コロコロアニキ8号、電子版コロコロ創刊号付き!


青年誌のコーナーに置かれるほうのコロコロ、買ってきた!
興味のないホビー漫画つらいなあとか、苦笑いしてスルーしてたんだけど今回は買った。
四角いボディにみっちりマンガを詰めて、電子書籍で創刊号が読めるコードと、限定ベイブレードが付録。



「ミニ四駆なんかとっくに卒業だ!」レッツ&ゴー中学生編、
母の死、長い低迷。不幸が幸福に転じる、のむらしんぼ「コロコロ創刊伝説」。起死回生の「ハゲ丸」誕生。

そして「あまいぞ!男吾」の「ザ・男子向けマンガ」の風格。
冒頭にお嬢様が啖呵きってケンカに挑むところから始まり、
なぜそうなったのかの経緯が描かれる。
この1話だけで登場人物がどんな性格で、どんな関係性なのかわかる。
40周年記念号で貴重なインタビューがあったり、繊細な絵のマンガも掲載されてる。
各世代に響く子供時代のエピソードがある。
その中で、まさか小学生男女のケンカ漫画が印象に残るとは。ベテラン強し。

あと小田扉の謎プロレス漫画。天山が人間の理性を失って牧場で世話になる。

3月25日の雑記 石黒正数は頑張ってるのに俺ときたらよう


「それでも町は廻っている」最終巻を読んだ。
「その気になれば続けられるけど、一旦このへんで切りましょうか」って余裕。



若手漫画家にとって連載を持つってのは、ハードル競争みたいなもの。
毎回ギリギリの高さを跳ばされて、
順調に見えてもわずかに足がひっかかったら全て台無しになる過酷なもの。
なのにひとりだけ、ハードルを跳びつつ目線は42.195キロ先に合わせていたような、恐るべき長距離ランナー資質。

「それ町」は、主人公の高校三年間の中から、時系列にとらわれずどこか1日を描かれる。

現実の僕らも過去を振り返るとき、時系列順に思い出したりはしない。
つらかったことや、なんでもないのになぜか覚えていることなど、ランダムに思い出すはずだ。
「それ町」を本棚に並べて、てきとうな巻数を読むことは、青春時代を振り返るのに似ている。

作者はそこまで意図したんじゃないにしろ、結果的に革新的な作品になった。
連載10年以上にわたって用意していた伏線を明かしつつ、話ごとの関連性を恐るべき細かさで処理しつつ、表面的にはなんでもないようなエピソードたち。
規格外というか、ファンにとってはこれでも全然「見合った」評価と認知度が与えられてない気がする。
永遠のような一瞬のような物語、とりあえずの一区切り。



チャンピオンに連載している「木曜日のフルット」、最新話はグルメ漫画ネタ「さなのギャンブルめし」だった。
両作品とも似た雰囲気だけど、フルットは週刊連載なので、賞味期限が短い。
「それ町」は5年後に読んでも同じように面白いけど、
今回のフルットは、グルメ漫画界がすごいことになっている「今」の感覚でないと、ちゃんと理解できない。




他にもいろいろ見たものはあるんだけど、春はなんだかんだ忙しくて。
YOUTUBEでいくつか観たVR対応の映像を観た。コリアン・アイドル系のPVがいくつもあって、ちゃんと見るのは初めてだったんだけど、「あー、こりゃアジア系好きの欧米人メロメロだわ」って納得。


「ブレイキング・バッド」シーズン2の、敵を暗殺しようとたくらむシーン良かった。

「バン、バン、バンで終わりだよ!」
「バンバンバン、ってことは3発撃つのか?」
「知らねえよ、2発か3発だ!」
「頭か、胸か?そもそも銃に弾は何発入る?」

慎重派と大胆派のふたりの会話が、笑いを生みつつ、だんだん実行の様子を細かく想像させられて怖くなってくる。

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ウソを描くこともまた真実なり!「コロコロ創刊伝説」2巻レビュー


「コロコロコミックを創った男たちの真実の物語!!」
と煽ってるけど、ここ絶対ウソですよね!?
ってエピソードも多い「コロコロ創刊伝説」2巻。青年誌「コロコロアニキ」に連載中。




80年代前半、子供たちの間では、一度買えばずっと遊べるファミコンが大ブーム。
ブームには乗っていくスタイルのコロコロファミリーは、さっそく「ファミコンロッキー」連載開始。
ハドソンの一社員にすぎなかった若者を「名人」にしたてて大人気に。

「ロッキー」作中の架空の敵と、高橋名人逮捕説。二度にわたる都市伝説化。
レトロゲームファンには興味深い巻だ。


資料として読むには明らかなウソ…演出も多い。
ガンダム人気でコミックボンボンが追い上げきた!
編集者もガンダムに襲われるー!!
「ハッ!夢か…」

30年以上前の他人の夢をなぜ描けるのだ・・・

でも、真実を描いてないじゃないか、とは思わない。
むしろ、当時のコロコロの根っこにあった
「マンガは何でもあり」
って思想は真実で、そこはブレてないんだなあ、と感動する。


本当はもっと深刻に悩んだだろうし、ウェットな漫画になってもおかしくないのに、
「老化も貧乏もネタにして復活してやるぜ!」
と還暦男が虚勢を張る。
「ファミコンロッキー」が子供相手に全力でウソをついたときのように。

「マンガは熱さが第一で、読者に元気を与えるもの」
の精神に基づいて描かれた、コロコロコミックスの新作だ。

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「ブレイキング・バッド」「文藝芸人」感想

3月20日「ブレイキングバッド」「文藝芸人」感想

今さら。

NETFLIXでブレイキングバッドシーズン1鑑賞。



「明日地球が終わるとしたら何したい?」
ってたぐいの質問があるが、
「静かに家族を集めて、ありがとうと伝えたい…」
なんて綺麗ごとを言わない人のドラマだ。


地味に地味に生きてきたのに、突然末期ガンを宣告された化学の先生が、
「もう知るかー!」と爆発。
完璧主義の性格と知識を生かして、最高純度のドラッグを作って、
足の不自由な息子と妻のために大金をつくる。

バイヤーとして不良生徒の1人をパートナーにして(こいつにとっては、大変な巻き込まれサスペンスだ)、
先生もサングラスをして、虚勢を張ってギャングに取引を仕掛ける。
優等生ほどキレると怖いというが、
負け犬人生最後のブチ切れっぷりが痛快。

俺たちが密かに考えていたけど結局できないことを、代わりにやってくれた!

「なんでこんなことになっちゃったんだよお」って困り顔で、どんどん悪の世界に染まっていく。
気が小さいため、死体の処理をまかされて「どうしよう…」と嘆いたり、ブラックな笑いが随所にある。
インテリがギャングに仕掛ける、科学知識を使った戦いも手に汗握る。
たとえ相手が強くても、不意打ちなら勝てる。もし仕留めそこなえば五体満足ではすまされない。



ほか、吉本芸人の文芸誌「文藝芸人」を読んだ。

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ナイナイ岡村が精神を病んだときの告白。
博多大吉による、地方芸人のリアル。
横澤夏子が語る同級生への劣等感。
森三中大島の、美人が語る形式の小説。

完成度よりも、意外な才能の発見を楽しみにしていたけど、
「この人の文章面白い!」と思った人はすでに出版経験がある。野沢直子さんとか。
笑い飯哲夫は三島由紀夫論を発表。読者を圧倒するしゃべくり文体は町田康みたい。小説も書かないかなあ。


あんたスゲエよ!と思ったのは、キングコング西野。
圧倒的ブレなさ。
自分が絵本をどうやってヒットさせたかをひとつづつ振り返っている。

絵は得意じゃなくても、ひたすらコツコツ書き続ける。膨大なアンチが勝手に拡散してくれる。
日本でインスタが普及する前から目をつけ、拡散しやすいように正方形の絵で描いていた。
売れたあとは、ぱーっと無料配信。このときも多くの人が反感と共にツイートしていたが、だいたい予想していたっぽい。
「とりあえず知ってくれなければ話にならない」
次はウォルト・ディズニーを倒します、と謎の宣言で締めているが、アニメの分野にも手を出すのか。

精神が病んだエピソードを明かしたナイナイ岡村とは対照的。
次に「しくじり先生」スペシャルをやるべき大物は岡村さん。

全体的な印象は思ったより地味というか、堅実。

次の「火花」「ドロップ」を作るぞー!ってノリではない。

TVとは違う発表の場を設けてみましたよ、って感じ。
紙でできた劇場。

島本和彦「アオイホノオ」16巻レビュー

島本和彦「アオイホノオ」16巻が発売された。



主人公は芸大生時代の作者をモデルにした青年「ホノオ」。
あまり漫画は描かないが自分を天才だと信じ、あだち充や高橋留美子にも
「俺だけは認めてやろう!」と上から目線で評価する。

センスがないから漫画をやめるしかないのか、と思ったりもした。
(編集者にセンスがないから、自分が天才でも理解できないんじゃないのか、と思った)
それでも、豪快な屁理屈と負け惜しみを言いながら成長していく。

いつの時代にもいる「イタい若者」ホノオは、奇跡的に新人賞に引っかかってプロデビュー。
デビュー作が掲載された、82年の「少年サンデー新春増刊号」を、
あえて1ページ目から、作者が実際にしたであろう読み方で読んでいく。

六田登、高橋留美子、新谷かおる、原秀則。
原秀則「らぶらぶぽりす」は刑事もの+ラブコメ。
流行の素材を組み合わせた強引な展開だが、主人公のカッコよさで押し切る。
「俺には…怖くてこれを描く勇気はない!」
アマチュア時代には凄さがわからなかった原秀則が、プロとしてあらためて読むと「怖い」。

怖い物知らずだったホノオは、プロの洗礼を受けていた。

やる気を見てほしくて次回作のネームを書いても、編集者からは厳しい言葉が返ってくる。
片思いしていた女性には恋人がいて、仲間からは、パロディばかりやっていることをダメ出しされる。
根拠のない自信が、的確なダメ出しで折れていく。

夢だった漫画家になったことを褒めてもらいたいし、喜びを分かち合いたいのに。
せっかく練習したサインも、誰ひとり求めてこない。

さすがに大人しくなったところに、かつて才能の違いを見せつけられた同級生、庵野秀明がやってくる。
手には、ホノオのデビュー作が掲載された少年サンデー!
「よかったらサインくれよ」

庵野には才能があった。夏をアニメ制作につぎこんでいた。
それなのに、先に有名になったホノオへの嫉妬もなにもない。
「受賞したことはすごい。プロになることはすごい。だからサインが欲しい」
人間性は関係なく、作品だけで評価するドライな人間性。

ホノオも「サインくれよ」のひと言をポジティブに解釈する。
庵野は凄い奴だ。だから、俺の凄さがわかったんだ。
練習したてのサインを必死に書く。
「ちょっと待て!こっちに絵入りのやつも描くから!」

この巻が出版された2016年に、島本和彦は「シン・ゴジラ」を絶賛するツイートをして、
発声上映会にサプライズ登場した庵野秀明と握手していた。
庵野が古くからの友人だから褒めたんじゃない。ただ、作品が良かったことを褒めた。

1982年の「よかったらサインくれよ」に、島本から34年越しの返答だ。
「庵野!俺より面白いもの作るんじゃねーっ!!」

立ち直ったホノオだが、サンデー編集部では、この新人に任せることを諦め、原作者をつけて絵だけをやってみないかと提案する。
ホノオが組む原作者とは、「男組」「美味しんぼ」の雁屋哲。
こんな仕事を受けたら「なんだこの新人」と叩かれる。

デビューしてからずっと逆風だったのに、追い風が吹くときは制御できない勢いで吹く。
雁屋哲との仕事。
正直いって怖い。断りたい。答えを出せないまま16巻は終わる。

2016年の読者はこの後の展開を知っている。
島本和彦は1982年に、原作:雁屋哲「風の戦士ダン」なる漫画を連載している。
編集部が用意した高いハードルに、「挑戦させてください」と言うホノオの姿が今後描かれることになる。

今後のアオイホノオは、ホノオ青年が島本和彦という異端に変身するまでの「エピソード3」になる。
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