80年代カルチャーへのドット絵ラブレター PS4「crossing souls」レビュー

80年代カリフォルニアに不穏な嵐。
雷が落ちて、クリスは親に隠れて進めていたNES(海外版ファミコン)を中断するはめになった。

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ビデオテープ風のノイズが乗ったカートゥーンで始まり、
主人公の部屋には、パックマン、スライム、マイケルジャクソン、インベーダー。
祖父は軍人、ママは「ハウルの動く城」らしき作品を執筆中、パパは元プロ野球選手。
ちょっとしたオブジェを調べるとしっかりコメントが用意されていて、左上の顔グラフィックも細かく動く。

おいおい、マジか。この作り込み。

父の魂であるバットを振り回しながら、天才科学者の血をひく友達、アル中の父とワゴンで暮らす女の子、バスケ選手に憧れる黒人少年ら、仲良しメンバーが夏休みの冒険に出かける。
つまり、スタンド・バイ・ミーで、バックトゥザフューチャーで、グーニーズで、ゴーストバスターズで、
町にはダイ・ハードっぽい人がいて、ポルターガイストで苦しむ家庭があって、ゲームセンターではコナミコマンドやコーラの起源の話。

あのころ愛した作品たちへのドット絵ラブレターが、画面いっぱいに広がって圧倒される!

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たぶん、背景のポスター全部に元ネタがある。

同じ本でも、キャラクターを切り替えて調べると違う反応をしたり、放置してたら退屈そうにボールで遊びだしたり、一人づつやられモーションがあったり。音楽も、楽しい夏休みの予感しかしない。
お堅い校長、パントマイマー、カンフーの達人風アジア人、秘密がありそうなホームレス。
戦うのか和解するのか?紫ジャケットの不良少年たち。
みんな手足長めでよく動く。日本ゲームの可愛くて緻密なドット絵キャラとは違う文化圏のドット絵キャラたち。

80年代の楽しいもの全部入りの町。開始直後のワクワク感なら年間ベスト級ゲームだ。

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そして、仲良しグループは世界を脅かす秘密を知ってしまい、旅に出る。
強大な軍隊を持つ大人達を出し抜いて、仲間を思う気持ちと、それぞれの特技で戦う。

シュワちゃんやランボーのそっくりさんネタを連発するだけでもファンは喜びそうだけど、ストーリーは意外とシリアス。
ヌルいパロディに頼った楽しさより、
「ガキが世界を救う物語」を照れずにやっているのがいい。

アクションは評価の高い「hyper light drifter」と同じ制作ツールなのか、感触がそっくり。チマチマ系だけど、敵を倒した感が気持ちいい。

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そして、ここから若干落ちることに触れざるを得ない!
この「80年代へのラブレター」。愛情はこもっているが、ここぞって場面に限ってスベってる気がする。


中盤で、僕も大好きな「バックトゥーザフューチャー3」のオマージュがある。
一定のスピードになると起動する車型タイムマシンに乗り込んで、線路で加速する名シーンだ。
充分に加速して時空を越えなければ、そのまま途切れた線路に突っ込んでしまう!

そこで唐突に「車をボタン連打で加速させるミニゲーム」が始まる。
なんか…センスを感じないというか(ボタン連打は80年代かもしれないけど)
盛り上がる場面で微妙なミニゲームを入れてくる。

グラフィックや音楽に比べて、ゲームの醍醐味である謎解きやボス戦のクオリティがそこまで高くない。
豪華食材を見せられたあとで、これからどんなメインディッシュが!?と待ってたら、サラダだけ出てきたみたいな。
配信直後だからか、地形に引っかかって進行不能とかしょぼいバグも何度かあった。

そして、賛否両論ありそうなストーリー。
個人的には評価したいけど、
冒頭の楽しさでテンション上がって、この町楽しい!ずっと見ていたい!と思うぐらいだったけど、本当に最初がクライマックスだったような。この気持ちをどうしてくれる。一旦好きになっちゃった登場人物たちの行方が気になるぞ。あいつも、あいつも、あの人も、あの人も。




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PS4「FIREWATCH」レビュー 潰されそうな静寂の中で、生き伸びるためのジョーク

題材も、会話のセンスも、ザ・海外のインディーズゲーム!だった「ファイアウォッチ」。

80年代。家庭に問題を抱えた中年男性ヘンリーが、逃げ出すように選んだ、山火事の見張り業務。
プレイヤーは主観視点で、見張り台でのひと夏を過ごす。

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他者との関わりを捨てたヘンリーの前には生活用品と、本と山。
ヘンリー視点だから、自分の顔すら見えない。
ゲームの中に「顔」がない。

多くのゲームは登場人物の「顔」を重視するけど、このゲームでは顔を出さずに「持ち物」で人を表現する。
山を歩くとキャンプの跡があって、ビール缶が大量に捨ててある。
そこにいた人にとって、必要な荷物が「ビール」だった。

「無人島に1つ持っていくなら何?」
って、答えで人間性を見る質問があるけど、
「孤独の中ですごすのに何を持っていくか」
で人を表現している。
この人はリュックのスペースにこれを入れたんだな、と思って小物類を見てほしい。
ゲームの進行に関係ないけど、ひとつひとつを手に取って見ることができる。

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他者をもっとも近くに感じるのは、近くの見張り台の女性と通信するときだけ。
山を歩いて動物の痕跡を見つけるたび、崖やキャンプの跡を見つけるたび、L2ボタンを押して返答。

他愛もない軽口を言いあって、未完成の地図を手にぐるぐる迷う。
欧米人は、追い詰められたときこそジョークを言う、とは聞くけど。
互いに顔も知らない男女が、この崖になんて名前をつけようとか、どんな顔をして、何があってこの仕事についたのか、とかひたすらジョークを言いながら山を歩き回る。
ジョークなんて直接的に役に立つことはないけど、それでもないと、今の環境を直視するとつぶされてしまう。

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ヘンリーは家庭の問題を先送りにした。
プレイヤーだってそもそも、みんなと騒いだり、オリンピックを観たり、モンハンワールドをするんじゃなくて、このゲームに何かひっかかるものを感じて、買ったということは
「パーティーより孤独を選ぶ人」だろう。
それでも、本当にひとりになったら生きていけない。

わざと楽しさを抑えて、ちょっと人生について考えてしまうような、静かで存在感のあるゲームだった。



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火薬の量を間違えてるアクションゲーム、PS4DLソフト「ネクスマキナ」

見た目は地味だが、破壊と発見の快感にすべてぶち込んだ会心のアクション・シューティング「ネクスマキナ」がセール中。
ネクスマキナ情報ページ

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主人公はちっちゃくてほぼ見えない。ストーリーは一切説明がない。
左スティックで移動。
右スティックの方向に弾を打つ。

ワラワラ湧いてくる敵の攻撃はやたら激しく、こっちの攻撃はもっと激しい。
敵倒した!はい次!人を助けた!よかった!敵倒した!次!
何回もプレイすると、いろんな所の隠しキャラや武器の性質がわかってくる。
余計なことはいっさい語らずにバンバン敵を撃ちまくる。
とにかく色と光が激しすぎて何がなにやらなので、オプションで色を調整して、難易度は一番やさしいとこから始めて、目をゲームに慣らせばいいだろ!という大胆設計。昔のブラウン管を再現したモードもある。

ひたすら物量で押してくる敵たち。なんか作りが雑だ。
わざとやっているゲーム全体の「だっせえ感じ」。
自分たちが好きだった、80~90年代っぽい、単純明快で、バンバン壊すゲーム。あの感じをもう一度!と思って作ってる。

そこらへんの壁を撃つ。隠しキャラ出る。「隠しキャラ」って言葉自体が死語みたいだけど、繰り返すごとに敵の行動パターンが読めてくる。
一見雑なゲームだけど、クリアするには緻密な操作が必要なのがわかってくる。

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死んだら唐突に出てくる謎のメッセージ。


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巨大ボスは「どくろ弾」を撃ってくる。

「どくろ弾」ってすごく古さを感じませんか。なんでそれまで銃弾でやりあってたのに、ボス全員、攻撃にどくろ弾が含まれてるんだ。

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バーーーーン!!と爆発四散するボス。2Dアクション史上まれに見る壮絶な爆破。
敵を倒したんだから、その瞬間は派手なほど気持ちいいに決まってる!
動画をアップロードしようとしたら画面が細かすぎてエラーが出た。やりすぎ!

「LIMBO」「ICO」など、言葉を省いたアート的なゲームがある。
逆に、バイオレンスに徹したゲームもある。
ネクスマキナはどっちでもない。
「俺たちが子供のころ夢中だったゲームってどんな感じだったっけ」
と考えたらこうなった。
これが俺たちの原風景。俺たちはこんなゲームが好きだ!と、画面からビームのように放たれた思いに胸を貫かれバッタリ逝った。




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「メタルギアソリッド5」で核兵器をつくる。

いやしかし。いやしかし。ここまで面白いかね。
最初だけやって「やーめたー」って言おうとしてたのに、プレイ時間が100時間を越えた「メタルギアソリッドⅤ」。

小島秀夫作品の中では、高校生のころに遊んだ「ポリスノーツ」が1位で、それも元ネタっぽい映画がたくさんあることを知って、その後はちょっと触れるたびに、やっぱこの人は合わない!と思ってたんだけど、これだけはハードルの遥か上空を越えてった。


戦場に出かけて資源や人材を手に入れて、自分の基地を拡大していく。
動植物を保護して、科学者を保護して、少年兵を保護。
基地は自分を慕う兵士だけが集まる独裁国家みたいになってくる。
基地は拡大。銃を作り、ミサイルを作り、武装ヘリを作り、防衛システムを作り。

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核兵器の開発ができるようになった。

アメリカ映画なら核はミサイルの強力版だけど、本作では「別枠」。

育成した基地には、オンラインで他の人から侵入されて資源を奪われることがあるけど(めったにない)、核を保有していれば安易に侵入されない。
個人を「大統領」にたとえると、
わざわざ他国に挑発(荒らし)行為をする大統領からも、ちょっかいを出されずにすむ。
つまり「抑止力」。
莫大なプレイ時間を費やして「他のプレイヤーになめられないようになる」アイテムだ。



世界中で売れてるゲームだから、必ず核兵器を作るやつは出てくる。
そいつに対抗するように、他のプレイヤーもひとり、またひとり、核兵器を作る。
核のない世界も目指せるけど、その行為の割に合わないこと!

遊んでいただけなのに、気が付いたらこうなっていた。
最初は銃がリアル!映画みたい!と喜んでいたら、厳しいアフリカ情勢の話があって、
「うわあ、やっぱり戦争は嫌だ」
と、思ったはずなのに。
気が付けば自分で核兵器を作るところまでいってしまう。

単に戦争はよくないですよーと言うわけじゃなくて、遊んでいたら、いつの間にか悪夢的な戦争のサイクルをゲーム上で再現していた。
争いが簡単には終わらないことを自分で証明させられていた。
ああ、これはすごいな、すごい次元のゲームだ。




次回作は外伝「メタルギアサヴァイヴ」
人気シリーズの名前を使ってゾンビ要素を加えた安直な企画だ!と批判されそうだけど、
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本家メタルギアにも思いっきりゾンビ兵が出てくることは言っておきたい。

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「キュウリナガの復讐」レビュー。

世界にはブロッコリー関連の戦士が3人いる。

一人目は「ドラゴンボール」のブロリー。
3DSソフト「ダイナソー3D」の隠しキャラ、ブロッコ・リー。
そして今回紹介する「キュウリナガの復讐」のブロッコリー・ジョーだ。

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ジョーは「外人」として生まれ、未知の国、日本に流れ着き、トラブル続きの毎日を武術の腕前で切り抜ける。

日本の食卓では、ブロッコリーは毎日食卓に欠かせない野菜ではなく、どことなく「よそもの」だ。
ジョーのキャラクターそのものが、日本の食卓におけるブロッコリーに似ている。
ブロッコリー・ジョーはブロッコリーなのだ。


PS4ダウンロードソフト「キュウリナガの復讐」は、
幕府の陰謀に気付いて浪人になった「玉葱カオル」と「ブロッコリー・ジョー」のふたりを操作する横スクロールアクションだ。

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1ステージは20分ほど。トラップに使える爆弾や、遅いうえに3発しか使えないクナイを…使う機会はほとんどない。
もっさりジャンプと、おっせえダッシュでたらたら進み、
刀が振れるのに、敵を攻撃したら爆発して相打ちになる。
クナイや爆弾で戦うこともできるが、ほとんど壁をこわすだけで、戦いに使うことは10回くらいしかない。

全てがダラダラしたゲームだが、ステージ名に「乱」、ゲートの名前は「羅生門」とあり、
あれ…と気づく。
幻想的(生首がくるくる飛ぶ中を飛び回る)なステージは「夢」。

ステージ名が、黒澤明映画のタイトルだ。

そういえば、野菜が着ている鎧デザインも違和感がないし、ストーリーも真っ当だ。
ファンタジー日本だからと適当にすませず、黒澤映画を観て、低予算なりに正統派時代劇アクションをやろうとしている。
「どう見ても寿司」の1UPアイテムを「おにぎり」と表記しているのも、七人の侍で命をつなぐのが握り飯だったからかもしれない。


玉葱カオルの爆弾を使ったときのトロフィーはこれだ。
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「これを食らえマイケル・ベイ」

黒澤映画ファンが、ハリウッドのマイケル・ベイ監督をトロフィー名で批判する。
過激なゲームばかりを求める最近のゲーマー批判にも感じられる。

遠い国のオタクたちが、日本の戦国映画に感化され、日本の横スクロールアクションに影響を受けて作った。
ゲームが面白くないという欠点はおいといて、真っ当に勝負しようとする武士道精神は海を越え、電波に乗って、再びわれわれ日本人のもとに帰ってきた。


「キュウリナガの復讐」は、11月15日までの「ベストヒットインディーズ」企画で
通常価格キュウリ15本分くらいのところを、キュウリ2本分くらいで販売中だ。


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