クレイジージャーニー感想「爬虫類先生、マダガスカルへ行く 前編」

前回の放送が大反響だったという静岡大学教授、加藤秀明。

一見、博多華丸が誰かのモノマネをしているような、掘りの深い男前。
職業柄か、人に伝えるために一語一語ハッキリ喋る。
「爬虫類マニア」と聞いて浮かぶイメージとは違うなあと思うんだけど、先生には珍しいクセがある。

あまりの爬虫類好きのため、会話中でも珍しいトカゲが横切ると、
「会話キャンセル→トカゲにヘッドスライディング」
のコンボが暴発してしまうのだ。


前回の「幻の巨大トカゲを探す旅」でも、
「信頼できるか試すため、現地ガイドに爬虫類クイズを出題」
の図が面白すぎて、結局何を見に、どこへ行ったのか印象に残らないほどだった。


ただし今回の旅は、先生の存在感とつりあうぐらい、出てきたトカゲやカメの存在感も凄い。
興味のない自分でも
「たしかにこれは飼いたがる人がいるのもわかる」
と思える存在感。

爬虫類に興味がなくてもわかる美しさ。
そのせいで人間に狙われ、島固有のカメやトカゲは絶滅の危機に瀕している。
お目当てのカメも意外と簡単に見つかったけど、研究のために甲羅にはGPSを取り付けられている。


そこから先生とディレクターの、
マーキングされていないカメを探す旅が始まる。

「爬虫類だ!→追いかける→逃げられる」
旅の途中で何度も繰り返される一連のやり取り。
コントみたいになってるんだけど、このテンションがずっと続くのがすごい。

正直いうと、ちょっとうらやましい。
大人になると、思わず走りだしちゃうぐらい好きな物ってなくなる。

他の番組からの出演依頼が相次いだのは、
変人扱いして面白がりたいだけでなく、どこかで
「あんなふうに生きてみたい」
と思った人が多かったからではないか。

フルーツバット級のインパクトだった「カメの生殖器」とか、パンチの効いた映像でつかんでおいて、
終わったあとも、人間の身勝手で絶滅しそうな動物がいることがちゃんと頭に残る。
これは、他番組だけじゃなくて、講演や執筆の依頼も多数来ているだろうな…。

後編も、幻の生き物を探す旅が続く。




クレイジージャーニー感想「ヨシダナギとコウモリ料理の巻」


ヨシダナギがパプアニューギニアの少数民族を訪ねる。
相次ぐトラブルと、
「地元民の好意」で振る舞われたフルーツバット(コウモリ)の姿焼きが印象的だった回。

ヨシダの女っぷり、食いっぷりにひかれて親切にしてくれる人たち。
だが、親切は松本・設楽の目には「いい迷惑」にしか映らない。
見ていて笑いっぱなしだった。


「面白いものがある。10分ほどで着くから行こう」
現地ガイドに案内され、少数民族をたずねる前に、延々と山道を進むはめになったヨシダ。
向こうに悪意はない。ニッコニコして、断ったら申し訳なくなるぐらい。

珍しいコウモリの住む洞窟へ進み、コウモリの糞尿が混じった水をかきわけた後で、
「ライトがまぶしいからやっぱり出て行ってくれ」
と言われるスタッフ。

石で撃ち落としたコウモリを見たときの松ちゃんの正直な一言。

「絶対いらんし!」

だよなあ。困るよなあ。善意の詰まったコウモリ。
火にあぶられ、顔がじわっと焼けて、コウモリが笑顔のようになる。

焼いてる人「スマイル」
スマイルじゃねーよ。

コウモリの羽をハサミでちょきちょき切るところで、カメラが躊躇してるのか、少し画面からはみ出そうになるんだけど、結局放送した。
前回、イノシシの加工がカットされたのは何だったんだ!
衝撃を越えてだんだん笑えてきた。


危なげなセスナに乗って、念願の少数民族に会ったあとも、アフリカではなかった珍しい困難に遭遇。
着陸すると地元の人が集まり、初めての日本人を大歓迎してくれている。
念願の民族衣装もいきなり見ることができた。
だけど、歓迎の踊りが延々続いて写真がとれない。

カメラを構えるヨシダだがシャッターが切れない。

みんな、太鼓を持ったら叩く。
お客さんが来たら踊る。
「太鼓を持ったままじっとしてほしい」
と言われたことがないらしい。

豪華に飾りつけされた村人たちが寂しい。
敵対心があれば仲良くなれないけど、
好意が伝わらなくても仲良くなれない。

衝撃映像に驚かされ、笑わされ、それだけで終わらない。
雲行きの悪さを残しつつ次回に続く。


今回「ヨシダが脱ぐか」の話が出なかったのが良かった。
ヨシダナギは、地元住人と理解し合うために裸になることもある写真家。
だけど、そのエピソードだけが強調されて
「さあ脱ぐか!?」
みたいに煽られると、本来の目的そっちじゃねえよって話になるからね。

「あの場面」を映すべきだったのか クレイジージャーニー「罠猟にこだわるハンター」回感想


「映せるわけないだろ!これでもかなり攻めてるよ」
が僕の(たぶんスタッフも)本音。

今回の「クレイジージャーニー」は、ハンター兼料理人の柳田さん。
猟銃を使わず、罠での猟にこだわって、少しでも新鮮な鹿、イノシシを客にふるまう。

野生動物はかすかな異変も察知するので、服は基本洗わない。シャンプーは無香料。
山道の小さなけもの道を探して罠をしかける。
獲物と人間の知恵比べ。釣り人もよく似たことを言う。


そして罠にかかった鹿を捕らえる場面になる。
心の準備ができてなかったので思ったよりショッキングだった。
ツノをガッとおさえて、ガムテープで即座に鹿の顔をぐるぐる巻く。

えっ、うわ、ガムテープ使うんだ!?

視界を奪ってから手足をしばる。
見えなくなることで、動物にしてみれば恐怖がなくなる。
それまで猟師の生活を、どこか別世界として見ていたけど、
そこに日常生活で使う「ガムテープ」が出てきた。
鹿は、闘う意思を感じさせないような悲痛な声で抵抗する。

過去回のゴリラや虫は平気だったのに、これは正直目を背けた。

この後捕らえたイノシシと一緒に、柳田さん自身の料理店に運んでいく。
静かな雰囲気が、
「ああ、これから、『その場面』も流すのか」
緊張していたが、カメラはその場を外れる。

ツイッターでは、獲物を解体する所がなかったことで賛否が分れた。
苦手な人は事前にチャンネル変えた様子もある。

「解体するところをちゃんと映すのが正しい食育だろ」
という声もあったけど、それも、批判の形をした「ファンレター」だと思う。

日本のTVでそこを放映できるのは、お前ら「クレイジージャーニー」しかないだろ!的な。

柳田さん自身は、
「これを直視すべきだ」
なんて言わずに、背中で語る感じ。


直接的な映像はなかったけど、放送された部分と、視聴者が考えることで番組の意図は伝えられたと思う。
ぬいぐるみのような猫ちゃんワンちゃんが、TVにもネットにも溢れている中、
できる範囲での「番組らしさ」を示した回だった。


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あの洞窟おじさん書籍デビュー。
中卒で肉体労働に打ち込み、バブル期に大金を稼ぐも満たされない気持ちを洞窟にぶつける。
つまらなくはないけど、やっぱり映像にはかなわないな…って内容だった。
番組出演者の多くにあてはまるけど、とんでもない人より、大人しそうな人の内面の方が過激。

クレイジージャーニー元日SP感想・後半「ベースジャンプ久保安宏のビールが旨そうだった。」

2017年元日の「クレイジージャーニー」後半感想。

日本のスカイダイビング第一人者であり、ベースジャンパー久保安宏の挑戦。


Bビル、
Aアンテナ、
Sスパン(橋げた)
Eアース。

はじめてその言葉を聞いたときは、「ベース=基地」だから、
まさに基地の外にジャンプするのかと思ったが違った。

あらゆる場所から飛び降りるベースジャンプ。
スカイダイビングより高度が低いため、跳び方やパラシュートを開くタイミングが即、死につながる。

スカイダイビングがCGのアクション映画だとすると、ベースジャンプは生身のケンカのようなフレッシュさ。

久保のパートナーは、ジャンパー仲間のマイルス。
これから生死をかけたジャンプをするのに、ハチマキをして「ウルトラマンエース!」とか言ってはしゃいでいる映像。
類は友を呼ぶのか、また素敵な馬鹿が増えた!もう一人の仲間クリフも加わって、さっそくビール!

観ていて気持ちよくなってくる、快楽にまっしぐらのライフスタイル。
人生の落下死1秒前まで全力で遊ぶ。
年齢なりの生き方がある、人種が違えば壁ができる、なんて誰が考えた?
54歳久保が、人種も言葉も関係なく、ニッコニコで飲み明かす。
常識と思っていたものが壊されて、だんだん彼らの方が正しく見えてくる。


今回挑戦するのは、実は事前紹介のVTRで予想はついていたんだけど、
「渓谷にクモの巣のようなワイヤーを張って、そこからダイブ」

ただ、実物を下から見た映像がもう、普通の人間には思いつかないレベル。
谷に何本もワイヤーを打ち付けて、空中でワイヤーを編んでいるのか、ごちゃごちゃ絡ませているのか、とにかく頼りない足場を作っている。

足場に立つとフワフワしてるから「スペースネット」
高いから、足場が狭いから怖いんじゃなくて、こんないかれた物を作る人に命を預けられるか?という怖さ。

久保はパラシュートを付けなければ高所は苦手。
「おしっこしといて良かった」

ところで、中央の足場をワイヤーが支えているけど、肝心の足場まではワイヤーが数本。どうやって中央まで行くんだ?
「これが答えです」
とばかりにカメラが移動して「その男」を映す。
ワイヤーの上を綱渡りで歩いている男がいる。

えええーっ!そういう方法?
松ちゃん「イカレ野郎やな…」

この人がスペースネット作成者で綱渡りの名手アンディ。
登場のタイミングと、ワイヤーの柔らかさでちょっと揺れている感じが絶妙。
実際はフックを装着して、ワイヤーに繋がってネット中央部まで行けるんだけど、肝心の足場も隙間が大きい!
これ「もし死んでも自分の責任です」って事前にサインが必要なやつだ!

そこからは、「新しい顔よ!」とばかりにパラシュートを装着して元気になった久保がダイブ。
岩だらけの落下地点からアドリブで安全な場所に生還。

日本のベースジャンプ?「鳥人間コンテスト」の悲壮感はない。
死に近づいたからこそ輝く、普通の人生に乾杯。
あとは仲間とビール!ビール!
スペースネットも強烈だったけど、同じくらい印象に残ったのが
「旨そうにビール飲む連中だなあ」ということ。


前半のゴンザレスの映像は地下。
「こんな生き方になるかもしれない」と思わせてからの、
「こんな生き方も選べるかもしれない」
と思わせるジャンプ。
地と天、ドラッグとビール。見事に対照的なスペシャルでした。

次回は裸のフォトグラファー、ヨシダナギさん。

クレイジージャーニー元日SP「NYの地下住人」感想

世界中のメディアがトランプの不動産を紹介している間、「その下」にカメラを潜らせた。

放送開始からちょうど2年の記念回!
2017年元日の「クレイジージャーニー」感想。

丸山ゴンザレス「ニューヨークの地下住人に取材」


「ゴンザレス回にハズレ無し」をまたしても証明した、強烈な後味の回だった。

よりによってトランプの保有する建物の地下に住む、ニューヨークの地下住人、
黒人女性「ダイアモンド」と、ホームレスのネットワークを通じて紹介してもらった「ミゲル」への取材。

特にミゲルの存在が、この回を忘れがたいものにしていた。

ごく普通の街中にある赤いドアを開けると、その中は別世界のようながらんとした空間になっている。
地下住人は隠れているどころか、普通に街中の「入ったことのないドア」が異世界の入り口になっていた。
そして躊躇なく入るゴンザレス。今までの地下潜入とはまた違う怖さ。他人の所有地だったら不意に襲われてもおかしくない。
奥の階段を降りると、足音を聞きつけたミゲルがすでに待ち構えていた。

そこで、警戒しているミゲルに対して、ゴンザレスが瞬時に相手の懐に飛びこむ!
立場も国籍も違うけど対等に接する。
彼らの生活に一瞬も嫌悪感を見せない。
一見無神経に見えて、抜群のコミニュケーション能力であっという間に打ち解ける。
気をよくしたミゲルはノリノリで自分の生活を案内してくれる。

ニューヨーク市民に聞いても、「知らない」「都市伝説だろう」とまで言われた地下住人。
「貧しい人がいる」とすら思われてない。ネズミや幽霊と同じ扱い。
そんなミゲルに突然、日本から来た親しげな訪問客。二度と忘れないだろう。

特に、マットレスに蚊帳を張った寝床を紹介してくれたとき、すぐ「入っていいですか?」と言い出すやり取りにはちょっと感動してしまった。
「俺の寝床に入ったのはお前が初めてだ」
ミゲルの嬉しそうな表情。


これまでのスラム取材では、広さや過酷さの圧倒的な映像で衝撃を与えてきたけど、
今回はミゲルひとりに絞った取材になった。

故郷を語りたがらなかったときの寂しげな表情といい、
「この人、16年こんな生活をしなきゃいけないような人なのか?」
と、別にミゲルが善人の証拠はないんだけど同情してしまう。

そして視聴者も、ちょっと失敗すれば彼らのような厳しい環境に突き落とされるかもしれない。
不景気や世界情勢から、どうしてもこんなことを考えてしまう。

アジア最大のスラムを観たときも、うわーっ、と圧倒されたけど、それはモニター越しの凄い映像に驚いただけ。むしろ自分は恵まれているんだなあ、と安心感もあった。
今回の映像は、どうも他人ごとで片付けられない苦味があった。
ミゲルは将来の自分かもしれない。


その後は別の地下住人がいると噂される下水道探索。
この下水道に流れるのがマジに汚水なんだよ!
お昼の番組なら絶対放送できないマジな汚水。こういう場面をぼかさない番組のスタイル!

悪臭たちこめる場所に慣れているゴンザレスが「臭い」と連呼し、それでも端っこの足場を頼りに進もうとする。
「臭い」のあとは普通引き返すんだけどな。
あまりの無茶に笑ってしまった。落ちたら放送事故どころじゃないぞ!


今回も、無事にスタジオにゴンザレスが生還しているのに緊迫感ある映像だった。
ただ、暗い通路を「ドラクエ風」と表現したり、単調な映像を演出で中和しようとしているのか、ややテロップが出しゃばっている気がした。
演出を最小限にしたゴンザレスのドキュメンタリー映画ができたら人気出そう。

番組後半は、ベースジャンパー久保さんのスペースネット挑戦。地下から空へ。

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