1997年春の東京ゲームショー

散らかした部屋をなんとなく片づけていたら、97年のゲームショーを扱ったセガサターンの雑誌が目に入った。
これを、逃避行動ではなくあくまでも部屋の片づけ後半戦のための戦略的休息として読み始めたんだけど、なかなか興味深い内容だった。

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3日間の来場者は12万人。
去年一年間は、サクラ大戦、パラッパラッパー、ポケットモンスターという、多くのフォロワーを生み出すタイトルが各ハードで発売され、今後もゲーム業界は発展していくだろうと書いてあるのに、セガ陣営には「スーパーロボット大戦F」以外にあまり弾がなくて、「稲川淳二の百物語」とかが期待の新作として紹介されている。

「やだな~、やだな~、来季のセガサターンの新作に稲川しかないの、なんだかやな感じだな~」
と編集者も言いながら記事にしていたのかもしれない。というか、稲川さんの怪談ってちゃんと聞いたことないんだが、いつごろから有名になったんだろう。

他に取り上げているのが、BASICなど遊ぶ側から作る側に回るためのクリエイト系ソフト特集。
実写版「ときメモ」の始動、
等身大綾波レイ28万で販売開始、
機動戦艦ナデシコのゲーム化ほか、
今一周回ってリメイクや再評価されている作品が多い。このくらいの周期で回っているのかゲーム業界。

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ときメモとラストブロンクスの実写化を、すがすがしいほど目出たいこととして取り上げている。

ゲームとアニメは「普通の大人が相手にすらしないもの」で、それが一般的なメディアである音楽や映画の世界にデビューできた!
大人たちに相手してもらえた!という感じ。

あ、あと桃太郎道中記がある。
サターンで発売された、江戸時代が舞台の桃鉄。
そういうのあったんです。

桃鉄とかゴエモンとか、有名シリーズの続編が出なくなることを嘆いている人は、そのシリーズの一番輝いていたころだけ覚えていて、その影にいくつも失敗に終わったものがあることを忘れていませんか?と思う。アドベンチャーロックマンを忘れてはいませんか? あ、元から知りませんか。そうですか。

吉崎観音さん、97年のゲームコラム

500円で100本を軽く越える数のゲームがプレゼントされるという企画で思い出したんですが、漫画家の吉崎観音さんが97年にコラムで「ゲームのまとめ売り」についてちょっと触れていました。
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ファンタジーゾーンに感動しています。昔やったシューティングで一番とくいだったやつ。
(略)
前にこのコーナーに「出して~」ってかいた時は、まさかホントに出るとは思ってなかった。1本1タイトルで出てくれたのも感動ポイント。昔のゲームの安売りはいけませんよ。今のゲームの何百倍も面白いんだから。セガさんありがとう


昔の「ファンタジーゾーン」ってゲームが移殖されたことに対するコメント。
関連作品をいくつかまとめて売るほうがお得なんだけど、これには愛を感じた。

吉崎観音先生は、このころからゲームの進化が加速していくことを否定的に書いている。
今では珍しく感じないかもしれないけど、当時の最新ゲーム情報誌の中でこんなこと書いてる人はかなり珍しい。


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みんなポリゴンとムービーにワクワクしていた時代に、
僕は8(ビット)の次は16じゃなくて10くらいが見たかった、ゲームが押しつけがましくなった、64はタイトルを揃えてほしい、と業界人じゃないからこそ言えることを書いている。

それにしても、絵の安定感は当然として、几帳面さを感じさせる字!
ここ、落書きでも何でも書いていいスペースなんだけど。

97年のテックサターンから注目作をピックアップ!

90年代のセガサターン雑誌を読んでいく企画。(単独カテゴリに昇格しました)

97年はプレイステーションのソフトだけで800本発売されたらしい。
あまりに数が多いので、発売当時には存在すら気づかなかったゲームがたくさんある。
そのソフトの大半は、これに5800円は絶対無いな、といった出来だけど、中には
「今見ると面白いことやろうとしてるな」と、新鮮に思えるゲームもある。

今回紹介するのは
「当時はスルーしてたけど、あらためて見ると面白そうなゲーム!」



その1「キング・オブ・ボクシング」

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フルポリゴンで視点変更ができることがウリのボクシングゲーム。
当時目新しかった「視点変更」という要素をアピールしたかったのか、主観視点、頭上から、透明リングの下から、など12種類の視点に変更できる。
極めつけは、「対戦相手の主観視点」。
自分が操作している無表情なキャラがプレイヤー自身に拳を振るってくるという、狂気の空間が現れる。
俺は誰で、誰が俺なのか。


その2「フィッシング甲子園Ⅱ」

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おじさん向けの釣りゲームがほとんどの中、全国の高校からひとつを選んで釣果を競うという新しいアプローチをしたゲーム。

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クラスメイトが船酔いしてしまった!などのトラブルや、釣りの最中に流れてくる他校の「勝ち抜け」情報など、退屈になりがちな釣りゲーにうまくアクセントを入れている。
使用する道具はリアルで現実の釣りの役にも立つという、ゲームの根本はしっかりしている感じも好印象だ。


その3「デス・スロットル 隔絶都市からの脱出」

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クレイジータクシーよりクレイジーなタクシーゲーム。
荒廃した未来都市のタクシー運転手になり、市民をひきつつ目的地を目指せ!
あとちょっとのところで間に合わない!と思ったら、自動脱出装置で客を車外にボーン!と弾き出せるが、そのまま壁にぶち当たった客は無残な姿に…。


その4「ストリートファイター リアルバトルオンフィルム」

ウワサだけは聞いたことのある実写版ストリートファイター。
オリジナルキャラのキャプテンサワダの画面写真が最高だったのでここで紹介したい。

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一人はハラキリして、もう一人は猛ダッシュで残像が見えている。
これはどういう格闘術なんだ…。


こういうのを眺めていると、うっかり
「昔のゲームはグラフィックはしょぼいけどアイデアがあった」という懐古主義にひたりそうになるけど、冷静に見ると、紹介されているゲームの9割以上はぶっちゃけ1000円も出す気にならないようなキツイものばかりだ。
これからも、失敗を恐れずガンガン新作を買っていこうと思う。
過去を振り返るには、俺たちはあまりにも若すぎる!



フルットの3巻は予約予約。

セガサターン雑誌をもうちょっと読んでみよう

前回、昔のセガサターン雑誌を読み返してみたら思いのほか面白かったので、これをもうちょっと紹介してみたいと思う。
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よく見たら、今月の1本でルームメイトって。

当時のアスキーが出版していた付録CD付き雑誌「テック」シリーズは、サターンの他にも、プレステ、ウィンドウズ、アダルト版の「テックジャイアン」などいろいろあったんだけど、テックサターンのスタッフのふざけ方が一番凄くて、完全にゲーム情報よりもスタッフの遊びがメインになっていた。
その結果、真っ先に休刊になったように記憶している。
97年9月号の企画ひとつを見ても、どれほどふざけていたのかわかると思う。



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「特集・サターン夏休み帳」
これは、セガサターンで夏休みの学習帳をつくってしまうという、斬新な企画ページなのだ。



まず「サターンで読書感想文」
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サウンドノベル版ゲゲゲの鬼太郎というカルトな作品で、真面目に読書感想文を書いている。書く中心を決め、主題をとらえよう。などと真面目に感想文の書き方をレクチャーしているのが不思議な感覚だ。



「サターンで算数」

ゲームキャラの大きさや移動速度を求めてみようという、なかなか面白い企画。
格闘ゲームキャラの身長がわかれば、サマーソルトキックの高さが求められるのでは?などはまだわかるが、よりによってこのページの担当者が求めようとしたのは、

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「下級生」の主人公は、マップのどの地点に移動しても一律で15分かかる。
主人公の足の速さを求めたい、というもの。

ムリだよ!

結局、いろいろと計算したあげく、下級生の主人公は道草好きであるという、よくわからない結論に達したようだ。



「サターンで理科」

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夏のレアモノ採集に出かけよう!ということで、この格好で秋葉原のゲームショップに行き、限定品の「バーチャファイターCGポートレートシリーズ・デュラル」を虫取りアミでゲットしている。
雑誌の企画じゃなかったら警察を呼ばれてもおかしくない。



「サターンで社会」

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セガの歴史や、有名ゲームの発売年などがまとめられた年表を掲載。この企画にしてはしっかりしたページだが、豆知識的に書かれた「コンシューマ四大文明」の紹介分がすごい。


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勝手に干ばつがおきたことになっている。



「サターンで工作」

発想が豊かなのか貧困なのかよくわからないページ。

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牛乳パックや段ボールで、サターンのキャラクターを作っちゃうぞ!
ということで、さっそく牛乳パックに色を塗って、接着して、ときメモの「あの人」を作ろうとするんだけど…。













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読者プレゼントになりました。



「サターン実力テスト」

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これまでのページで学んだことを生かして、サターンに関連する問題に答えよう。
漢字問題の難易度の高さにも注目だが、それ以上に文章問題のインパクトが凄い。




真宮寺さくらさんの横にサターンがあります。
さくらさんは、サターン何台分の身長か求めよ。
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図のような地層でサターンが見つかりました。
次の問いに答えなさい。
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サターンと一緒に生物の死骸が見つかりました。このようなものをなんというか答えなさい。
(答え:化石)



いかがでしょうか。このはっちゃけぶり。
ちなみにこの「サターン学習帳」という企画、前回紹介したE3の現地レポートの何倍ものページ数を割いています。
もちろん真面目な業界人インタビューとか、他機種のゲームで移殖してほしいタイトルとその可能性を考えるコーナーなど、ちゃんとした企画もあるんだけど、それ以上にスタッフが遊んでるところしか記憶に残らない。愛すべき雑誌、テックサターン。
こうして読み返すと、面白いんだけど…まあ、こりゃ休刊もするわ!

1997年のE3最新情報!

今日は世界最大のゲームショー、E3の特集をやる。
15年前のセガサターン雑誌に当時のE3特集があったのを思い出したので。そこそこ昔を知るゲームファン感涙もの…と思いきや、ゲームって長く続いているシリーズが多くてあんまり懐かしくもない。
さて、この冊子を開いてみましょうか。

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E3の前にまず「エニックスがセガサターン参入」の大ニュースだ。

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ドラクエを出すという情報ひとつでゲームハード戦争を終結させるほどの巨大メーカーがサターンに参入して、
「サターンには何を作ってくださるんだろう、不思議のダンジョンとかさあ、天地創造とか、いろんな面白いゲームがあるもんなあ」
とワクワクしていたセガっ子の前に、エニックスが「これ出すよー」と取り出したのは、「忍ペンまん丸」とかいう明らかにユーザー層に合ってない上にポリゴンがガックガクの3Dアクションゲーム。
あれは一体何だったんだ。
あとサッカーRPGとかいう新ジャンルのゲームね。サカつくの影に隠れて全く思い出せません。そのくせプレステでは有名シリーズを次々と出してサターンに致死量のダメージを与えていったのでした。マジでエニックスは何しに来たんだ!

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それとこの雑誌は毎月付録のCDが付いてきて、今月はマスコットの「サタンちゃん」というキャラでマジカルドロップというゲームが遊べる特別バージョンの体験版が収録されていた。
マジドロは一見単なる落ちものパズルだけど、反射神経さえ良ければどんどん連鎖を繋げることができて、いいゲームだったぜ。

わざわざ編集者をアメリカに行かせておいてE3特集はほんの4ページほど。各国のブースの中でも、任天堂、ソニー、セガの3つがぶっちぎりで規模が大きかったそうだ。
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ソフトメーカーで一番盛り上がっているのはカプコンで、サターンに移植も発表されたバイオハザードがやはり注目を集めていた。
アメコミヒーローが集結する、マーブルスーパーヒーローズでも、必殺技が出るたびに外人さんは大喜び!だそうだ。このシリーズがどんどん進化して今のVS.シリーズになる。

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日本と違うのはアイスホッケーやバスケなどのスポーツゲームが強いこと、QUAKEなどのリアル指向の3Dシューティングが多いことだ。まだFPSというジャンル名では書かれていない。

次号に収録される体験版は、ポリゴンになった「忍者じゃじゃ丸くん」だそうだ。
当時でも「エッ?今さら?」って思ったけど、遥かなる年月を越えて3DSでも「エッ?今さら?」って思うことになるとは。歴史は繰り返す。

それと、今では伝説級のガッカリゲーになったセンチメンタルグラフィティの広告がたくさん掲載されてるんだけど、これは騙されるわー。はっきり言って女の子のグラフィックは他と別次元。
他にも、90年代のアニメって目のやたらデカいキャラの印象が大きいけど、もっと洗練された絵柄のゲームも多い。特に「卒業3」「クイズなないろドリームス虹色町の奇跡」は、古いアニメ臭さもなく、今のギャルゲーとも違う清潔感が漂ってて、凄く気になる。



ヒロインが本当に普通のトレーナーとかブレザー姿。新鮮。
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