「見失い島2 時間の灰」レビュー 絵も歯ごたえも絶妙な、時忘れの脱出ゲーム

スマホ用アドベンチャー「見失い島2 時間の灰」210円。

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プレイヤーが何者か、何を探しているのか。
長ったらしい説明はなく、心地よい波音の中、手描き風の風景と人々を眺めて「見失い島」を探索する。

画面をタップして、拾える物は拾えるし、人を触れば話が聞けるし、矢印を押せば移動できる。
前作は機械翻訳のようだったが、今回は自然な言葉使いになり、随所の謎解きは自然で、ちょっとだけパズルの難易度も控えめに。
そして場所ごとのつながりが分かりやすくなった。
トータルで、島の居心地の良さが段違い。

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ぱっと見て印象的なのは人の絵だ。
この絵が動く!この絵と会話できる!
それだけでちょっと嬉しくて、脱出ゲームにある閉塞感みたいなのが無い。
こんな絵でゲームを作ってる人はきっと楽しんでいるだろうし、自分に無い感性で作られたものと接している。

システムは「アイテムを拾って、正しい場所で使う」オーソドックスなものだけど、アートを味わう楽しさ。心が満たされるような感じがするわけ。

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随所のパズルは、例えばスライドパズルやクロスワードを見ただけで失神するようなアレルギーの方には無理かもしれないが、「ややムズ」くらいで調整されていると思う。
既存のパズルじゃなく、ルールから推測していくのが楽しいのだ。

そして島民との会話。
「人生は長いのに、一瞬のように感じる」
のような、ゲームと関係ない話をしている。

「この先には〇〇の街があるよ」的な、ゲーム内の閉じた会話じゃなくて、
みんな人生の空き時間に、ちょっとこの「見失い島」に寄り、またどこかへ帰っていくような、そんな錯覚をしてしまう。

カチカチに決まったシステムで、開発者の考えの通りに答えるまで、小さなカギ探しや数字合わせをさせられる、いわゆる「脱出ゲーム」の閉じた感じは無い。
探索範囲も狭い。開発費もそれほどじゃないだろう。
だけど、絵で、ことばの力で、広い世界を旅したような錯覚を与えてくれる。


スマホやタブレット片手に、メモ機能や画面スクショでヒントをとっておくこともできるけど、できれば側に濃い目のコーヒーなど置きまして、ノートにメモを取ったりしてプレイしてほしい。
それぐらい向き合える作り込みだし、詰まったら詰まったでしばらく置いておくのもいい。
台風の激しい雨音を忘れて一晩中遊ばせてくれたことに感謝している。

グーグルプレイ

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「トランスジェンダー女子が温泉に行く」one night, hot springsレビュー

「トランスジェンダー女子が温泉に行く」
1行の説明文だけで「え?」と、スワイプした指がツツツと戻った。

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アンドロイドで無料配信している「one night, hot springs」のレビュー、行くぜ!
ダウンロードはこちらから

友達の誕生日に温泉旅行に誘われた主人公は、男性の身体で生まれて、心は女性。
いわゆる多数派の人なら何も考えなくてもいい、周囲の会話で気疲れしてしまう。
選択肢を選ぶことで友達に普段言えなかった話ができる。

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選んだ答えによっては左上に小さく表示された3つのハートが消えていく。
ハートが何なのか説明はされない。なくなったらバッドエンドというわけでもない。
とにかく選択肢によってハートが「すり減る」。

驚くのは作り込みの丁寧さで、
1周30分もかからない短編なのにメッセージの早送り、英語韓国語への対応、セーブ、スキップ、ギャラリーモードまで備えている。

完全無料で広告なし。金儲けをしようとしてもできない設計になっている。
短編とはいえ、見ず知らずの人の文章を30分読んでもらうのは相当難しい。
だけど、ゲームなら別だ。
これを作った人は、たいへんな金と労力を費やしてでも「何でもない温泉旅館の一夜」を体験してほしかったのか。

ちょっとだけ、プレイ中だけ、自分のような立場になったと思って選択肢を選んでみてください、
どこかで自分と違う人と会ったら、このゲームのことを思い出してください、という静かな迫力を感じる。


「one night~」は、主人公も少数派だけど、ゲームジャンルも少数派だ。
男性名を書かないといけない状況で悩んで、女湯が今なら空いているから、と従業員に勧められて申し訳ない気持ちになって。
ストーリー分岐型アドベンチャーだけど、ストーリーの面白さより、エッセイやブログに近い面白さがある。


自己表現のために、映画を撮ったり詩やブログを書いたり、いろんなジャンルの作品を手掛ける人がいる。
昔ならそこに「ゲーム制作」は無かった。
大人数で、ソフト1本5000円以上するものに、個人のメッセージをたくすのは向いてない。

だけど、ゲーマー以外もゲームができる端末を持つようになり、無料アプリ制作が広まって、ゲームで自己表現できるようになった。
こんな方向性のゲームもありなんだ。

one night, hot springsは、人の多様性についてはもちろん、ゲームももっと多様性を持てることを教えてくれた。

だから何なんだ!「ねえ、AI 本当の事がしりたい」に脱力

「ねえ、AI 本当の事がしりたい」
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スマホのAI(たぶんSiri)になって、少年の疑問に答えていくゲームだ。
気になる同級生のこと、お父さんが抱えている隠し事のこと。
質問に答えながら、家族にまつわる真実に近づいていく。
本当のことに近づいていくことは、幸せなことなんだろうか…?
スマホのAIである自分にできることは質問に答えるだけ。見守るしかできない。



このタッチと説明で、切ない話を期待させてからの本編とのギャップ。

最初から最後まで脱力を重ねて「え?」「え?」「だから何だ!?」と崩れ落ちた。

無料アプリ界隈にはいろんなものを作る人がいるなあ…。



アドベンチャーというか、死んだと聞かされていたおじいちゃんにまつわる話を聞きながら、
途中でみんな「しり」のついた言葉をど忘れするので、Siriだけに「何しり」かを答えると、続きが読めるクイズゲームだ。
よくわからないでしょうが実際やっても謎だ。






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目の下にほくろがある人のことをなんていうのか、ど忘れしてしまった。
なんだったろう…?
さあ、最先端のAIになったプレイヤーは、この文字数で「しり」関係の言葉をつくろう。
何だろうなあ…。しり…目じり…ほくろ…






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「びじりなところ?」
このように、クイズに間違えても反応があるぞ。だから何なんだ!

AI視点であることは話に関係ないし、スマホのない場面でも平気でクイズが出てくる。
一発ネタにしてはちゃんとした手触りと、適当なような深刻なようなストーリーで「だから何だ」が加速していく。

つかみどころがなくてこれ単体では何とも言えないけど、この作者がどういう人で、何を考えているのかは気になってしまう。

たまに声を出すことは健康にいいらしいので、
「だから何だよ!」と声を出したくなった時にオススメだ。





下ネタともいえないような下ネタや、やわらかいタッチは朝倉世界一さんの作風を思い出させる。
こちらは本気でお薦めだ。

ゲーム専用機じゃなくて、スマホで遊ぶためにきっちり作ったホラーADV「怪異掲示板と7つのウワサ」


チャット形式というか、LINE風に会話で進行するホラーノベルだ。
「ノベル」か?「アドベンチャー」かな?
セリフが上に流れていくから、読み戻すときは下にスワイプして、ところどころ選択肢が出る程度のちょっとした読み物だけど、これが良い。

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ホラーアドベンチャーって、小説っぽく文章を読むものだと思ってたけど、「スマホラー」はこれでいいんじゃん!これ成立してる!正解だよ!

ストーリーは、高校の新聞部の3人が、書き込んだウワサが本当になる掲示板の真相を解決するというもの。
「下校中に後ろから足音がして、振り向いたら殺される…」的な、大昔からある学校ホラーの定番「7不思議」もの。プラス、スマホや掲示板などのアイテムを登場させてるわけ。

たとえば部員が別行動してスイーツを買うシーンでは、わざわざ場面を切り替えずに、
「画像添付中・・・」
と表示してから、
ドン!

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場面切り替えて店員との会話をダラダラ読ませるより一発でわかる。
昔からのノベルゲームの常識に縛られずに、画像でドン。これ正解でしょ。
「添付中…」に、怖い絵が急に出てきたらどうしよう、ってちょっと警戒してしまうけど、それも新鮮。

自分がこの手のゲームを作る側にまわったら、自分なりの文学的な文章を入れようとしたり、複雑な選択肢を入れようとして、
「そういうの求めてねーよ」って即消去されてしまう。

いきなり振動して電話がかかってくる演出も、一発ネタだけどスマホだから効果的。
自分はタブレットでやったのでビクッとはならなかったけど、スマホで怖い話を読んでる最中にそれをやられたら、忘れられんわ!
バイオ1の「窓からゾンビ犬」ぐらい心臓に悪い。

ゲーム機としては、スマホはゲーム専用機より不便。
「これがゲーム機に移植されて、ちゃんとしたコントローラで遊べればなあ」
と思うゲームも多い。
だけど「怪異掲示板」は逆に、ゲーム専用機に移植されたらつまらなくなる。

空き時間に遊ぶスマホの無料アプリには、どんな形式がいいかちゃんと考えて、キッチリ仕事をした感じ。
そういう職人魂。ちょっとオススメです。

怪異掲示板 ダウンロード

任天堂からこぼれ落ちたお絵かきゲーム「ネコの絵描きさん」ネコでもまたげる敷居の低さ!

お題にそって絵を描いて見せあう基本無料アプリ「ネコの絵描きさん」が楽しい!
太いペン一本、消しゴムなし。決められた中でみんなが何を描いたのか当てるゲーム。

「ネコのお弟子さん」が他のプレイヤーの描いた絵を持ってくるので、何の絵か当てる。
いくつか答えたら、自分が描く番だ。自分の絵を出品して、1日ほど時間をおくと評価がわかる。
「いいね!」をもらうほど高得点になる。正解率だけじゃなくて、人の目で絵をちゃんと評価される。
「放置ゲー」じゃなくて、待つ間に絵を見てもらってるから、ちゃんと待つ意味があるのがいい。

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クイズ形式になってるけど、だいたい文字数やヒントで答えはわかる。
答えを考えるより、人によってお題をどう処理したかが違うのが面白い。

「かくざとう」を描くにも、
コーヒーやお皿をさらりと脇に置いて表現している人がいれば、
でっかい四角の上にきったねえ字で「あ ま い」って書いた(たぶん)子供の絵もあった。

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難しいお題だと
「ますかっと」(1色なのでブドウと区別がつかない)
「たらんちゅら」(クモとの違いをどう表現するのか)
「ぴんち」(なにそれ)
とかを、なんとか描いた。ちゃんとどこかの誰かに伝わったかな?



作者のWAKENさん。ダウンロードもこちらから
元任天堂スタッフと紹介されてたけど、たしかに「エコノミシティ」の秘書は思いっきり見覚えがある。(ニンテンドースイッチに凱旋帰国したら話題になりそう)

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3DSで、友達同士で交換絵日記ができるソフトの案内役だったニッキーじゃないか!
ミーバースにお絵かきを投稿したり、クレーンで景品になっていたニッキー!
交換絵日記がいつの、どんな内容だったかだいぶ忘れてしまったけど、たしか使い方に問題のある人がいて、急に配信中止になった記憶が…。
さてはあれか。ニッキー、不遇時代にしずえ人気が高まるのを見て、秘書になって生まれ変わったか。天然を装ってやるときはやる女だと思ったが…と思ったらコノミさんという別人だった。

WiiUが思うように広まらず、描いたものを見せあえる「ミーバース」もなくなって、「絵心教室」みたいなゲームも最近見ない。
ニッキーの役割というか、「絵を描く」ゲームって、最近なくないか。
ゲーム機にタッチパネルが付いてて絵も描ける!とかで誰も驚かないし、
ニンテンドースイッチは、なんていうか、他の機種でも出ているガチなゲーマー向けタイトルか、直接友達と会って遊ぶタイトルが多いし。

「絵を描いて見せあう遊び」
今のゲーム機から切り捨てられた遊びを、元ゲーム会社の人が拾って形にしたのは、考えてみれば面白い話だなあと感心した。
感心したところで、ネコの絵描きさんの取っつきやすさと、シンプルな楽しさを前にすると忘れてしまうんだけど。



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