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山本さほ「岡崎に捧ぐ」2巻読む。笑いながら俺の黒歴史を掘り返してきそうで怖い!



以前1巻だけ読んだ「岡崎に捧ぐ」2巻を読んだら、
これが怖いのなんので、ついつい何度も読み返してしまう。

現在ファミ通ほかで連載している山本さほの、小学生時代からの親友「岡崎さん」に捧げるエッセイ漫画。
タイトルからして凄い。実在の、特別な地位でもない人の名前がこんな堂々と出ている本を他に知らない。

2巻では中学生になった二人が、放送部のテレビでプレステをやったり、初恋に目覚めたり。

ゲーム好きならずとも相当な知名度の漫画家なのに、サービス精神なのかプロ根性なのか、初めてのブラジャー話とか「何をあっけらかんと描いてんだ!」って笑うし、中学生なりのオシャレ話も可愛いんだけど、
読んでるとなんかゾワゾワと居心地が悪いのです。

友達のいない優等生、グレてしまった生徒、そして明らかに普通の家庭じゃない岡崎さんの様子を見ると、世代が近いので
「ああ、こいつは俺だ! 同じクラスのあいつだ! こう見られていたのか!」
と、記憶の底にしまっておいた痛い記憶をスコップで雑に掘り返された気になる。

ゲーム系アイテムは、プレステのメモリーカードシールとか、モンスターファームのレアモンスターを呼び出せるシングルCD、ポケステ等が登場。

当時はまだ「オタク」という言葉がかなりの悪口で、ゲームをする女子の姿も少なかったはず。
いかにもそれっぽい女子でゲームやってる人はいても、
「明るいお調子者タイプでゲームも好き」
な女子は、プレステ登場まではかなり少数だった…はず。
(そもそも女子と関りがなかっただけかも)

今後はつらい展開もありそう。まとめ買いもできるけどしばらく置いて続きは次回に。


PS4にて、フライハイワークス配信のレースゲーム「マンティス・バーン・レーシング」にはまる。
上空視点のレースって時代と逆行してるようだけど、そもそも大昔のレースゲームは上空視点だったはずだ。
マンティス・バーン・レーシング

この視点だと、迫力と引き換えに、コーナーをどれだけ美しく突破したかが見えやすい。
壁に激突したときのペナルティが大きく、力技は通じない。
コースを把握してコーナーを美しく攻める、「美学」を極めたくなる。


しばらく忙しくて体力減退。
遊ぶ時間がない。時間がないと遊べない。遊べないと書きたいことがない。
4年前は全く見なかったワールドカップ、面白い。何で観なかったんだろう。

隠れキリシタンではなく、潜伏キリシタンが世界遺産認定!

「潜伏キリシタンが世界遺産に登録」のニュースを見て、
へえ、「かくれキリシタン」と習ったけど、そういう言い方になったのかな。

…って、引っかかったけど、特に気にしなかったのって、僕だけじゃないですよね!?


広野真嗣「消された信仰」

信仰心の薄いクリスチャンだった作者が、かくれキリシタン文化が根強く残る、長崎「生月島」に取材をする本だ。
久々のノンフィクション本レビューですが、作者の気持ちを理解して、正確に理解した気がしないので、
これはあくまでも、理解できたところの感想。


長崎県は前にも「長崎の教会群」を世界遺産に推薦していたが、イコモス(世界遺産を認定する団体)から見ると弱かった。
キリスト教は世界各国にあり、古い教会群も世界中にあるからだ。

世界遺産に認定されるには、世界唯一の存在であること、オリジナリティが重要なのだ。

長崎のキリスト教で「他の国にない要素」は何か。
「かくれキリシタン」の人たちが弾圧を受けて、踏み絵を強要されても、仏教にカモフラージュして潜伏していたことだ。

「教会群」は却下されても、「潜伏」していたことに絞って、世界遺産の価値があると認められたのだ。

潜伏していたことに関連する地域、建築物は世界遺産。
「クレイジージャーニー」に出ていたような、潜伏中に仏教と結びついて、今でもキリスト教と違う独自の形で信仰を続けている「隠れキリシタン」は世界遺産ではない!、

「カクレる」必要がなくなった今もキリスト教徒にならず、日本画風の「ヨハネ」を前に、口頭でのみ伝承された祈りとなえる、独自の「カクレキリシタン」文化は、遠藤周作にも「得体の知れぬもの」と書かれ、
ちょうど世界遺産から認定されるころに長崎県のパンフレットから消されてしまった。

元々隠れて信仰するものだから、教会や聖書といった形がない。積極的に信者を増やさない。
そんな文化を丁寧に丁寧に取材して、
「これが信仰でなくて何だ!」
とばかりに、形にした一冊。

潜伏したことに価値が出て、今も熱心に信仰している人は「いない感じ」にされていくのに胸がザワザワする。

 のむらしんぼ「コロコロ創刊伝説 3巻」

コロコロコミック創刊からを語る「コロコロ創刊伝説」3巻。九州から2人の熱い男、MOO.念平と小林よしのり登場。



「真実の物語」といいつつ、小林よしのりがマンガを描くと熱でエアコンがきかなくなる。
ギャグ表現もあるが、その中に本当がある。
子供のころにふれたアレもアレも、大人が本気で作ったものだった! 過去の話だけど読者に懐しむ間を与えない。

行き詰まっていたのむらしんぼに何かが降り、ついに「セコい男だから描けるマンガ」つるピカハゲ丸が完成。
まともな大人はこのタイトルに到達できない!

好き嫌いは分かれるものの、自信とパワーに溢れた小林よしのりと、
周囲に支えられて苦しみながらもヒット作を生んだのむらしんぼ。
同時期に金持ちギャグと貧乏ギャグを連載していた2人。

おぼっちゃまくんはドラえもんに変わってコロコロの顔になる勢いで大爆発するが、わずか8ページのハゲ丸は分厚いコロコロに埋もれて、連載が始まったのに見つけてもらえない。
話数を重ねることに、1巻2話のアンケート結果に、なぜバンザイして喜んでいたのかわかる。

取材のために訪ねても、未来の話を始めてしまう小林よしのり。
つまり、コロコロ創刊伝説は小林には描けない。わしが天才だ、で終わってしまう。
過去を振り返りがちで他人をスゴイ!と思える男、のむらしんぼだから描ける。

ヒット作は簡単には作れないけど、「自分には無理」とやる前に諦めず、しつこくしつこく立ち上がれば、自分にしかできない役割が降ってくることもある。
作中の編集者が繰り返す。コロコロの子供向けマンガは、主人公のキャラが命と。
かっこ悪くても熱い主人公に読者は共感する。
この漫画も、コロコロの漫画だ。
主人公はのむらしんぼ自身だ。
天才ではない、還暦で家族に愛想をつかされた借金男がコロコロの主人公にふさわしくなっていく。だめな男が、自分だけにしかできないことに本気で挑み、過去のライバルたちの力を借りて大きな仕事に挑む。
それが、リアルタイムで現在の借金生活を変える!過去の話でありながら今の読者に元気を与え、ライブ感がある。
コロコロに限らず、子供時代に夢中になった何かがあれば楽しめるだろう。


「おぼっちゃまくん」1話目の表紙も出ているが、茶魔に次いで学校と教師がドンと出ている。
このマンガは友達の家にあったのを見た記憶しかないけど、そういえばスパルタ学園に転校生として登場する話だった!

悪ガキがケンカに明け暮れる「あまいぞ!男吾」が健全な香りがして、おぼっちゃまくんに苦情が殺到したのが面白い。大人が押し付けるスパルタ教育を、金で子供が破壊していく。パンクだ。良識をギャグで破壊する。

覚えているのは、ライバルが腕時計を自慢するくだり。
茶魔に張り合おうとする袋小路くんは、高級時計を両手両足につけている。
しかし、時計を持ってないと言われた茶魔は、合図をひとつ。
すると、お手伝いさんがさっと現れて、時刻を教えてくれる。
時計を持たなくても、合図ひとつでどこにでも現れて時間を正確に伝えるだけの、時計役が待機して24時間見守っているのだ!
高級車に乗って自慢するより、本物の金持ちは免許を持たず運転手を雇っているのと同じ!
高級ブランドもわからない、腕時計で得意げにすることが理解できない子供にも、どちらが格上かわかるのだ。

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海外大手アニメサイト「クランチロール」、年間ベスト漫画に「ゴールデンカムイ」「弟の夫」をおさえ、あえて「レズ風俗レポ」を推した!

※今日の記事は個人的に調べただけなので、間違い、勘違いもあるかもしれん。

海外のアニメ配信サイト大手のCrunchyrollでは、毎年ベストアニメ、ベストキャラクターなどなどを選出している。
去年は「ユーリ!!!」の圧倒、今回は「僕のヒーローアカデミア」無双だった。

その中に「ベスト漫画」部門もある。2017年に翻訳出版された日本漫画のアカデミー賞。
ノミネート作品が

・ダンジョン飯
・昭和元禄落語心中
・弟の夫
・この世界の片隅に
・ゴールデンカムイ
・さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ



だったらしいんだけど、
濃くないですか?
明らかに「楽しかったからこれ」「売れたからこれ」ってチョイスじゃない。

超古参アニメファンサイトの管理人や、ジョジョやデビルマンを翻訳した経歴があったりの筋金入りオタク達がチョイスしたら、こうなったらしい。

受賞したのは永田カビ「さびしすぎてレズ風俗に生きましたレポ」。
何度もレビューするぐらい個人的には大ファンだけど、よくこれを推したな、と思う。

全部読んだわけじゃないけど、完成度では「ゴールデンカムイ」「弟の夫」ですよ。パラっと読んだだけでも、画力、ストーリー、題材、もうこれは絶対凄い、匠の技やで、と認めるしかないような。


批判覚悟で、あえて今年ベストはレズ風俗のやつにしましょうと押し通した選考員。何か考えがあったのだろうか。

ノミネート作品に共通するのは、作品に「日本」成分が強めに入っているなと。
ファンタジー世界のような「ダンジョン飯」だって、西洋の世界観がまわりまわって日本のグルメ漫画界と融合した、たらこスパゲティみたいなものだ。

漫画は日本で成長した、日本を知ることのできるメディア。
「日本人はジャッキーチェンしか知らないよ」みたいな欧米人に読ませたら、
「えっ、日本って、漫画ってこんななの?」
と驚かせるような。好き嫌いは分かれても、刺さった人は日本旅行や日本語の勉強を始めてしまうような尖った作品が並んでいるように感じた。


漫画には女子高生とバイオレンスが多い。それが悪いとは言わないけど。B級ホラー映画があってこそ名画も輝くけど。それでも書店のマンガコーナーに行くと胸やけしてしまう。

その中で「こういうマンガもある、こんな題材で描かれたのがあるんだぞ」と、
「漫画を知らない人」にドンと突きつけられる作品。
気晴らしに楽しく読めるだけじゃなく、「漫画」の地位を押し上げてくれるような作品。

「レズ風俗レポ」は、鬱、拒食、家庭環境、人に合わせられない性格など、問題を抱え込んでぼろぼろだった作者が、抑え込んでいた性への希求を描く漫画だ。
他ノミネート作品との違いは、エリートコースではない無名作家のエッセイであること。
発売にはSNSの後押しがあったこと。

生きづらさに圧し潰されている、無名の、個人の叫びが作品になる。
映画になりますか。簡単にはならないよ。重いよ。売れないよ。でも漫画ならできます。漫画がなかったら、この叫びは消えていました。
pixivって発表の場があって、SNSでこういうものも支持する流れがある。アジアで女性が性についてオープンに話しているのはイメージしづらいかもしれないけど、現代日本には、これを支持する風潮はあります。

作品の周囲のことも含めて、現代と漫画と日本をいちばん持っていたのが「レズ風俗」だろうとあえて、受賞させたんだと思う。話題性だけじゃなく、いろいろ考てのことだと思う。
(いきなりこれが出ちゃったから、作者がその後の展開に苦労しているのがつらいけど)
おめでとうございます。



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角幡唯介「極夜行」太陽が昇らない暗黒の北極圏を、「GPS禁止ルール」で旅するノンフィクション 

角幡唯介「極夜行」

3か月も太陽が昇らない暗黒の北極圏を、「GPS禁止ルール」で旅するノンフィクション。
極地探検本なのに精神的に「くる」一冊だった。



まず、世界がどこでもワンクリックで見れる時代に、冒険の意味って何? という問題がある。

地図の空白地に行って、世界の謎を解き明かし、危機と引き換えに生の実感を得る。そんな旅ができない。

そこで思いついた旅が「極地行」だ。
星で方角を確かめて、月明りで危険な動物や地形を見る。
ドライブやハイキングを想像するとわかるが、「GPS禁止」で、旅の難易度と不安が大幅に上がる。

「場所」としては経験済みでも、この日のために勉強した星の見方と、このために訓練した犬と旅することで、違う場所になる。
そして旅の終わりには、命を与えてくれる本物の太陽を見る。
人生観も変わるだろうし、コンセプトとして、読み物として、新しい。ネット普及後の探検本として完璧だろう!と思っていると、序盤から、闇の神の往復ビンタみたいな強烈ブリザードが、極地用テントを右に左に張り倒す。

いきなり不穏なムードで始まる旅。
明るい極地探検は慣れていた作者を、闇が押し潰す。
足元の氷が割れれば死。背後にクマがいても死。そもそも方角がずれていれば死。
終わらない夜に、
「自分は本当に正しい方角に進んでいるのか?」と嫌でも考え始めてしまう。

立っている場所が「下り坂」か「上り」かすらわからなくなる。
感覚のない、死後の世界。
孤独を癒して、危険を知らせてくれるのは犬だけだ。

星の導きだけを頼りに歩いていると、星々が女や男に思えてくる。
人はなぜ、意味のない星の並びを「星座」に見立ててストーリーを作ったのか。都会ではわかりようもなかった。


途中で、心をへし折られるような出来事が連続し、食料も少なくなった作者に判断が求められる。
予定通り北上か、いったん下がるか。
北は麝香牛やウサギの生息地帯のはずだ。狩りをすれば食料になる。

問題は、月光だけで、牛を仕留める射程範囲に入れるかどうか。

目くろみがはずれた場合、旅のパートナーで、必死でソリを引いてくれている犬を食うことになる。

犬をなでて、狼のような体がしぼんでいることに涙しながら、
同時に「食えば生還はできる」と冷静に考える。
すでに作者は、人口の明かりや加工済み食品にあふれた国ではありえない発想と行動をしている。

今作では、文章がだんだんおかしくなっていくのが怖い。
元記者でガッチリ読み応えのある本を書く人だったのに、今回あきらかに比喩もおかしいし、突然過去の思い出語りを始めたり、奇声を上げて犬をビクっとさせたり、闇がどれだけストレスかがわかる。

未知の世界を探求することにこだわっていた作者は、「地図にのっている未知の世界」を歩いているのだ。




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