映画「チリ33人」感想

最近の印象深かった映画。
鉱山崩落で生き埋めになった労働者33人が、2カ月間耐え抜いて全員救出された事件。
生存者33人の協力を得て、あの事件の知られざる真相が明かされるドキュメンタリー!



生存者の皆さんが監修して、これ!?って誰もが思う、笑いを取りにきてるシーンがあって。
国や労働環境を恨み、訴える内容じゃなくてややエンタメ寄り。

定年間近のおじさん、あだ名がエルヴィスの陽気な男、仲間はずれにされているボリビア人らが鉱山に入る。
みんなうすうす危険に感づいている、いつ事故が起こってもおかしくない鉱山だ。

すぐに、超ブラックな仕事場の入り口が崩落!
下層の避難所に、数日分の食料と共に閉じ込められる33人。
上に通じるはずのハシゴは途中で切れて、通信手段も稼働してない。

忠実に映像化したら、閉所恐怖症の俺を含むみんなどうにかなっちゃうので、
外の世界の美しい風景と音楽、犠牲者の妻と愛人の取っ組み合いなど、明るい景色を積極的に取り入れている。

これまでの経費のケチり方、聞こえてこないドリルの音。
助けがこないことを感じつつ、かろうじて「信仰とユーモア」で命をつなぐ。


地上でのおいしそうなチリ料理と、地中でのカンヅメとミルクの落差、絶望感が印象的だ。
コップの底に、わずかな飲み残しみたいなミルク。
ヘッドランプだけの空間でみんな真っ黒に汚れて、いよいよ見てられない息苦しさになってきた所で!
もうみんなこのまま地の底で死んでいくんだ…という絶望感に埋まった食卓で、
いきなり全員が「かあちゃんの幻覚」に助けられる。
それが突然のトンデモ映画臭全開。

みんなが幻の妻が作った巨大バーガーみたいなのにかぶりつく。
そのあとの
「新鮮なミルクだよ!」
は爆笑してしまった。死に直面した人の見たはかない幻覚、とかじゃない。
確実に笑いを取りにきていて、あの表現を許した33人の皆さんの心の広さに感動する。

助かることを知っていても、ドリルの先が見えた瞬間は嬉しくなるし、
一生のトラウマになる事件に違いないのに、あえてみっともない部分を映像化することを許した事実が凄えなあ、と思う。

こんなことが起こっても、それでも他の仕事を選べない人がいる事実、
「ブラック企業」ってワードが流行語みたいに軽く使われてるけど、他を選べない人が大勢いる事実、
根本的には何も解決していないけど33人みんな笑顔。

深刻な内容を覚悟していたら、思ったよりもいろんな感情が湧き出てくる。興味深い一品であった。

「パラッパラッパー」は90年代の明るさの象徴


俺はこの2作をやってないのに!
ライバルのセガサターン派で、こいつらによって、あの作品も、あの作品もプレステの影に隠れるのを見ていたのに!

それでも「パラッパとクラッシュ」のコンビを見て驚いた。
大嫌いな
「あの頃はよかった」
という言葉が漏れそうになったからだ。


「パラッパ」は90年代の光の部分。
ゲームがこれから凄いことになるぞ!という空気を象徴したキャラクターだ。


ゲームに、ボタンの数が一気に増えて、これまでにない「ムービー」なるものが流れて、どんどん内容は複雑化して、誰もが「ゲームが映画みたいになっていく!」と興奮していたときに、あいつは軽やかにやってきた。

任天堂の天下だったゲーム業界に、
若いセンスで、オシャレで、女の子に話題にしても引かれない、プレイステーションが殴りこみをかけた。
当時まだ新鮮だったラップにのせて、
「ボタンをタイミング良く押すだけでゲームになる」衝撃を与えた。

地味でマニアックな印象を持たれそうな「I.Q」「バイオハザード」「みんなのGOLF」も大量にCMを打って浸透させていく。
ゴルフゲームなんて、囲碁将棋ゲームと変わらないポジションだったのに!


映画「ゴーストバスターズ」が1作目以来いまひとつな評判だが、
あれは映画としての質の高さよりも、当時最高にイケてたコメディアンたち、SFXブーム、軽めのホラーブームが交差した80年代の奇跡だという。

「パラッパラッパー」は、
これから、今まで見たこともない遊びの時代がやってくるぞ!
という90年代の気分、複雑になっていくゲームに対する操作性のカウンター、王者任天堂に挑戦する武器がヒップホップという、
たくさんのミラクルが交差したゲームで、
「音ゲー」がジャンル名にもなって定着した今では、もうあの感覚は味わえない。


先日のPSカンファレンスというイベントで、噂されていたパラッパやクラッシュの新作は出なかった。
発表されたのはPS4世代の新キャラ「ナック」の続編。

「お前かい!!」と全世界のゲーム好きが同時に椅子から落ちる音が聞こえた気がしたが、それは正しいんだよ!
ナックはオーソドックスなアクションで、まだ伸びしろがある、パラッパは1作目の盛り上がりを越えるのが難しい。


12月5日本日、リマスター版「パラッパ」の体験版が配信されるようだ。
実はやったことがないので、当時サターンで何やってたか思い出に浸りながら(なんだそれ)プレイしてみることにしよう!



島本和彦「アオイホノオ」16巻レビュー

島本和彦「アオイホノオ」16巻が発売された。



主人公は芸大生時代の作者をモデルにした青年「ホノオ」。
あまり漫画は描かないが自分を天才だと信じ、あだち充や高橋留美子にも
「俺だけは認めてやろう!」と上から目線で評価する。

センスがないから漫画をやめるしかないのか、と思ったりもした。
(編集者にセンスがないから、自分が天才でも理解できないんじゃないのか、と思った)
それでも、豪快な屁理屈と負け惜しみを言いながら成長していく。

いつの時代にもいる「イタい若者」ホノオは、奇跡的に新人賞に引っかかってプロデビュー。
デビュー作が掲載された、82年の「少年サンデー新春増刊号」を、
あえて1ページ目から、作者が実際にしたであろう読み方で読んでいく。

六田登、高橋留美子、新谷かおる、原秀則。
原秀則「らぶらぶぽりす」は刑事もの+ラブコメ。
流行の素材を組み合わせた強引な展開だが、主人公のカッコよさで押し切る。
「俺には…怖くてこれを描く勇気はない!」
アマチュア時代には凄さがわからなかった原秀則が、プロとしてあらためて読むと「怖い」。

怖い物知らずだったホノオは、プロの洗礼を受けていた。

やる気を見てほしくて次回作のネームを書いても、編集者からは厳しい言葉が返ってくる。
片思いしていた女性には恋人がいて、仲間からは、パロディばかりやっていることをダメ出しされる。
根拠のない自信が、的確なダメ出しで折れていく。

夢だった漫画家になったことを褒めてもらいたいし、喜びを分かち合いたいのに。
せっかく練習したサインも、誰ひとり求めてこない。

さすがに大人しくなったところに、かつて才能の違いを見せつけられた同級生、庵野秀明がやってくる。
手には、ホノオのデビュー作が掲載された少年サンデー!
「よかったらサインくれよ」

庵野には才能があった。夏をアニメ制作につぎこんでいた。
それなのに、先に有名になったホノオへの嫉妬もなにもない。
「受賞したことはすごい。プロになることはすごい。だからサインが欲しい」
人間性は関係なく、作品だけで評価するドライな人間性。

ホノオも「サインくれよ」のひと言をポジティブに解釈する。
庵野は凄い奴だ。だから、俺の凄さがわかったんだ。
練習したてのサインを必死に書く。
「ちょっと待て!こっちに絵入りのやつも描くから!」

この巻が出版された2016年に、島本和彦は「シン・ゴジラ」を絶賛するツイートをして、
発声上映会にサプライズ登場した庵野秀明と握手していた。
庵野が古くからの友人だから褒めたんじゃない。ただ、作品が良かったことを褒めた。

1982年の「よかったらサインくれよ」に、島本から34年越しの返答だ。
「庵野!俺より面白いもの作るんじゃねーっ!!」

立ち直ったホノオだが、サンデー編集部では、この新人に任せることを諦め、原作者をつけて絵だけをやってみないかと提案する。
ホノオが組む原作者とは、「男組」「美味しんぼ」の雁屋哲。
こんな仕事を受けたら「なんだこの新人」と叩かれる。

デビューしてからずっと逆風だったのに、追い風が吹くときは制御できない勢いで吹く。
雁屋哲との仕事。
正直いって怖い。断りたい。答えを出せないまま16巻は終わる。

2016年の読者はこの後の展開を知っている。
島本和彦は1982年に、原作:雁屋哲「風の戦士ダン」なる漫画を連載している。
編集部が用意した高いハードルに、「挑戦させてください」と言うホノオの姿が今後描かれることになる。

今後のアオイホノオは、ホノオ青年が島本和彦という異端に変身するまでの「エピソード3」になる。

PS4「ライフイズストレンジ」レビュー

ライフイズストレンジ。

時間を戻す(タイムリープ)能力に目覚めた女子高生マックス。

マックスは、銃を持った同級生から旧友クロエを救ったのをきっかけに、
少女失踪事件、校内のパーティの途中で意識を失ったクラスメイト、SNSいじめ、竜巻が町を襲う夢などの、身近だったり抗いきれなかったりする事件に向き合う。

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移動。調べる。Lボタンでビデオテープのようにキュルキュル時を戻す。
女子寮には調べられるものがたくさんある。
他人の部屋に何かあれば調べたい。調べるほど、大切にしている物やちょっとしたメモやラクガキによって登場人物の個性がわかってくる。

物や会話で登場人物が実在感を増して、たっぷり感情移入させてから「どちらの味方をするか」と問われる悩ましさ。


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何年も連絡していなかった間にパンク少女になったクロエと、久しぶりに子供のころのように話をして、はしゃいでいるうちに、1階から物音を聞きつけた父が上がってくる。
元軍人で行き過ぎた父に、部屋にあるマリファナ?を見つけられて、「どういうことだ!」と聞かれる。

一触即発の場で私のです、とかばうか、学校での立場を考えて黙って成り行きを見守るか。

結果、誰かが傷ついても
それは自分の選択しだいで避けられた。
「関与してしまった」感覚は、ゲームならではだ。より痛い。重い。
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アーティスト養成に力を入れた学校なので、舞台には写真がひんぱんに出てくる。
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ぼやかした画像表現に
「なんて憂鬱な写真なの…」
と言葉を入れることで、プレイヤーそれぞれが憂鬱な写真を想像できる。
あまり鮮明なグラフィックにしてしまうと、
「そこまでいい写真か?」「この人そこまで美人?」
って思ってしまうので、この表現方法はうまい。

持っている日記の書き込みも面白い。
プレイヤーが関わる前の日の気持ちから書かれている細かさ、メッセージを読めば面白さや不気味さは増すけど、
読むのが義務づけられてない。切り貼りの多さがアーティスト女子っぽい!パンク少女クロエは「顔文字禁止」!

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若さの可能性と残酷さを見せつけてくるストーリーで、SNSと銃の扱いがリアル。
冒頭で、銃を持った同級生からクロエを救うことで能力に目覚めるんだけど、選択しだいでは銃で撃たれることになる。

銃は高校生にはもてあます力で、必ず「撃ったほうがびびる」。
いろんなゲームで何百人と銃で人を撃ってきたけど、撃った側が「撃つつもりなかった!」と震えるのは新鮮だし、ちゃんと人を撃つ怖さを描いている。銃の扱いに慣れている大人との対比も見事。

いじめグループや主人公は、才能がありながらも挑戦しないことでチャンスをつかめず、なんとなく、こんな田舎町はクソだ、と言いながら貴重な日々を消費している。
貧困とかイジメとか、ゲーム内世界でぐらい考えたくないものをわざわざ味わう。
選択ひとつで、未来ってはっきり変わるんだぞ!ってメッセージも含んでいて耳が痛い。


決して楽しいだけのゲームではないんだけど、救いなのが、主人公が大人しいけど芯の強いタイプで
「10歳から13歳の楽しかった時を永遠に繰り返したら悩む必要なくてサイコー」
とは思わない。
どの選択なら友人を救えるか、ばかりに悩む。あまり自分に使おうとしない。
アナログカメラ好きのオタク寄りでありながら、共感しやすい。

最後に事件はどう結びつくのか、そして能力との向き合い方をどうするか。
超能力を持ったら、能力で好き勝手生きていって、それでいいのか。
能力と決別して生きていくべきなのか。

時間を操る能力ものにツッコミ所は必ずあるし、
「どの条件で、どの程度まで時間を戻せるの?体に影響はあるの?」
とは思うけど、最後の締め方はうまい。

ゲームなりの手法で、映画やドラマに挑戦している姿勢に唸る。
エピソードごとに、世界のプレイヤーと「このシーンでどの判断をしたか」「ここに気付いたか」と、
細かいプレイ状況をパーセンテージで比べられるんだけど、世界中のプレイヤーが悩んだことが間接的にわかってニヤリとできる。



かまいたちの夜がどうこう言っている間に、海外のアドベンチャーゲームに蝶が飛び始めた

「ライフイズストレンジ」を買ってみた。前にやったホラーアドベンチャー「アンティルドーン」
に似ているところがある。




まず、両方とも海外ドラマ仕立て。
一区切りするごとに前回までのあらすじを振り返る。
過剰に怖かったり、感情移入していても一旦現実に戻される。(ぶっちゃけ余計だと思う)

もうひとつが、選択肢でストーリーが分岐するだけじゃなくて、
ささいな行動が「後になって」効いてくるパターン。
選択肢がタテにもヨコにも繋がっている感覚。
そこでチョウチョを飛ばして
「今バタフライエフェクトですよ!発生しましたよ」
って演出はどうかと思うけど!どこでどうストーリーが分岐したかわかりづらい。現実に近くて、どうでもいい行動でも慎重になる。引き付けられる。

日本と海外でRPGが違う方向に進化したみたいに、
アドベンチャーも日本と海外で違う進化をしようとしている。

「ライフイズストレンジ」
主人公は、時間を巻き戻せる能力に目覚めたサブカル系女子高生。
能力を使って周囲のいじめグループ、家庭環境の悪い親友らの交流、信用できない先生、写真家への夢にどう向かうか。

一方で、季節外れの雪や、竜巻の予知夢など不可解な現象が起こる。
一旦選択肢を選んで、時間を巻き戻して行動をやり直せることで、
選択肢が現在、未来、ときには「過去」にも影響をおよぼす。
それでいて難しいところはなく、友達の反応や、膨大なオブジェとそれに対する反応を見ていればいい。ほんとに海外ドラマに介入しているみたい。

「アンティルドーン」が雪山に閉じ込められた別荘に殺人鬼の影…という、B級感全開だったのに比べて
セリフ回しもストーリーも全体的に上質。
ストーリーの分岐も細かく複雑で、少しなら時を巻き戻して選びなおせるのもいいアクセント。今3章だけど、彼女らに残酷な未来が待っているかもしれないからストーリー進めづらい!もだえる。

今思えばアンティルドーンの、「巨額をかけたB級ホラー」感も懐かしい。

友人たちにイタズラされて撮影され、ショックで行方不明になった女性がいた。
その首謀者たちが再び雪山の別荘に集められ…という話。

このゲームは、ゲーム配信者の顔を撮影できるPSカメラ対応で、ゲーム内でショッキングなことが起こった瞬間に、プレイヤーの顔を勝手に撮影して記録する。
プレイヤーの顔を撮る機能はたくさんあって、任天堂のMiiだって顔を撮影して作るわけだけど、
「アンティルドーン」ではゲーム内の被害者がやられた「驚いたときの顔を撮影される」イタズラを、
実際にプレイヤーに対してやる。


ほら、顔を無断で撮られるとイヤだろ?とカメラの暴力性を直接向けてくるのが斬新だった。

PSVRを使うためにカメラが必須なので、今、急速にPSカメラは売れている。
アンティルドーン再評価のときではないかと思っている。
ライフイズストレンジと比べて、
「あ、ちょっと雑!」
って感じの面白さも味わってほしい。

自然を粗末にしてきた人類に対する牛からの警告「TORO ~牛との闘い~」

PS4ダウンロードゲーム「TORO 牛との闘い」1500円。

『ゲーム界初の闘牛シミュレーション。500キロクラスの闘牛に挑戦だ!』
この一文でゲームの魅力が説明されている。

ゲーム界初のジャンルであること。
そして、闘牛の世界ではどうやら牛が○○キロクラス、と表現されているらしいのがわかる。

よくできたゲームより未知のゲームを求める俺は、この説明文だけですぐに心をつかまれた。購入を決めた。
日本語翻訳が一切されていないことも、表記しておいてほしかった。

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まずはこのイメージイラスト。
カッケー!
この主人公を操って、一瞬の油断が死につながる猛牛との闘いに身を投じるのだ。








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まあ、イメージと実物が違うなんてよくあることだ。
主人公の外見をカスタムできるけど、項目が「髪形」と「もみあげ」ってなんだよ…。
肌の色や衣装も変えられるけどなんだか不思議だ。


ゲームはR1で牛を呼び、ちょうどいいタイミングでLを押しながらのコマンド入力で牛をひらりとかわす。
以上だ。
あらかじめ登録しておいた技(あんまり違いは感じないけど)をタイミングよく繰り出してコンボでハイスコア。
牛を引き付けすぎるとぶつかるのでコンボが途切れる。

「モー」
来た来た。
タイミングよく、マル、バツ!
「ひらり…」
「モー」
そのうち「牛の怒りゲージ」がMAXになると牛が突進してくるので、指示に従ってボタンを押す。




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オーレ!

終わりかよ!マジで!?これの舞台が違うのを繰り返すのがメイン!?
BGMもほとんどないぞ。たまに歓声が入るだけだ。

PS4に来るインディーズゲームって、インディーズといえどそれなりのレベルは越えてくるんだけど、久しぶりにすごいゲームをつかんだ。

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オマケの、牛になってボタン連打で闘牛士に激突するゲームはちょっと笑ったけど、これもバカ要素に振り切ってない。
闘牛士が吹っ飛んだあとの一番面白い絵に結果画面がかぶさるから、肝心なところが見えない。
何回かやるとBGMが終わる。音楽がループしてないのだ。途中から無音空間に闘牛士の悲鳴だけが響く。
鑑賞モードでいろんな牛を回転させる、コントローラをそのまま落としそうになる要素も収録。

牛を粗末にした人類に対する天罰みたいなゲームだ。
「プログラミングしたのも人間に化けた牛」説。
どういう経緯で日本に来たんだ。
闘牛をまじめにゲーム化しようとして技術力が足りなかったわけでもなく、バカ要素に振り切ったわけでもない。

ただ、闘牛はゲームと相性が悪いとも言い切れない。
タイミングを一瞬でも間違えば死につながるような緊張感があれば、いいゲームになりそう。
動物保護の観点から実物の闘牛はなくなってるそうだ。ゲームの中だけでもしっかりした闘牛ゲームを遊んでみたい。



サモ・ハン監修の「西遊記 孫悟空VS白骨夫人」が面白い

サモ・ハンをアクション指導に据えた西遊記が超面白かった。
なんでチャウシンチー版や香取慎吾は大々的にやるのに、これをもっと宣伝しないのだ。
悟空が山を爆発させて出てくるシーンだけで爆笑&拍手モンだよ。


中国で西遊記の映画となると、
「自分の知ってるものとは違うんだろうなあ」
「どうせショボイんじゃないかなあ」
とか、思ってたところに!

冒頭から虎に襲われる三蔵法師。洞窟に逃げ込んだとこで孫悟空登場!
いきなりの「如意棒ー!!」から怒涛のアクション。

「うわっ、俺の知ってる西遊記だ!このスケールとテンポでずっとやってくれるの!?」
って嬉しさ。

悟空の動きのキレが良くてもう。何かを探したり、見たり、しぐさのひとつひとつがいい。
CGでの瞬間移動は、むしろこっちがドラゴンボールの影響を受けてるみたいだ。

西遊記って遠い遠い天竺まで旅をする話のはずだけど、移動する場面なんかオールカット。
アクションだけを凝縮した西遊記。
ほかの部分はみんな知ってるだろうから、各自頭の中で補完するように!ってことだろう。

本家西遊記にある能力か知らないけど、孫悟空には「真実の目」があって、人間に化けた妖怪を見抜くことができる。
だから三蔵法師を暗殺しようとした妖怪を退治できるけど、三蔵の目には、悟空が暴れて市民を殺したようにしか見えない。

口数の少ない孫悟空はうまく理由を説明できず、一行はバラバラになってしまう。
だが、圧倒的に強い悟空を孤立させることが敵の狙いだった…という話だ。


敵ボスの白骨夫人は、三蔵法師を食って永遠の命を求める美女。
最後に待ちかまえているんじゃなくて、序盤から姿を現し、なんとか三蔵法師が説法で解決しようとする関係も面白い。

三蔵法師の精神は高潔だけど、アクション中心なので映画内では役立たずに見える。
エキサイティングな部分だけ映像化してるのに、三蔵法師が話をする場面だけ展開が止まるなあ、って。
三蔵が若干うっとうしいのが映画的にはスカッとしない。誰も救えない説法をして、命の恩人である悟空をお経で苦しめて、このお師匠さん、そこまでして守らないとだめか。
日本のドラマ版で勝手に女性としてリメイクしたのもわかる。そのほうが護衛する意味があるし、説教に嫌みがなくなる。

ド派手なラストバトル以上に猪八戒のキャストも印象的。
人間に化けているときは色白でむっちりした憎たらしい顔で、いつも女の子を追いかけてどこかに行っちゃうキャラ。この、生まれてから苦労を一度も知らないような顔!
そこそこアクションもこなすし、ピンチには豚(イノブタ?)に変身。
悟空の三十分の一ぐらいは強いかな?と思える程度のパワーを見せる。

続編では沙悟浄(こいつもいい顔!)の活躍も見たい。
悟空とちょっとキャラがかぶってるんだよ悟浄。他のメンバーにできないことは、砂に潜ってのステルス能力だと思う。そこを磨くんだ悟浄!

PS4「ライズ・オブ・ザ・トゥームレイダー」クリアレビュー


「現代版インディージョンズ」「女性版アンチャーテッド」と思っていただいて間違いない「トゥームレイダー」リブート後第二弾。
最初はフリーズすることがあったんだけど、アップデート以降は問題なし。寒冷地が舞台なので慣れてなかったんでしょう。

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通過するだけでもれなく崩れていく国宝級の古代都市を、謎を解いてドガーン!銃撃戦でズガーン!
ガンガン崩壊させていきながら「永遠の命をもたらす宝」を見つけるのが目的だ。
不老不死になりたいのではなく、ペテン師扱いされて死んだ父の名誉を守るために秘宝を探すララ。
その前に、冷酷なロシア人集団トリニティが立ちふさがる。

前作は舞台が邪馬台国で、インチキ日本感が楽しいけどどうしても笑ってしまったが、
極寒の地でロシア人相手だと、少しだけピリッとした空気になる。

アンチャーテッドとの違いは、戦闘の難易度が低くて、謎解きがやや難しいバランス。
ロープを張り、攻撃にも使える「弓矢」がララのトレードマーク。
毒矢、爆発矢を使うことで銃よりも重宝する。

遺跡の入り口には重い扉が!
扉を壊すためのオモリに、弓矢でロープを結び付けて、振り子の要領で壊す!
通ったルートは全部崩壊していって、崩れる寸前にジャンプしてかろうじてつかまる!
想像してたけど想像以上の遺跡ぶっ壊しゲーム。

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マシンガンの攻撃を受けても薬草でパッと回復するし、その割に「寒い」ってつらそうにしてるし、行き止まりっぽいルートには必ずピッケルが引っかかる場所があるし、突っ込み部分とクライマックスが全編続く。
プラス、XBOX1から遅れて発売したことで追加ダンジョンやVRで遊べるオマケモードまで完全収録。

そして超重要ポイント!
銃を撃つとコントローラーから音が出て振動がある。気持ちいい!

個人的に好きなポイント!
難易度表記に「トゥームレイダー」というのがある。

ゲーム下手だけど、「イージー」ではなんとなく遊びごたえがなさそう。
そんなあなたに、難易度「トゥームレイダー」。
他のゲームなら「アマチュア」と表記されそうな、やや易しい難易度だけど、
「トゥームレイダー」って書いてるんだから「これが本来の内容だろう。選ばないとしょうがないでしょう」って気になる。

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序盤の強敵、クマ。ロシアの秘密結社より怖い

日本ではメタルギアやバイオハザードに話題性で劣るけど、期待には絶対こたえてくれる!
隠し要素をコンプしようとか神経質にならず、自由に超大作B級アクションを楽しんでほしい。



「A子さんの恋人」3巻が好き

名前もわからない29歳の登場人物たちがくっつきそうでくっつかなくて…がずっと続くだけの漫画が、僕の好きな物リストの一番上にすっぽりおさまってしまった。

例えるなら、料理人の野菜の千切りを見ているのは気持ちいい。包丁の音とか、テンポとか。

好きな人の語りを聞いているのは、気持ちいい。声の低さといい言葉選びといい、意味が解らなくても心地よくなって少し眠くなるような。
「A子さんの恋人」を読むと、そういう感覚になる。

まず絵がきれい。漫画家の言う「きれいな線」って表現がどうもわからなかったけど、これ見てわかった気がする。
凄まじく上手くて、緻密な絵も描ける人が、あえて最小限の線で描いてある。建物や小物の配置ひとつでも、普通の人には描けない、んだと思う。
テンポも良くて、変に凝らないコマ割りで会話がトン、トン、トンと進んでいく。
その割に話は全く進展しないので、会話や絵に居心地の良さを感じない人にとっては、似たようなやりとりがずーっと続くだけでイライラするかもしれない。

3巻で好きなのは「春の葬式」

美大の先生が亡くなったので告別式にみんなで集まることになった。
世話にはなったけど、それほど悲しいわけでもなく、
みんな慣れない喪服で揃ったのもちょっとイベントっぽくて、同窓会みたいな空気になってくる。

そこには来るはずのない元彼や、ずっと先生に世話になって悲しんでいる友達もいて、何とも言えない空気のまま終わった…と思いきや、って話。

ニューヨークで嫌みな男にふられたことを話していたら、世界中の酔っ払い女たちが集まってきて、みんな仲良く、知らない男に各国語で呪うシーンも実に楽しそうで好き。

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3巻では過去の出来事がいくつも明かされて、
「この人は過去にこういうことがありました」「こういう食べ物や場所が好きです」
というのがだんだんわかってくる。

LINEのやり取りや時間指定配達の使い方ひとつでも、
「この人は、こういうことしてそう」
と思える箇所がたくさんあって、クスッとさせるかさせないかぐらいの笑いを生む。
このぐらいの温度が居心地いいんだ。




「ゲームがプレイヤーの上にいる」感じが懐かしい「ボコスカウォーズ2」

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ファミコンミニが懐かしいですか、
ボコスカ2が懐かしいですか。

ファミコンミニと、PS4「ボコスカウォーズ2」が同時発売で懐かしものつながりと思われそうだが、懐かしくないぞ。ボコスカ2、ちっともなつかしくないぞ。
前を。未来を向いているぞ。
正確に言えば過去にも未来にもこんなゲームないぞ。
強気な価格設定で来たとか言われてるけど、容量は最新のフル3Dのゲームと同じくらい。プレイするごとに初めて聞くBGMが流れて、ルート分岐やユニットの性質もわからない…。

主人公のユニット以外に「四天王」の白虎、玄武らを倒すことで一定の確率で仲間にして、四天王が死んだ場合は農民がお花をそなえてくれることがあって、生き返る。
この説明が全くわからなくて、
「農民」ってどれ?最初の画面にいるガイコツとか、魚に近づくと魚を食うんだけど、これは何?とか、みんなが頭を抱えて、しかし笑っている。

言葉にするとややこしくなる。

最近はSNSでゲームが配信できるようになって、難しいゲームでもすぐ「最適な解法」が出ちゃうんだけど、ボコスカ2の絵とか音楽ではなく、
「誰もわからなくてみんなで途方にくれる感じ」が懐かしい。

わからないからって、製作者に説明を求めたり、まして「詫び」やアプデ希望をするわけじゃない。
プレイヤーより製作者が「上にいる感」。
作り手の意図を理解しようと頑張る感じ。

これはファミコンのちょっと大人向けゲームや、90年代前半の洋ゲーに感じていたものだ。
ゲーム自体は懐かしくない。でもプレイした感覚は懐かしい。
懐かしいということなのかなこれは。

今だにクリアできません。残り100メートル切ったよ!!
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