレイジージャーニー12月15日放送「昆虫食にはまったクレイジーな女」感想。




血ゲロをそのまま放送した番組なので、これはけっこうなの来るぞ…と思っていたが、案の定!
かなりの残酷描写でも平気な松っちゃんが、
VTRを見ながらずっと、ソワソワ体を動かしている珍しい姿が見れた。

愛さんとタイの市場に行くと、コオロギの山!
色によって、味の濃さが変わるという。黒めのコオロギはビター。
大きなカエルもでーんと腹を出して積まれていた。
カエルは大量に獲れて味も鶏肉そっくり。人類は食糧難に備えて慣れておかないといけないかも。

いつも散々な目にあっているディレクターも昆虫食デビュー。
「うげーっ」とか罰ゲーム扱いしないで、普通の食べ物として接していたのが好印象。
食べれないものも、食虫文化を嫌うんじゃなくて、単純に味が苦手って理由だった。

愛さんの料理の手つきのかなり慣れた感じが印象的。
カブトムシはオマール海老みたいだから、イタリアンのエビ料理のエビだけカブトムシに替えたような料理を作る。
見慣れた料理のようで、食材だけ違う!異世界に迷い込んだ感覚。

念願のカブトムシは一発で取れちゃうし、特別美味しいわけでもなさそうだし、
番組として盛り上がる部分は少なく、ただ虫がいっぱい出てくる。
視聴率がとれないことを承知で放送したような、とんでもない回だった。

クリスマスケーキの予約CMが流れたり、街は少し浮き足立っているというのに、どこまで我が道を行くのか。

不満だったのは、愛さんは自宅でも食べるための虫を飼ってるんだから、やっぱりスタジオに持ってきてほしかった。
松本・設楽両名は絶対に無理らしいけど、
小池栄子姐さんが平然と食って、ポテトに近いカイコの味でゲストと盛り上がる姿が見たかった!

永田カビ「一人交換日記」闘病記から離れて、より手ごわい一冊に 

「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」
という本がある。
うつ、摂食障害を抱えて人と関われず、バイト先や家族に迷惑をかけてばかりの女性が、
親の評価を気にしていた自分を吹っ切るためにレズ風俗に行く。

「ピクシヴ」からほぼ素人の闘病記が出版されて、
きゃりーぱみゅぱみゅとかカズレーザーとか、ポップカルチャーを引っ張ってる人の手にまで届く過程を見ていた。
結構思い入れがある。

永田カビさんの凄かったのは
「傷つくこともかまわず傷口えぐってくスタイル」で、
これを僕は、インクのかわりに血で描いた漫画と呼ぶ。

自分の心の闇の部分って、考え込んだりさらけ出すことで悪化する可能性もあるし、
理解できない人に傷つけられる可能性もあるのに、全部さらけだしてネタにする。

摂食障害で、バイトのレジ打ち中にラーメンをかじるシーンが強烈で…
生麺をそのまま噛むと麺が血で染まるのが、やったことある人にしか描けない感があってグッと引き付けられた。

その続編的存在の「一人交換日記」買ってきた。
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「レズ風俗」の闘病要素がなくなり、その後の日々を描く。

死にたい気持ちがなくなった作者は、こんどは耐え難い孤独に襲われる。
わかり合える人といない限り、何人でいても孤独。
家族といても風俗に頼っても解消されない、心に穴の開いた感じがずっと続く。

そして、ためこんだ思いをさらけ出した「レズ風俗レポ」が家に届く!
誰よりも幸せになってほしかった母が読む!

「レズ風俗」は、両親からの評価が絶対だった娘の反抗。
「私はこんな思いを抱えていたんだ!」って叫び。
寝てばかりだと思っていた娘がこれを描いたと知ったら、何かしら反応はあるはずだ。

怒りか、謝罪か、祝福か。
どうにかなりそうな思いで母の感想を聞くと、
「うちの恥をさらしてる」
ととられていた。
ちゃんと読んでくれてない。
ため込んだ思いが商品になって、世に出て、自分の進む道が見えてきたのに。
「おめでとう」の一言もない。

私の描いた物はそないあかんか!
そないに!!あかんか!!

叫びが痛くて熱くて何度も読んでしまう。

12月のゲーム戦争にPS4「マフィア3」をあえて勧める!


ファイナルファンタジー15の評判が良い。
海外の超話題作と比べても、語る人の熱量が高い。
会わなかった人もいるだろうけど、おもしれー!!って言ってる人の声は超でかい。
ガラッと方向性を変えて評判もいいのは、往年のスクウェアを思い出す。いいなあ。



しかし、今回おすすめするのはあえてのR18「マフィア3」!
GTAのフォロワー。実在の街を舞台にしたオープンワールド。

自由に行動して、車を奪って警官をまいて、敵対勢力の支部を襲って、裏社会で勢力を拡大していくのが目的だ。

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この手のゲームって、刺激的なはずがだんだん作業的になりませんか。
広大な舞台はロードを長くするし、密度があって魅力的な人物がいるほうが楽しい。
各地のアイテム収集要素は、まだつぶしてないプチプチを一粒づつ探してるみたい。

そこにスパイスを効かせたのが、マフィア3の「実在感」

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1968年ルイジアナ州。
ベトナム帰還兵の黒人リンカーンは、恩人たちを殺し、自分も殺しかけたマフィアに復讐するため、裏社会でのし上がっていく。

冒頭から当時の実際の映像を使って、銃や車もおそらく忠実に再現。
戦闘中には汚い言葉が飛び交うし、カフェには
「有色人種お断り」
表示があって、店内でうろつくと通報されて、警察が集まってくる。

通りかかった車に銃を突き付けて運転手をおろす。
ド派手なアメ者のカーラジオから「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」が流れる。
警官を振り切って、周囲を巻き込んで疾走!

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主人公は悪だけど不器用で義理堅い。
戦争と差別がなければ、もっと普通の幸福な生活が得られたように思える。
設定を聞いたときよりは確実に感情移入しやすい。

ピリッとした難易度も特徴だ。
「イージー」で他のゲームの「ノーマル」ぐらいに感じる。
ていうかリトライのロード時間が欠点なので、イージー推奨。
銃を持った相手に正面から殴りかかってどうにかなる場面はあまりない。特に序盤キツメ。

出てくるメッセージや、訳しきれない言い回しを、100パー理解して堪能できる日本人は少ないだろう。
けど、銃のリロードの細かい動きとか、
古い車を発車するときのガタつきとか、随所の
「本物の材料を使用しております」
って感じ!


収集アイテムが本物の「プレイボーイ」や車雑誌「ホットロッド」など、文化を垣間見れるのも嬉しい。

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乳首だけ★マークで隠した、けっこうきわどい写真まで見れる。
キューブリック監督のインタビュー記事とか、車情報は、残念ながら文字量の問題で翻訳されず。
これまでのシリーズがそこまで日本受けしていなかったせいもあってか、ローカライズは完璧とまではいかない。カーラジオのおしゃべりも何となくしかわからない。

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だけど、アイテムを使うことで架空のルイジアナから本物を想像できる。

パッケージ版は観光パンフ風のでかいマップが封入。good!

「クレイジージャーニー」2016.12月8日放送回 「佐藤健寿がミイラ研究所跡地へ」感想

クレイジージャーニー12月8日回
世界の珍しい絶景を撮る写真家、奇界遺産の佐藤健寿が「ミイラ研究所の廃墟」へ。

山奥にたたずむ「バイオハザード1」的廃墟。
他にもベネズエラ式闘牛、人形島、スラムビル、悪党崇拝と不気味テイスト増し回!

前回の「世界一カミナリが落ちる村」に続いて
普段とぼけてても仕事ではビシッと決める、佐藤健寿のルパン三世的な魅力が出ていて、女性ファンがまた増えそう。


出発前、スタッフが佐藤を起こす場面で、寝起きの悪い佐藤が
「まだ眠いのに…」
って感じで部屋から半分顔を出すシーン。

松ちゃん「いっつもあれぐらいしか開けてくれへん」

コメントと共に、ドアの影から半分顔を出す、過去の寝起きシーンがずらり。
確かに毎回いっしょだ!
この後の「画面では伝わらない坂の凄さ」を補足するコメントといい、松ちゃんサポートが的確。


佐藤健寿は前にタモリ倶楽部にも出演。
タモリ、山田五郎らを相手に、未公開の動画をより詳しく解説していた。
だけど、フラットに場所の魅力を説明してるけど物足りなさを感じたのは、
「タモリ・山田五郎」と松本人志の違いにある。

クレイジージャーニーの面白さって、芸能界で成功したMC3人が、一見ふつうのおじさんであるジャーニーに「ええええっ!」と驚かされる痛快さ。
特に、放送コードギリギリの攻めた映像が出たときの、松ちゃんが笑いながら驚く感じ。あれが実は大きい。


ミイラ研究所は山の中にあって、事前に聞いていた時間を大幅に越えた過酷な山道を歩かされる。

海外旅行あるある「ガイドが適当」
それにしても話が違う!

研究所というよりゴミ収集場みたいな空間に棺桶が並ぶ。
ドイツの科学者が戦争中にミイラ化の技術を研究していた場所で、最後は弟子だけに方法を教えて本人もミイラになったため、ミイラ化の技法は謎のままに終わった。

「なぜこんな山奥に?」
の質問に、現地ガイドが
「妻の病気のために空気のいい場所を選んだ」
と答えていたけど、
なんでミイラを作ろうと思ったのか、肝心なことは見えず、建物だけが謎としてドンと残っている。

山道を歩いた分、その奥に現れる研究所跡の不気味さが増す。
行程も含めて紹介することに意味があった。


そのあとに、牛のしっぽを引っ張って転がすベネズエラ式闘牛、美の意識が高い国ならではの巨乳マネキンの紹介。

闘牛は、ハンバーガー食べて残しての日本人でも、つい「かわいそう」と思ってしまう。
時間帯によっては放送するのに慎重になりそうだけど、
「ありのままの映像を流そう」
という番組サイドの姿勢も見えた。

「水太鼓」なる、水面をぱあん、ぱあん、と叩く儀式。
これに何の意味があるのかのミニクイズ。
この番組、そういうキャラじゃないジャーニー側からクイズを出す流れがよくある。あれ何だろう(笑)


他、正月にあえて特番やります、のお知らせ。
DVD第4巻の発売予告。
佐藤健寿・丸山ゴンザレスのツートップに、リアカーで世界中を歩き続けるリヤカーマン、北極男。
比較的真っ当に感動できる回多めの収録。

次回予告は、食虫文化に魅せられた女性ジャーニー。
映像はあまり映ってなかったにも関わらず、

「ぎゃあああ!」「次回だけは無理」「あかんやつや!」
ツイッターは阿鼻叫喚。

いや、「太らせ祭り」の回ほどじゃないだろう!…多分。俺は観るぞ!


映画「チリ33人」感想

最近の印象深かった映画。
鉱山崩落で生き埋めになった労働者33人が、2カ月間耐え抜いて全員救出された事件。
生存者33人の協力を得て、あの事件の知られざる真相が明かされるドキュメンタリー!



生存者の皆さんが監修して、これ!?って誰もが思う、笑いを取りにきてるシーンがあって。
国や労働環境を恨み、訴える内容じゃなくてややエンタメ寄り。

定年間近のおじさん、あだ名がエルヴィスの陽気な男、仲間はずれにされているボリビア人らが鉱山に入る。
みんなうすうす危険に感づいている、いつ事故が起こってもおかしくない鉱山だ。

すぐに、超ブラックな仕事場の入り口が崩落!
下層の避難所に、数日分の食料と共に閉じ込められる33人。
上に通じるはずのハシゴは途中で切れて、通信手段も稼働してない。

忠実に映像化したら、閉所恐怖症の俺を含むみんなどうにかなっちゃうので、
外の世界の美しい風景と音楽、犠牲者の妻と愛人の取っ組み合いなど、明るい景色を積極的に取り入れている。

これまでの経費のケチり方、聞こえてこないドリルの音。
助けがこないことを感じつつ、かろうじて「信仰とユーモア」で命をつなぐ。


地上でのおいしそうなチリ料理と、地中でのカンヅメとミルクの落差、絶望感が印象的だ。
コップの底に、わずかな飲み残しみたいなミルク。
ヘッドランプだけの空間でみんな真っ黒に汚れて、いよいよ見てられない息苦しさになってきた所で!
もうみんなこのまま地の底で死んでいくんだ…という絶望感に埋まった食卓で、
いきなり全員が「かあちゃんの幻覚」に助けられる。
それが突然のトンデモ映画臭全開。

みんなが幻の妻が作った巨大バーガーみたいなのにかぶりつく。
そのあとの
「新鮮なミルクだよ!」
は爆笑してしまった。死に直面した人の見たはかない幻覚、とかじゃない。
確実に笑いを取りにきていて、あの表現を許した33人の皆さんの心の広さに感動する。

助かることを知っていても、ドリルの先が見えた瞬間は嬉しくなるし、
一生のトラウマになる事件に違いないのに、あえてみっともない部分を映像化することを許した事実が凄えなあ、と思う。

こんなことが起こっても、それでも他の仕事を選べない人がいる事実、
「ブラック企業」ってワードが流行語みたいに軽く使われてるけど、他を選べない人が大勢いる事実、
根本的には何も解決していないけど33人みんな笑顔。

深刻な内容を覚悟していたら、思ったよりもいろんな感情が湧き出てくる。興味深い一品であった。

「パラッパラッパー」は90年代の明るさの象徴


俺はこの2作をやってないのに!
ライバルのセガサターン派で、こいつらによって、あの作品も、あの作品もプレステの影に隠れるのを見ていたのに!

それでも「パラッパとクラッシュ」のコンビを見て驚いた。
大嫌いな
「あの頃はよかった」
という言葉が漏れそうになったからだ。


「パラッパ」は90年代の光の部分。
ゲームがこれから凄いことになるぞ!という空気を象徴したキャラクターだ。


ゲームに、ボタンの数が一気に増えて、これまでにない「ムービー」なるものが流れて、どんどん内容は複雑化して、誰もが「ゲームが映画みたいになっていく!」と興奮していたときに、あいつは軽やかにやってきた。

任天堂の天下だったゲーム業界に、
若いセンスで、オシャレで、女の子に話題にしても引かれない、プレイステーションが殴りこみをかけた。
当時まだ新鮮だったラップにのせて、
「ボタンをタイミング良く押すだけでゲームになる」衝撃を与えた。

地味でマニアックな印象を持たれそうな「I.Q」「バイオハザード」「みんなのGOLF」も大量にCMを打って浸透させていく。
ゴルフゲームなんて、囲碁将棋ゲームと変わらないポジションだったのに!


映画「ゴーストバスターズ」が1作目以来いまひとつな評判だが、
あれは映画としての質の高さよりも、当時最高にイケてたコメディアンたち、SFXブーム、軽めのホラーブームが交差した80年代の奇跡だという。

「パラッパラッパー」は、
これから、今まで見たこともない遊びの時代がやってくるぞ!
という90年代の気分、複雑になっていくゲームに対する操作性のカウンター、王者任天堂に挑戦する武器がヒップホップという、
たくさんのミラクルが交差したゲームで、
「音ゲー」がジャンル名にもなって定着した今では、もうあの感覚は味わえない。


先日のPSカンファレンスというイベントで、噂されていたパラッパやクラッシュの新作は出なかった。
発表されたのはPS4世代の新キャラ「ナック」の続編。

「お前かい!!」と全世界のゲーム好きが同時に椅子から落ちる音が聞こえた気がしたが、それは正しいんだよ!
ナックはオーソドックスなアクションで、まだ伸びしろがある、パラッパは1作目の盛り上がりを越えるのが難しい。


12月5日本日、リマスター版「パラッパ」の体験版が配信されるようだ。
実はやったことがないので、当時サターンで何やってたか思い出に浸りながら(なんだそれ)プレイしてみることにしよう!



島本和彦「アオイホノオ」16巻レビュー

島本和彦「アオイホノオ」16巻が発売された。



主人公は芸大生時代の作者をモデルにした青年「ホノオ」。
あまり漫画は描かないが自分を天才だと信じ、あだち充や高橋留美子にも
「俺だけは認めてやろう!」と上から目線で評価する。

センスがないから漫画をやめるしかないのか、と思ったりもした。
(編集者にセンスがないから、自分が天才でも理解できないんじゃないのか、と思った)
それでも、豪快な屁理屈と負け惜しみを言いながら成長していく。

いつの時代にもいる「イタい若者」ホノオは、奇跡的に新人賞に引っかかってプロデビュー。
デビュー作が掲載された、82年の「少年サンデー新春増刊号」を、
あえて1ページ目から、作者が実際にしたであろう読み方で読んでいく。

六田登、高橋留美子、新谷かおる、原秀則。
原秀則「らぶらぶぽりす」は刑事もの+ラブコメ。
流行の素材を組み合わせた強引な展開だが、主人公のカッコよさで押し切る。
「俺には…怖くてこれを描く勇気はない!」
アマチュア時代には凄さがわからなかった原秀則が、プロとしてあらためて読むと「怖い」。

怖い物知らずだったホノオは、プロの洗礼を受けていた。

やる気を見てほしくて次回作のネームを書いても、編集者からは厳しい言葉が返ってくる。
片思いしていた女性には恋人がいて、仲間からは、パロディばかりやっていることをダメ出しされる。
根拠のない自信が、的確なダメ出しで折れていく。

夢だった漫画家になったことを褒めてもらいたいし、喜びを分かち合いたいのに。
せっかく練習したサインも、誰ひとり求めてこない。

さすがに大人しくなったところに、かつて才能の違いを見せつけられた同級生、庵野秀明がやってくる。
手には、ホノオのデビュー作が掲載された少年サンデー!
「よかったらサインくれよ」

庵野には才能があった。夏をアニメ制作につぎこんでいた。
それなのに、先に有名になったホノオへの嫉妬もなにもない。
「受賞したことはすごい。プロになることはすごい。だからサインが欲しい」
人間性は関係なく、作品だけで評価するドライな人間性。

ホノオも「サインくれよ」のひと言をポジティブに解釈する。
庵野は凄い奴だ。だから、俺の凄さがわかったんだ。
練習したてのサインを必死に書く。
「ちょっと待て!こっちに絵入りのやつも描くから!」

この巻が出版された2016年に、島本和彦は「シン・ゴジラ」を絶賛するツイートをして、
発声上映会にサプライズ登場した庵野秀明と握手していた。
庵野が古くからの友人だから褒めたんじゃない。ただ、作品が良かったことを褒めた。

1982年の「よかったらサインくれよ」に、島本から34年越しの返答だ。
「庵野!俺より面白いもの作るんじゃねーっ!!」

立ち直ったホノオだが、サンデー編集部では、この新人に任せることを諦め、原作者をつけて絵だけをやってみないかと提案する。
ホノオが組む原作者とは、「男組」「美味しんぼ」の雁屋哲。
こんな仕事を受けたら「なんだこの新人」と叩かれる。

デビューしてからずっと逆風だったのに、追い風が吹くときは制御できない勢いで吹く。
雁屋哲との仕事。
正直いって怖い。断りたい。答えを出せないまま16巻は終わる。

2016年の読者はこの後の展開を知っている。
島本和彦は1982年に、原作:雁屋哲「風の戦士ダン」なる漫画を連載している。
編集部が用意した高いハードルに、「挑戦させてください」と言うホノオの姿が今後描かれることになる。

今後のアオイホノオは、ホノオ青年が島本和彦という異端に変身するまでの「エピソード3」になる。

PS4「ライフイズストレンジ」レビュー

ライフイズストレンジ。

時間を戻す(タイムリープ)能力に目覚めた女子高生マックス。

マックスは、銃を持った同級生から旧友クロエを救ったのをきっかけに、
少女失踪事件、校内のパーティの途中で意識を失ったクラスメイト、SNSいじめ、竜巻が町を襲う夢などの、身近だったり抗いきれなかったりする事件に向き合う。

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移動。調べる。Lボタンでビデオテープのようにキュルキュル時を戻す。
女子寮には調べられるものがたくさんある。
他人の部屋に何かあれば調べたい。調べるほど、大切にしている物やちょっとしたメモやラクガキによって登場人物の個性がわかってくる。

物や会話で登場人物が実在感を増して、たっぷり感情移入させてから「どちらの味方をするか」と問われる悩ましさ。


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何年も連絡していなかった間にパンク少女になったクロエと、久しぶりに子供のころのように話をして、はしゃいでいるうちに、1階から物音を聞きつけた父が上がってくる。
元軍人で行き過ぎた父に、部屋にあるマリファナ?を見つけられて、「どういうことだ!」と聞かれる。

一触即発の場で私のです、とかばうか、学校での立場を考えて黙って成り行きを見守るか。

結果、誰かが傷ついても
それは自分の選択しだいで避けられた。
「関与してしまった」感覚は、ゲームならではだ。より痛い。重い。
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アーティスト養成に力を入れた学校なので、舞台には写真がひんぱんに出てくる。
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ぼやかした画像表現に
「なんて憂鬱な写真なの…」
と言葉を入れることで、プレイヤーそれぞれが憂鬱な写真を想像できる。
あまり鮮明なグラフィックにしてしまうと、
「そこまでいい写真か?」「この人そこまで美人?」
って思ってしまうので、この表現方法はうまい。

持っている日記の書き込みも面白い。
プレイヤーが関わる前の日の気持ちから書かれている細かさ、メッセージを読めば面白さや不気味さは増すけど、
読むのが義務づけられてない。切り貼りの多さがアーティスト女子っぽい!パンク少女クロエは「顔文字禁止」!

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若さの可能性と残酷さを見せつけてくるストーリーで、SNSと銃の扱いがリアル。
冒頭で、銃を持った同級生からクロエを救うことで能力に目覚めるんだけど、選択しだいでは銃で撃たれることになる。

銃は高校生にはもてあます力で、必ず「撃ったほうがびびる」。
いろんなゲームで何百人と銃で人を撃ってきたけど、撃った側が「撃つつもりなかった!」と震えるのは新鮮だし、ちゃんと人を撃つ怖さを描いている。銃の扱いに慣れている大人との対比も見事。

いじめグループや主人公は、才能がありながらも挑戦しないことでチャンスをつかめず、なんとなく、こんな田舎町はクソだ、と言いながら貴重な日々を消費している。
貧困とかイジメとか、ゲーム内世界でぐらい考えたくないものをわざわざ味わう。
選択ひとつで、未来ってはっきり変わるんだぞ!ってメッセージも含んでいて耳が痛い。


決して楽しいだけのゲームではないんだけど、救いなのが、主人公が大人しいけど芯の強いタイプで
「10歳から13歳の楽しかった時を永遠に繰り返したら悩む必要なくてサイコー」
とは思わない。
どの選択なら友人を救えるか、ばかりに悩む。あまり自分に使おうとしない。
アナログカメラ好きのオタク寄りでありながら、共感しやすい。

最後に事件はどう結びつくのか、そして能力との向き合い方をどうするか。
超能力を持ったら、能力で好き勝手生きていって、それでいいのか。
能力と決別して生きていくべきなのか。

時間を操る能力ものにツッコミ所は必ずあるし、
「どの条件で、どの程度まで時間を戻せるの?体に影響はあるの?」
とは思うけど、最後の締め方はうまい。

ゲームなりの手法で、映画やドラマに挑戦している姿勢に唸る。
エピソードごとに、世界のプレイヤーと「このシーンでどの判断をしたか」「ここに気付いたか」と、
細かいプレイ状況をパーセンテージで比べられるんだけど、世界中のプレイヤーが悩んだことが間接的にわかってニヤリとできる。



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