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単行本化されないマンガ「解体屋ゲン」電子書籍でダイナマイト爆裂配信!

「解体屋ゲン」が電子書籍になったというので、ためしに読んでみたらいつの間にか夜が明けた。



1巻ダウンロードすると次々お薦めしてくるよ!見出しの「ダイナマイト爆裂連載!」とかいい。
それすら面倒ならnoteで「防災グッズ対決」前後編とか解放されている。
防災グッズ対決
強引な導入、ちょうどいい軽さ。そう。「ちょうどいい。」



「解体屋(こわしや)ゲン」は解体だけでなく、建築全般に関するマンガだ。
解体、建築には、それぞれ住む人のドラマがある。
周辺の会社の黒い一面、労働者の現状、そして災害もある。

震災のあとで、マンガの登場人物に「立ち上がれ東北」みたいなメッセージをそえた色紙がチャリティーオークションに出品されていたが、もっと直接的に、でも重くなりすぎず、災害のことを描いたマンガ。

グルメ漫画と同じくらい「建築」にはいくらでも切り口がある。


主人公ゲンさんは、常にヘルメットで爆破解体が大好きな危険人物だけど、「両さん」や「クッキングパパ」に近い好人物。
開始当初こそ、わざとらしいヌードや事件があるけど、巻数が進むほど人間的魅力にひかれていった。俺もゲンさんのように要所ではビシッと生きたいものだ。
女性読者にモテそうな気がするけど…第一印象抜きで、どうでしょう?

このマンガが電子書籍化で、一挙読み放題サービス対象になることの何が事件なのか。


じつは「解体屋ゲン」は15年も連載して、コミックスが1冊出たきりなのだ。

全国販売されている週刊誌で、ずっと人気上位で引っ張ってきても、形として残らない。
努力の結晶が形として残らず、古雑誌として束ねられるか、コンビニのごみ箱に弁当のカスと一緒に突っ込まれる。
それをわかっていても、いい加減な仕事をしないで、キャラ的に好色でも許されそうなのに、エロも奇抜な題材もほとんどない。
どこから読んでも何となく「このキャラはこういう感じだな」と流れがわかる。


強烈なのは、劣悪な条件で働くしかない左官職人の生活を知って、搾取している企業に殴り込みに行くエピソード。(何巻か忘れた)
搾取の構造は簡単に解決できるものではないが、カチコミで開き直った社長にゲンさんは怒鳴る。

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「気温は30度をこえてる! 照り返しで50度以上かも知れねえ」
天気予報の、涼しい顔で発する30度とは違う。
「照り返しの暑さ」というワードがすっと出てくるのは、現場を見ている人だ。

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そして社長の机をハンマーで粉砕! 

現実なら、弱者が自分の立場を知ったといには、もう環境を変えるのは難しい。
だけど、その場で読める週刊誌のマンガなら、偉そうな連中の机を叩き割って、少しでもスカッと終わるほうがいい。
現実的問題に、せめてマンガ的に落とし前を付ける。

この「搾取される弱者」を、単行本にならない「解体屋ゲン」で代弁する。

床屋や定食屋に並んで置かれてもおかしくない感じなのに、クッキングパパやゴルゴにはなれない。
けど、読み捨てられる週刊誌という現場の中で、手抜き工事をしないでやってきたゲンが、偉そうな奴に一言かます!

腰をかがめてもくもくと作業する職人の姿は、描いたものが捨てられることをわかっていても手を抜かない漫画家の姿そのものだ。



こちらで連載中

祝マンガ大賞2018 2位!「我らコンタクティ」は、さかなクンを讃え、嫉妬する話だ

マンガ大賞2018最終結果
大賞 板垣巴留「BEASTARS」(78pt)
2位 森田るい「我らコンタクティ」(68pt)

たまたま見つけて、たまたま手に取った「我らコンタクティ」読んだ直後にこの知らせを見た。大検討の2位!



退屈な会社生活をしているカナエは、小学校時代のさえない同級生かずきと出会う。

子供のころから友達がいなくて浮いていたかずきは、大人になった今、工場で働きながらスペースシャトルを作っている。
好きな映画を、宇宙で、宇宙人に向けて上映する計画の最中だという。
ちょうど会社をやめたいと思っていたカナエは、うまくいけば金になる話だと思ってかずきに近づく。

自分の好きな映画を、永遠に宇宙で上映し続ける、理解できないことへの情熱。
かずきは、言うならば「マツコの知らない世界」「TVチャンピオン」「タモリ倶楽部」のゲストに出てくる一般人だ。
金でも権力でもモテるためでもなく、私はこれをやりたい、これが好きだ、とガッチリ決まっている人。
子供のころはバカにしていたけど、大人になってふと見れば、あいつが実は一番幸せじゃないか!と気づく。あの手の人。

このマンガは、宇宙計画でも映画の話でもなく「さかなクン」の話だ。
やりたいことがあればいい。夢中になっている人は惨めに見えない。

途中でかずきの知り合いの女性は嫉妬し、ある行動に出る。
自分の店を持ち、金をわたしてくる男がいて、休日には買い物をして、
「これをすれば幸せになりそうなもの」を揃えたはずの人が、さえない工場勤務でひとりロケット作りをしているかずきに嫉妬するのだ。

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かずきは周囲をイラつかせ、嫉妬される。「幸せ」は苦労してつかみ取るはずなのに、あいつは始めから幸せだ。
かずきの存在は、幸せを見つけられない人からは「あってはならない」存在なのだ。

金が幸せの基準だったカナエは、
かずきを見て価値観がゆらぎ、「そちら側」の幸福を知る。
最終的に、安定してるけどダラダラ続く人生より、短くてもお金や地位に左右されない夢に身を投じる。

勢いで人生を台無しにしちゃった女かもしれないが、その時間は、楽しかった。連勤明けより給料日より楽しかった。

長編デビュー作らしい、いい感じの荒削りさと完成度で、みんなの手元に打ち上げられた全1巻。
ほどよいボリュームで読みやすい。

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これがマンガの力だ。 吉本浩二「淋しいのはアンタだけじゃない」2巻レビュー

「ぼくら、目で楽しめるマンガが大好きなんです」
聴覚障害を持つ人には、全て目で楽しめるマンガ好きが多い。

彼らと交流するうち、メディアで取り上げられることの少ない「聴覚障害」をテーマに描くことにした作者。

「マンガが好き」
と言ってくれた人たちに託され、症状はマンガにしかできない文字の歪みや、歪んだ擬音で描かれる。

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難聴は、ただ聞こえづらくなるだけじゃない。耳鳴りの苦しみ、孤独。
家庭から会話が消える。人間関係を壊し、人格を変えていく。痛みを、強烈なタッチで描き込む。

想像したことのない聴覚障害の恐怖と、手に負えなくなってくるテーマに、マンガの力で向き合う作者。

2巻で話を聞いた医師は、自身も途中失聴者。
人生の途中で難聴を患った人は、24時間消えない耳鳴りに苦しめられることが多い。
ある日「耳に水が入っているような」感じがして、左右の聴力に差が出てきた。
今でも、常に高音の耳鳴りがして睡眠薬がないと一睡もできない。
「常にマイクのハウリング音が聞こえる」

自暴自棄になって、衝動的にアクセルを踏み込んだ。

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耳鳴りの薬はない。他に気をまぎらわせるしかない。
自分も苦しみを知りながら、患者には治らないことを宣告しないといけない。


聴覚の話と並行して進むのが、取材当時話題になっていた佐村河内守のゴーストライター騒動だ。
ひとりの聴覚障害者に、
「彼は昔からボランティアに来てくれていた。聴こえないはずです」
と証言されて始まった、佐村河内夫妻への取材。

彼はそもそも「完全に聞こえない」とは言ってない。
なのに「聞こえないはずなのに音に反応してる」と笑いものにされた。
難聴に苦しむ人は、記者会見で笑い者にされる姿を自分に重ねた。
笑われている。
疑われている。
あれが自分に対する世間の目なんだ、と。


佐村河内夫妻は、壮絶なバッシングを受けた後なのに、他では話せないことも丁寧に話してくれる。
マスコミの酷い手口も聞いた。ぜひこの人の味方をしたい。

だが、医者の見解と佐村河内の話に一致しない部分が出て、作者をまたも苦しめることになる。

データだと、佐村河内本人の証言よりは聞こえるはずだ。
佐村河内さんは難聴になった時期に兄弟を亡くしている。心因性の難聴だってある。
難聴になるとみんな発声が独特になるのに、なぜあの人だけ自然に話せる。

何が本当で、どう描けばいい。
部外者の自分が、これほど他人のナーバスな部分に踏み込んでいいのか。

佐村河内に都合の悪いことは描きたくない。だけど嘘を描いたら「マンガ」を裏切ることになる。




3回目の佐村河内家での取材。
重い空気の中で、口下手な作者が言葉を選んで質問をする。

漫画の世界も厳しくて、頑張って描いても話題にされなくて、生活もたいへんです。
もし自分にも、難病とか、いじめとか、引きこもり経験とかがあれば注目されるかも、と思ってしまったことがある。

「現代のベートーベン」ともてはやされたとき、そんな思いは、なかったですか。

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コロコロアニキ8号、電子版コロコロ創刊号付き!


青年誌のコーナーに置かれるほうのコロコロ、買ってきた!
興味のないホビー漫画つらいなあとか、苦笑いしてスルーしてたんだけど今回は買った。
四角いボディにみっちりマンガを詰めて、電子書籍で創刊号が読めるコードと、限定ベイブレードが付録。



「ミニ四駆なんかとっくに卒業だ!」レッツ&ゴー中学生編、
母の死、長い低迷。不幸が幸福に転じる、のむらしんぼ「コロコロ創刊伝説」。起死回生の「ハゲ丸」誕生。

そして「あまいぞ!男吾」の「ザ・男子向けマンガ」の風格。
冒頭にお嬢様が啖呵きってケンカに挑むところから始まり、
なぜそうなったのかの経緯が描かれる。
この1話だけで登場人物がどんな性格で、どんな関係性なのかわかる。
40周年記念号で貴重なインタビューがあったり、繊細な絵のマンガも掲載されてる。
各世代に響く子供時代のエピソードがある。
その中で、まさか小学生男女のケンカ漫画が印象に残るとは。ベテラン強し。

あと小田扉の謎プロレス漫画。天山が人間の理性を失って牧場で世話になる。

3月25日の雑記 石黒正数は頑張ってるのに俺ときたらよう


「それでも町は廻っている」最終巻を読んだ。
「その気になれば続けられるけど、一旦このへんで切りましょうか」って余裕。



若手漫画家にとって連載を持つってのは、ハードル競争みたいなもの。
毎回ギリギリの高さを跳ばされて、
順調に見えてもわずかに足がひっかかったら全て台無しになる過酷なもの。
なのにひとりだけ、ハードルを跳びつつ目線は42.195キロ先に合わせていたような、恐るべき長距離ランナー資質。

「それ町」は、主人公の高校三年間の中から、時系列にとらわれずどこか1日を描かれる。

現実の僕らも過去を振り返るとき、時系列順に思い出したりはしない。
つらかったことや、なんでもないのになぜか覚えていることなど、ランダムに思い出すはずだ。
「それ町」を本棚に並べて、てきとうな巻数を読むことは、青春時代を振り返るのに似ている。

作者はそこまで意図したんじゃないにしろ、結果的に革新的な作品になった。
連載10年以上にわたって用意していた伏線を明かしつつ、話ごとの関連性を恐るべき細かさで処理しつつ、表面的にはなんでもないようなエピソードたち。
規格外というか、ファンにとってはこれでも全然「見合った」評価と認知度が与えられてない気がする。
永遠のような一瞬のような物語、とりあえずの一区切り。



チャンピオンに連載している「木曜日のフルット」、最新話はグルメ漫画ネタ「さなのギャンブルめし」だった。
両作品とも似た雰囲気だけど、フルットは週刊連載なので、賞味期限が短い。
「それ町」は5年後に読んでも同じように面白いけど、
今回のフルットは、グルメ漫画界がすごいことになっている「今」の感覚でないと、ちゃんと理解できない。




他にもいろいろ見たものはあるんだけど、春はなんだかんだ忙しくて。
YOUTUBEでいくつか観たVR対応の映像を観た。コリアン・アイドル系のPVがいくつもあって、ちゃんと見るのは初めてだったんだけど、「あー、こりゃアジア系好きの欧米人メロメロだわ」って納得。


「ブレイキング・バッド」シーズン2の、敵を暗殺しようとたくらむシーン良かった。

「バン、バン、バンで終わりだよ!」
「バンバンバン、ってことは3発撃つのか?」
「知らねえよ、2発か3発だ!」
「頭か、胸か?そもそも銃に弾は何発入る?」

慎重派と大胆派のふたりの会話が、笑いを生みつつ、だんだん実行の様子を細かく想像させられて怖くなってくる。

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